5月15日 絶対絶命ゲーム2
2時間目の数学の時間。昨日のことを考えながら、外を見ていた。あれは、正しかったのだろうか?
ー5月14日ー
俺と下田は、絶対絶命ゲームをしていた。
下田「あーぁ。全然当たらんや」
俺 「そんな、何回も当たったらこまるよー」
ペン回しをしながら、下田の方を見た。
俺 「今日は、負けへんよ。じゃあ、次いくよ」
下田「うん」
俺 「よーし」
俺と下田は、両方の顔を見合わせて笑顔になっていた。下田は、持っていた紙とペンを置いた。
下田「今日は、ついてないな」
俺 「じゃあ、俺の勝ちね」
下田「はい、はーい」
俺 「今日は、なんの用事やったん?」
笑いながら、下田に要求した。
下田「‥‥‥」
俺 「どうしたん?」
下田「‥‥‥‥」
沈黙の間が続いた。
俺 「‥‥」
下田「実は、学校やめようかなって思ってる」
下田さんの急な返答にビックリしてしまった。
俺 「嘘やん。GW中入院してたら、治るって言ってたやん」
下田「そういう予定やったてんけど、思ったより症状悪くて。今、無理して高校行かんでもいいかなって思ってる」
俺 「無理しては、行く必要ないと思うけど。退学なるまで、もうちょっと、待ってみてもいいんちゃう?」
深刻そうな下田の顔を見ながら、伝えた。
下田「学校おったら、まだやれるんじゃないかって変に期待してしまって。そういう期待自分にかけたくないねん」
俺 「そうかな?ギリギリまで考えてみてからでもいいんちゃう?」
下田「うーん。定本君は、こういう大きな病気になったことないと思うからそういうこと言えるんやと思う」
俺 「‥‥‥」
下田「明日香もそうやけど、学校やめるなんて簡単に決断できないよ。でも、考えた結果が今回の決断なんよ。わかる?」
明日香の苦しみを見てきた手前、「はい、そうですか」とはひけなかった。
俺 「それは、わからんよ。同じ病気じゃないし、下田さんの気持ちにはなれへん。でも、下田さんの気持ちが正しいとも思へんよ」
下田「なんで、わからんの?明日香と話すくらいやから定本君は、もっと理解ある人やと思ってた。残念やわ」
少しムッとした表情をしたこともあり、かきあげていた髪が落ちてきた。
俺 「そうやね。残念な人かもしれないね。下田さんは、しんどい中、決断したんやねって言ってくれたらそれで満足するの?」
下田「なんでそんな言い方するん?もういい」
下田さんは、ベッドから降りて部屋を出て行った。下田さんが怒ったのを見たのは初めてだった。天真爛漫で、悲しんだり怒ったりする姿は、見たことがなかった。俺も、すかさず、下田さんの後をおった。
しかし、下田さんの姿は、見当たらなかった。面会時間は過ぎており、もう22時を過ぎていた。困った俺は、24時間面会可能な部屋に移動した。
困った俺は、スマホで下田さんに連絡をいれた。しかし、待てどくらせど下田さんから連絡がくることはなかった。1時間半ほど経った後に、瀬戸にも一応連絡をいれた。15分後に瀬戸から連絡が入った。その連絡を見ると、0時を過ぎていた。