~魔王軍への出社~
この物語は様々な異世界ものに触発された私が頑張って書いた
ファンタジー小説の初投稿です!!ひどい文章力ですが それでもよろしければご覧ください!!
企業には二色が存在している。
どうしようもない上司と少ない賃金の割に、過酷な労働を強いるブラック企業
社内環境が隅々まで行き届き、定時で帰れるホワイト企業だ。
残念なことにホワイト企業は今じゃ絶滅危惧される程に少なくなっているのが現状だ
無駄に上がり続ける税金は社内環境を著しく悪化させてしまうし
何かにつけて節電のご時世
節電はまだ分かる、地球温暖化は避けたいものだから
だが経費で落ちないものが次第に増えはじめてきた
交通費 資料 果ては食堂の材料に水道料金
そんな金がかかりすぎる状況では会社の維持のために社員を辞めさせて
人件費を少しでも下げようとするものだ。
かくいう彼、元ブラック企業勤めの若手社員 平野公一も、その一人だ
まだ20代後半を過ぎたばかりの彼は若者らしい希望など最早抱けやしない程に絶望している
「どうして僕が・・・普通に働いて何も期待されないで、
それなのに一度のミスだけでクビに」
実家になんと報告したものだろうか?会社をクビになったと言ったら・・・
返ってくるのは罵声しか思い浮かばない
ネガティブな思考、会社で休みなく働き続けた事で蓄積されたストレスが
それらが思考を鈍らせて最悪の形で一人の青年を後押しする。
[自殺] どれだけ政治を弄くろうとも変えることの出来ない安易な生命活動への逃亡手段
トボトボとマンションへの帰路を歩く公一は、どう死ぬか・・・
どうせなら苦しまない方法がいいな
それだけを考え、それだけを希望と誤認しながら人生最後の帰宅
・・・した筈だった
暗転 この時何が起きたのかは全く記憶にない
だが、だからと言って目が覚めた次の光景に
当事者である彼はそれに 見覚えというよりも・・・テンプレを感じていた
「もしかして、異世界転生ですかーーーー!?」
いいえ出社です そう、この突拍子もなく始まる異世界で
あの暗転の瞬間 僕は・・・ 魔王軍に就職していた!!
ホワイト企業な魔王軍 社訓1<魔王様に挨拶を>
現状を整理してみよう、というか皆さんにも分かりやすく現状を伝えよう
帰路についていた僕は自宅のマンションの扉を開けたら意識が暗転、
気付いたら・・・
ドラゴンが上空を飛び回り ガーゴイルらしき石像が門の上でこちらを睨み
地面は僕の知る固い床でもコンクリートでなく、土!!しっとりとした土!!
どう考えても僕のいたマンションじゃありません、
そうだとしたら悲劇的ビフォーアフタ―だよ!?
後ろを見ると、さらに異世界だと認識できる
古きよき商店街のような市場と石造りだろうか?人の住めそうな建築物が並んでいる
夢でないかは手が土の冷たさで
手のひらがジンジンしてきたおかげで割と早く理解できたが・・・
「いやいやいや!ここ何処だよ!」
魔王が住んでそうなお城と、ファンタジー代表のモンスターが上空を飛び回る現在
考えられるのは一つだけ・・・ラスボスのお住まい、まさしく魔王城だ
「いきなりラスボス手前の城とか、どんな無理ゲーだよ!?
一般的異世界ものなら、せめて高レベルとか!チート能力とか!
ないなら最初の村でコツコツレベリングだろう!?
有名なゲームの世界に入っちゃった系でも
もう少し順序だててるからね、自殺?自殺志願したからですか畜生!」
「デスヨネー、マジうけるんですけどー・・・という奴ですね」
「いや、笑い事じゃ・・・今の天の声はどちらから?」
「そうですね、貴方の真後ろで 距離にして約22cm離れている場所からですよ」
ヤバイ どう考えても魔王の城の関係者です。
嗚呼、神様恨みます・・・こんなレベルの低い僕をラスダン手前に配置したことを・・・
「なにを悲観しておられるのですか平野公一さん
早く入社しませんと朝礼に遅れますのでお迎えにあがったのですが・・・」
「朝礼?」
聞き間違えだろうか、今朝礼って聞こえた?振り替えって声の主を見つける
黒いスーツを着た金髪美人 こめかみ部分に悪魔の羽が生えている
鋭く冷たい目線で、悪魔のような尻尾が生えている・・・
人間じゃないと実感できる彼女は間違いなく
朝礼、そういったのか?学校とかでやるアレ?
「わが魔王軍は毎朝10時に朝礼があるのですよ、
基本的にホール集合は強制でも義務でもありませんが・・・魔王様にご挨拶も兼ねて
朝礼が行われる多目的ホールにまずは案内致します」
淡々と手帳を見ながら説明していく悪魔女性は手をさしのべると「あ」と
何かを思いだしたかのように少し考えてから 歓迎してくれた
「申し遅れました、私は魔王軍の秘書サキュバスです。
平野公一さん、魔王様の経営なさる我らが魔王軍へようこそ」
パタン、と手帳を閉じれば地面が光出す「今度はなんですかぁ!?」
歓迎されるは、向こうは名前を知っているは、ラスボスに挨拶に行かされるはで
全く状況も何も整理できない、というか息つく暇もない
何が起きていて何故僕は魔王軍の秘書に案内されてるのかも覚えてない
いやもう、本当に
「せめて説明か回想シーンを挟んでよーーー!!」
「時間がございませんので、各自で脳内補完なりすれば宜しいかと
エーテリウムアプリ起動、音声認証 <転移>」
光に覆われた後、体感時間はどれくらいだっただろうか?
一秒?それよりもずっと短く、場所が文字通りパッと変わった。
テレポートとかした人の視点は、こんな感じなのだろうか?
驚き驚き、呆気と脳が未だに現状を把握できてすらもいない・・・だというのに
今度は目の前に化け物の群れだ
スケルトン、オーク、ドラゴン、スライム、狼男、
色々な名前も知らないような化け物がホールで整列して集まっていた
「まだ始まっていませんね、セーフ」
ホッと胸を撫で下ろせば化け物たちは壇上をじっと見つめ続けている
いや、違う・・・マイクの置いてある位置に・・・何やら、ぴょこっと角のようなものが?
「え、まさか・・・」
あの、なんだか小さな手がマイクを掴もうとグググッと頑張ってるんだけど
よく見ると周りの化け物たち、心なしかソワソワしてないか?
「ふんーーーー!!んーーーー!!あとすこしぃーーーー!!!」
と ど い て な い
どれだけ小さいのだろうか・・・小学生くらい小さいのだろうか
届きそうで届かない小さな手を化け物たちが見つめ
小声で「が、頑張れ」とか言ってるのが聞こえる
「あぁ、・・・公一さん申し訳ありません
あそこで頑張って壇上のマイクを取ろうと奮闘しているのが我が魔王です」
「あー・・・取ってあげないんですか?」
混乱していた頭が、目の前の可愛らしい光景に和んだのか
それとも考えるのがバカらしくなったのか、あの小さな手を指差しながら
秘書さんに聞いてみた
「え、何言ってるんですか勿体ない
あのように頑張ってお手を伸ばす魔王様とか母性本能くすぐられるじゃないですか」
うん・・・異世界に来た事とか、どうでもいいや・・・
それ以上にヤバイのが近くにいた・・・こんなのが秘書でいいのか?
と言うか魔王軍ってもしかしてロリコンか何かの集まりなのか
まってくれ僕にそんな趣味嗜好はないぞ
とうとうマイクがゴトッと壇上から落ちて転がっていく
魔王らしき子供が「まってー」と追いかける姿は、成程可愛い
でも、隣で鼻血を流すサキュバス程感動はしてないし興奮は覚えない・・・!
「コホン、皆さんおはようございます
時刻は現在・・・そこの人間さんのいた世界基準で10時27分です」
人間 その単語に化け物たちがザワつきながら後ろを振り向く
視線は一気に僕に集められた 珍しいのか それとも旨そうだと思ってるのか
「彼は平野公一、人間です。
彼は今日から我が魔王軍で働く仲間になりました!!拍手ー」
うぉおおおおおおおおおおおおお!!と歓声があがる
「新入社員だぁー!!」「人間って初めてじゃね?」「アラァン、イイお・と・こ」
大歓迎状態だ・・・異世界もので魔王サイドにつく主人公は多いが、こんなに化け物は
フレンドリーだったりするのか?困ったように魔王様に視線を向ける
小学生くらい・・・身長は140cmくらいか?赤い長髪はふわふわと柔らかそうで
秘書さんと違いこめかみに角が生えている。
黒いローブを着ているから、何となく魔女の弟子と間違われそうだ
そんな小さな魔王が壇上から降りてこちらに歩いてくる。
それに気づいた化け物は左右に別れて道を開け
鼻にティッシュを摘めた残念美人なサキュバスさんは
ペコリとお辞儀をして魔王を出迎えていた
「いやいや、改めまして私が魔王 この軍の社長です」
「あ、どうも平野公一です」
名刺交換のようにお互いお辞儀をすると、何だか魔王っぽくないな
そう心の中で思っていると「今魔王っぽくないって思ったな?」と
どこから取り出したのか天気予報で使われそうなステッキで頬をつつかれる
「私はれっきとした魔王なのです 見た目に騙されてはいけないですよ」
「無理です」 「信じて」 「小学生にしか」 「魔王です」
「分かりますよ平野さん、
魔王様の可愛さは破壊的ですが魔王というよりは天使・・・
嗚呼、今日もキューティクルをモフりたい」
「話進まないんで黙っててもらえます?」
コホン、と咳払いをした魔王様は僕に目線を合わせるように
フワリと宙に浮いた・・・ うん、こうして目線を合わせても子供にしか見えない
「さて、平野君は知りたいのでしょう?名前を知ってる事や歓迎されてる理由なんかを」
「やっと教えてもらえる・・・」
「まぁ戸惑うのも無理はないよね 一つ安心して欲しいのが
君は異世界転生などしていないということ、ここは異世界だけど君は死んではいない
君が生きたまま 此処に 私が連れてきたわけだ」
「もしかして、扉開けてすぐの暗転は・・・」
「あれは君が過労で倒れただけ、
回復呪文をかけて意識戻ったら僕が直接案内しようかなーって思ってたら
思いの外、時間が掛かっちゃったから迎えをそこの秘書君に任せたってワケ」
「結婚の申し込みかと思いました」
サキュバスのお口をガムテで塞ぐことになった
「名前はね、サキュバス君が調べてくれたんだよ
見込みのありそうな子の夢経由で名前、経歴、その他様々
そして自殺を考えてると聞かされて思った なんて勿体ないんだと」
ふんわりとした笑みを浮かべながら肩を捕まれる
見つめる眼は、吸い込まれそうな程に純粋で 掴む力は強くない筈なのに
僕は何故か、動くことが出来なくなっていた
「自殺なんて勿体ない、どうせなら僕の魔王軍で働いてもらいたいってね?」
「そんな・・・僕は会社クビになったし、そもそも今更働いたって」
「時給1500~2000+αで定時帰宅可能だけど」
「やらせて頂きます」
こうして、割りと雑で突拍子もない僕の魔王軍での社会人生活が始まるのであった
最後まで読んでしまった貴方、酷い文章力でごめんなさい!!
そして読んでくださり本当にありがとうございます!!人間の平野君と可愛らしい魔王
今後登場する個性が強すぎるキャラクター達に僅かでも期待してくだされば嬉しいです!!ではでは!!