ワイルドたぬきちゃん、殴り込みする
何にも考えず書きました。何も考えず読んでください。
森に一匹のタヌキちゃんがいました。お母さんは猟師に殺されてしまい、小さいのに一人で生きていました。そんなある日…、
「誰か、助けて…」
声が聞こえてきました。タヌキちゃんは急いで駆けつけます。そこには人間の男の子が足に怪我をして倒れていました。
しばらく男の子を観察していたタヌキちゃんは、森にある果実を持っていってあげました。側にそっと置きます。男の子は泣いていたのをやめて顔をタヌキちゃんの方に向け目が合いました。その瞬間、
フォーリンラブ!!
タヌキちゃんは種族を越えた恋に落ちました!
「僕にこの果実をくれるの?ありがとう」
男の子は綺麗な蒼い目に涙を溜めたまま、フニャッと笑いながらお礼を言いました。
(可愛ええ!!たまらんがな!!決めた、種族を乗り越え、その他障害を乗り越え、この恋実らせましょう!!)
この障害しかない恋にタヌキちゃんは燃えた。めっちゃ燃えた。
話を聞くと、怪我をさせたのは叔父さんの仕業で家督を男の子に変わって継ぎたいらしい。
よし、天誅決定!タヌキちゃんはさっそく動きます。フットワークの軽さが自慢です。
事前に聞いた叔父さんの家に忍び込みます。書斎に入り込み不正書類を捜しだし、袋に詰めます。実はタヌキちゃんは転生者で、前世は人間の会計士でした。ちなみにショタコン。
さぁ、証拠はゲットしたので退散しようとしたら使用人に見つかりました。
タヌキが書斎から出てきて、袋を背負っていたら怪しさ満点です。さぁ、戦闘開始です。ファイト!
タヌキちゃん、前世でダイエットのためボクササイズをしていました。後ろ二本足で立ち、自慢の華麗なフットワーク…からのボディーブロー…からのジャンピングアッパー!!更に更にハートブレイクショット!!
次々と使用人達を床に沈めていきます。見事です。そして、ついでに叔父らしき人も出てきたのでボコ殴りしておきました。
叔父宅を脱出し男の子に書類を渡します。
「これは叔父さんの不正書類?!」
男の子はビックリ!タヌキちゃんは鼻をフンスフンスさせて自慢気です。ナデナデしてもらいました。
タヌキちゃんはソリを作り、男の子を乗せると引っ張っておうちまで送りました。
そこから、男の子は書類を元に叔父を追い込み失脚させました。
タヌキちゃんは今男の子の家にいます。ナデナデもたくさんしてくれますが、男の子はタヌキちゃんに恋をしてくれません。
当たり前です。タヌキちゃんはペット枠で恋人ではないのです。
悩んだタヌキちゃんは男の子のベッドに潜り込んでみましたが、抱き枕にされました。
男の子の外出に着いていったタヌキちゃんはデートと言っていますが、ただのペットの散歩です。
1年色々仕掛けてみましたが、やっぱり無理でした。だってタヌキだもん!
そんな毎日は終わりを告げました。男の子に婚約者が出来たのです。略奪愛はタヌキちゃんは大嫌いです。
タヌキちゃんは男の子の所に行ってペコリと頭を下げると、とぼとぼ男の子の家を出ていきました。
今は森に戻って失恋やけ酒中です。タヌキちゃんは仕込んでおいた果実酒をあおっています。酒盛りのお相手は森に遊びに来る神様です。
「まぁー振られるわな、ペットだもん。だから、言ってんだろ?最初に相手の種族にならないと話しにならないってさ!」
「だって種族変えても振られたら目もあてられないじゃないですか!その後に別の種族を好きになっても寿命が違う種族同士だと悲しいし!一回しか種族変えられないんですよね?」
「そうだねー、異世界人転生特典。一度だけ好きな種族に体を変えられる!」
「ううう~、タヌキのままじゃ相手見つけられないよー。しくしく」
タヌキちゃんが泣いてるのを見て、
(別に俺の眷族に体作り替えて俺が娶る気だからいいんだけどね。こんな面白くて退屈しない魂の持ち主は今まで見たことなかったからさ。どんどん足掻いてね~、面白いから。でも、本当にタヌキちゃんに振り向いてくれる奴がいたら、俺が存在消滅させるけど)
と恐ろしいことを考えているとんだヤンデレの神様でした。
タヌキちゃんは、数年後神様に捕まってお嫁さんになりました。
時々意地悪だけど、とても優しくしてもらい、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし?
読んでいただいてありがとうございました♪