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物語を進めましょう!

作者: うみ

昔々あるところに一人の娘がおりました。

その娘は継母と継姉にシンデレラと蔑まれながらも一生懸命に生きているのでした。


「シンデレラ!今度の舞踏会に着て行くドレスを用意して置いてちょうだい!」

シンデレラはいつものように継母に言いつけられました。

今度、王様のお城で舞踏会が開かれることになったのです。

その舞踏会で王子の婚約者を選ぶという噂を聞き、町の娘たちは躍起になっています。

「わかりました。それでは…。」

シンデレラはすっと手の平を出しました。

「何よこの手は。」

継母が問うと、シンデレラはこう答えました。

「ドレスを買うのにはお金がかかります。しかし、私にはお金がありません。それとも、布切れを繋ぎ合わせて作れと言うのでしょうか。笑いを取りに行きたいのであれば止めませんが。」

シ、シンデレラ?

「誰が笑いを取りに行くのよ!わかったわよ、お金は用意するから。」

継母はシンデレラに言い負かされるような形で戻って行きました。

さて、また1人きりになったシンデレラ。

「仕方がない、ドレスを買っておきましょう。」

PCを開き、ネットに繋ぐ。

舞踏会用ドレス 通販、検索開始。

「これでいいかしら。」

画面には、それなりに派手なドレスの写真。

購入。

すいませんシンデレラ、時代背景が…。

「文明の利器は使わなきゃね☆」

いい笑顔です、シンデレラ。


後日。

「シンデレラ!ドレスは用意出来たのかしら?」

バンッと扉を開けて継母が屋根裏部屋にやって来ました。

「ええ、ここに。」

手で示した先にはア○ゾンのダンボールが。

「思いっきり通販で買ってるじゃない!」

継母は口の端をピクピクさせながらも、

「まぁ、いいわ。これから私達は舞踏会へ行ってくるけど、あなたは留守番していてね!」

と言って戻って行きました。

「わかりました。」

そういって1人の時間を楽しむ為にティーセットの準備を始めるシンデレラ。

いえ、実は寂しいでしょうシンデレラ。

舞踏会に行きたいでしょうシンデレラ。

「フンフフンッ♪舞踏会なんて疲れるだけだわ。やっと1人の時間ね。」

楽しそうに鼻うた歌わないでください…。


そして、継母達は舞踏会へと出掛けて行きました。

シンデレラを1人残して。

大きな家に残され、仕方なく掃除を始めます。

掃除ロボットのスイッチを入れ、紅茶をいれて、ほっと一息。

そこに…

「優雅にティータイムしているよりは、悲しそうに掃除でもしていて欲しかったのだけれど。」

と魔法使いが現れました。

「現れたわね、魔法使い。」

「言いたい事は色々あるけれど、とりあえず着替えましょうか。」

そう言って杖を1振りすると、シンデレラは綺麗なドレス姿となったのです。

それから、魔法使いはガラスの靴を履かせました。

「とっても綺麗よ。」

魔法使いも満足の仕上がりとなったようです。

シンデレラも驚いて…

「申し訳ないのだけれど、私は舞踏会に行きたいわけでは…。」

「はーい!ちゃっちゃとかぼちゃの馬車で城まで行きましょうね!」

シンデレラを馬車へ突っ込み、パンパンッと手を叩くと馬達は城へ向かって走って行くのでした。


その頃お城では、豪華な舞踏会が開かれていました。

王子は娘達からダンスに誘われています。

「王子様、私と1曲踊ってもらえませんか?」

「はーい!喜んで!」

バシッ!

隣にいた王子の友人であるフレッドが思わずツッコミました。

「痛いだろうが。」

「踊るなよ!」

「何でだよ。せっかく綺麗な娘だったのに。」

「もう少しでビビっとくる娘が来るから待てって。」

「えー。」

渋々王子は、フレッドの言葉に従いダンスの申し込みを断るのでした。

「私と1曲…。」

「喜んで!」

バシッ!

…断るのでした。

そして待ちに待ったシンデレラがやって来ました。

「あの子なんていいと思うけど。」

フレッドがシンデレラを勧めます。

「タイプじゃない。」

王子は美しいシンデレラに一目惚れし、ダンスに誘うのでした。

「あっ!あっちの子タイプ!」

シンデレラを誘うのでした。

「…。しょうがない1曲だけだぞ。」

王子はさっそくシンデレラに声を掛けました。

「えーっと、一緒に踊ってもらえませんか?」

すると、シンデレラは答えました。

「あそこにいらっしゃる方なんて貴方の好みなのでは?」

「あっ本当だ。」

…。

シンデレラは、はい。と答え、1曲踊ることになりました。

「しょうがないわね、1曲だけよ。」

「こっちのセリフなんですけど。」

そうして、王子とシンデレラは踊り始めました。

「ねぇ、見て。王子と踊っている人、凄く綺麗。」

「誰かしら。お似合いね。」

2人のダンスは参加した人々を魅了しました。

「名前は?」

王子がシンデレラに聞きました。

「美少女A。」

「ふざけるな。」

「後で靴置いて行ってあげるから、探しに来たらいいわ。」

「探して欲しいのか。」

「探したくなるんじゃないかと思って。」

…。ここはカットしましょう。

楽しい時間はすぐに過ぎてしまいます。

ゴーンゴーンゴーン

12時の鐘が鳴ってしまいました。

「帰らなきゃ。」

魔法が解けてしまうシンデレラは身を翻して城を出て行きます。

王子はそれを目で追います。

「体も追えよ!」

フレッドが背中を押しました。

ようやく走り出す王子。

「そういえば、靴を置いていくと言っていたな。」

城の外の大階段の所まで来て、王子は思い出しました。

見渡すと、階段の真ん中の辺りにキラリと輝くガラスの靴が落ちています。

「これか。落ちてるというよりは丁寧に置いて行ってるようだけど。」

「その靴を手掛かりに探して来いよ。」

ひょっこりと現れたフレッドが言いました。

「…気が向いたらな。」

王子は靴を拾って城へと戻って行きます。

「本当はあの娘のこと気になってるでしょ。」

にやにやしながら後をついて行くフレッド。

「うるさいぞフレッド。」


翌日、王子はガラスの靴の持ち主を探しに町へとやって来ました。

「なぁ、フレッド。」

王子は隣を歩くフレッドに呼び掛けました。

「どうした?」

「顔しかわからないのに探せると思うか?」

「ガラスの靴があるんだろう?サイズが合えば昨日の娘だ。」

やっとこの物語らしくなってきました。

「いや実際、町の娘って結構な人数がいるぞ?サイズだって皆似たようなものだろ。」

「とりあえず探すぞー。はい、1件目だ!」


そして、なんやかんやでシンデレラの家に訪れた王子一行。

「すいませーん。誰かいらっしゃいますか?」

ドアをノックするフレッド。

すると、ドアを開けたのは継母でした。

「どうぞ、お入りください。」

王子が人を探しているという噂を聞いていた継母は家の中へ促しました。

リビングには継姉が2人。

早速、ガラスの靴を履かせます。

しかし2人ともサイズが合いません。

「どうなってるのよこの靴!」

「足のサイズなんて誰も似たり寄ったりでしょ!」

どう頑張ってもピッタリとは言えません。

「この家に他に娘は?」

フレッドが聞くと、

「おりませんわ。」

継母は嘘をつきました。

「本当ですか?見たところこの家はとても綺麗にされていますが、掃除は誰が?」

さらにフレッドが問うと、

「シンデレラよ!」

「そうそう!灰を被りながらね!あはは!」

継姉達が楽しそうに答えました。

「お黙りなさい!」

継母が焦って止めましたが、時既に遅し。

「ほう、やはりまだいらっしゃるようですね。」

「…。」

「王子に嘘をつくのは得策とは言えませんが。」

「屋根裏部屋に…。」

フレッドの巧みな誘導により、見事シンデレラに会えることになりました。

屋根裏部屋から出てきたシンデレラ。

王子との再会です。

「いらっしゃると思っていたわ。」

「フレッドに連れて来られたのだから仕方がない。」

王子はガラスの靴を手に取ります。

「これ、お前のだろ。」

「ええ、間違いなく舞踏会の時に置いていった靴だわ。」

そして、シンデレラに履かせるのです…

「だそうだ。確認が取れたぞ、フレッド。」

履かせるのです。

「念の為、履かせて確認してくれ。」

フレッドに言われ、ようやくガラスの靴をシンデレラに履かせました。

「ピッタリだ。」

とフレッドに言う王子。

「だから私だと言ってるじゃないですか。」

とフレッドに言うシンデレラ。

「2人して…。わかったから、とりあえずプロポーズでもしてこの娘を連れて帰ろうか。」

肩を竦めながらフレッドは言いました。

「プロポーズ!?」

王子は真っ赤になって驚きました。

「俺はお似合いだと思うよ?こんな風になってるお前見たことないし。」

「あら、それでは私は明日からお城で暮らすことになるのかしら?」

シンデレラは相変わらず冷静です。

「そうだね、来てもらえますか?」

「悪くないわ。」

フレッドとシンデレラで話が進んで行きます。

「待て待て、そもそも結婚するなんて…。」

「あら、違うの?」

慌てる王子を後目に継母と継姉達が何で来たのかとザワつき始めた。

「………っ!一緒に来い!」

限界に達した王子は遂にシンデレラに言いました。

「一緒に…来い?命令形なのね。なんて高圧的。さすが王子様。」

「っっ!」

冷静なシンデレラと真っ赤な王子。

しかし、シンデレラはフッと笑って

「まぁ、行ってあげてもいいわ。」

「…お前の方が高圧的だろ。」

という訳で、シンデレラは王子と結婚し幸せに暮らしたのです。


フレッドとナレーションの努力のおかげで。

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