令嬢の気持ち
初めての投稿です、一人でも多くの方に見ていただけますように。
ここ直したほうが良いよーなどのアドバイスありましたらぜひ一言でもお願いします!
※指摘を受け、少し編集しました。
いつからだろう?
私はいつから変わってしまったのだろうか。
小さい時は怖いもの知らずで、少し傲慢な所もあったかもしれない。しかし素直に感情を表す事が出来ていたはずだ。
※※※ ※※※ ※※※ ※※※
私はアルカ・ウィンスター。
ウィンスター侯爵家の長女であり、クロック公爵家の三男、ダニエル・クロックの婚約者である。
ダニエルとは物心つく前から引き合わされ、とても仲良くしていた。それこそ毎週一度は必ず家に訪れる程度には。今のダニエルは人当たりがよく、周りをよく見ることができる。公爵家としてなんら恥ずかしい所などない貴公子だと言えるだろう。
彼は昔から温厚ではあったが自己表現をあまりしない子供だった。私はそんな彼を見ていると焦れったくてしょうがなかった。『何故自分の意見を言わないの?』と。
今にして思えば私はとても子供だったんだなとわかる。
昔は怖いものなどなく、自分に絶対的な自信を持っていたのだ。
だがそれも社交界に入るまではの事だ。社交界でははっきりと物を言う者などおらず、初めはとても苦労した。
もちろん社交界の前にマナーやダンス、教養など淑女としてふさわしい事を何年と学んできた。
しかし本物の社交界は比べ物にならないくらい勝手が違っていた。
正直社交界は苦手だった、だが仮にも侯爵家の人間がそんなことでいいはずがない。私はそれこそ必死に繕い続け、ついには淑女の鏡と言われるまでになった。
しかし私が淑女に近づくにつれ、ダニエルとの間に距離ができていく。昔は私が一方的に話しダニエルは相槌を打つだけ、そんな彼に焦れて質問攻めにするのが常だった。だがそんな時間もダニエルと過ごす大事な一時だった。
ダニエルも私といる時は本当の笑顔だったのだ、前までは。もう本当の笑顔を見なくなって何年経つのだろう。でも、それでも私は彼の事が好きだった。
必要最低限でしか顔を合わせず、私が話しかけても堅苦しい社交用の返事しか返ってこなくとも。
いつしか私は感情を殺して淑やかに微笑む事に慣れすぎていて、自分の本当の気持ちすらもよくわからなくなってきていた。
そんな折だ、彼女が私達の前に現れたのは。
彼女は子爵家の娘で、可愛らしい娘だった。名前はコリス・フィリップ。病弱らしく、舞踏会に出るのは初めてだとフィリップ子爵が挨拶していた。彼女はとても楽しそうに笑う。私の彼女に対する第一印象はとても素直で、感情を吐露できる娘。相手の腹を探り合うだけの社交界には向いていないと思った。
実際彼女は社交界での暗黙のルールを全く知らず、爵位の高い方々の眉を顰めさせる事も度々あった。
だがそんな彼女の周りには親切な人がたくさん集まり、いつの間にか爵位が高い方までをも味方にしていた。
ついには味方になるだけではなく、爵位の高い男性が彼女に懸想していく。その中には私の婚約者も含まれていた。
…何故彼女にはあんなにも容易く味方ができるのだろう?私や他のご令嬢が信頼を勝ち取るのに何年もの時間と努力を費やし、未だに私を認めていない人もいる中で。
中でも一番辛いのは私には何年も見せていなかった、人前で見せる事なんて数えるほどしかない彼の心からの笑顔が彼女一人に向けられていること。
その瞳は優しく、彼女を暖かく包み込んでいるようだった。だが長年彼を見ていた私だからわかる。そこに確かな熱が含まれているということを。
…ああ、また私は失ってしまうの?私が無邪気さを失くしたのと同じようにダニエルでさえも?
私が失くした多くのモノを持っているあの子に?
私が心を殺しすぎてわからなくなっている感情も、私が得ようと必死だった社交界での信頼もあっさりと手にしておいて、さらには私の愛する人さえも奪っていくの?
※※※ ※※※ ※※※ ※※※
そんなの許せるはずがない。
……うばわれてなるものか、私がした努力がムダになるなんてそんなこと許さない。
私の大好きなダニエルだって貴方なんかに渡してあげない。
見てなさい、絶対にあなたを引きずり下ろしてあげる。
この後アルカはコリスをいじめ始めるでしょう。
お読みいただきありがとうございます!
また機会がありましたら(^^)