01 愛しのリリカちゃん!!
俺には日課がある。
それは・・・・・「あっ!?」
また、アニキがいねー!!クソーあいつラ又・・・・
「おい!!テメーらまた、俺のアニキに手ーだしたな!!」
「ゲゲ!!」
「キノの弟が又来やがったぞ!!クソー、逃げるぞオメーラ!!」
ヒョイと先回りして、塀を軽々と片足ジャンプで登る壱野花ギン
「おい、誰が逃がすって言った?」
「・・・・・・・・。」
「今度、俺のアニキに手ーだしたら、殺すって言ったショ。」
明らかに冷や汗を垂らしている様な顔をしている、三人組。
「キイェィィィィィイ!!」と叫び声を上げながらギンに向かってきた
「はい!!はい!!はい!!」3人は軽トラに軽くはねられたかの様にぶっ飛んでいった。
「お~~わり~~!!・・っと言いたい所だけど。マジで殺すって言ったから。4分の3は、僕は殺す事にするよあなた達を・・・ホレここに鏡あるから、ボコボコになっていく、自分達の顔をよ~~く見て反省するんだな。」
殴りかかろうとした途端、俺の右手にしがみついてきたのは、紛れもなく俺のアニキだった。
「やめなよ。そんな事したら、可哀想だよ。」
「可哀想って散々コイツラにアニキは、ボコボコにされてたんだぜ。」
「でも・・・・」
「でもじゃねーよ、コイツラいくら俺が言っても何も聞かないじゃんか。殺すっきゃ無いっショ!!」
親指を立てて二カッと歯を見せて又殴りにかかる
「そんなの権力者だよ!!」
きゃしゃな体とは桁違いの顔をアニキは見せて俺の前で両手を横に広げ、仁王立ちしていた
「権力者って・・・・?」
「そんなの権力者だよ!!」
「何だよその権力者って・・?」
「ギンが言ってる事は確かに理に適ってるよ・・・でも、そんな力だけで物事を解決しよとするのは、間違ってるよ!!」
「間違ってるって・・?仕方ねーじゃねーかよ・・・コイツラが聞かな・・・ぃ」
俺は、アニキのその弱々しい力で、引きづられ。校内を後にした。
そして、一緒に並んで歩いている途中、アニキの横顔をチラッとだけみた。
又ふやけた洋梨の様な顔をして、
ハッキリ言って俺はこの表情が嫌いだ・・・俺といる時だけは、妙にこういう顔をする。と
言うのは、大体俺がついて周っている時は、さっきの様に、輩にイジメられている後だからだ・・・・
一体いつまで、こういう事しなきゃいけないんだよ?
警備みたいな事・・・
俺が何かSECOMみたいなモンじゃねーか
はぁ~~
マジで頼むわ、
普通、弟に自分の同級生にイジメられて助けてもらうって。ありえねーだろ!!
情けねーよホントに、
ホントに俺のアニキなのかよ?
マジで俺と血繋がってるの?
ホント家族の恥じだな・・・って
・・・・ホントは言いたいけど・・・・アニキはアニキだ。紛れもなくココにいるのは、俺のアニキなのだ。消しても消しきれない俺の血縁者なのだ。
俺は、無意識に親指の爪を噛んでいた。
パッと横を見たらアニキも噛んでいた、そういう行為ってだけで俺との血統は拭い切れないだろう。
だから、俺は、一族の恥を拭い去る為に出来るだけ。アニキが弱いって事を隠し続けている・・・、アニキの学年には、ばれているけど、まだ俺の学年のヤツラには、バレてはいない
それだけが、俺の唯一の聖域だ。
ハッキリ言って、俺は、この自分のメルヘンチックな学園生活を潰したくはない。
だが、こうやってアニキの恥を取り除いているって知られるのも時間の問題だ。
正直こうやって、毎回の様にアニキを見回るって、正直ツライ・・・
そう思っていると・・・
アニキは無関心にも俺にニコリと笑って。「ありがとう」って言っていた。
正直その顔がウザイ・・・
「又かよ・・・又そう言う顔するのかよ・・・クソーじゃあさーアニキお願いだから、もっと強くなれよ!!もっとシッカリしろよ!!俺正直困ってるんだよ。マジ頼むわ・・・」
言っちまった・・・・くそ・・・
そして、アニキはそういう顔をして、一人、家の方角へと帰っていった。
☆
翌日、少し遅めに来た。教室では、
もう、センコーが待機していると思いきや・・・まだ、姿を現さなかった。
と言うか・・・いつもの事だ!!
粛粛にいつもの事だ!!
・・・数分後・・・
教室のドアが開いた。
センコーが手に持っていたのは、五田中の『黄粉シズ』のグラビアだった。
その五田中って言うのは、五反田中学の略で、私立五反田中学って言う某アイドルがいるのだ。
このセンコーは、そのグループの『黄粉シズ』の大ファンなのだ・・・
すると、速攻でクラスの女子から、の批判コメが酷い「キモ」「オタ」「死ね」「カス」「ド変態」「とにかくマズ最初に死んで下さい。」というワードが一斉送信される。
「おい!!お前ら!!私が、何を誰を好きになろうと勝手だろう。」
「勝手だろうって!!中学生のアイドルに恋をする教師って異常でしょう!!」
「バカ!!恋愛に異常もクソもないのだよ!!恋愛は永遠なんだよ!!」
「マジでありえないんだけど!!ホントにこの人が私達に勉強を教えている一教師なの?疑うわ。」
「疑うならマズ私の勉強を受けないで出て行ってください!!」
「マジなんなのこの教師?」
「オイオイ、言い過ぎだぞ女子。男には男の事情ってのがあるんだよ。」
「そうだよ。そうなんだよ。」と
センコーを擁護するのは、青春真っ盛りのモリモリの中1男子の面々である。
「男子は黙ってて!!」
「じゃあさー女子は先生の授業受けなきゃ良いじゃん!!」
「そうだ!!そうだ!!」
すると、センコーが頭をカキカキしながら偉そうな、どこかの学者になったのかの様に壇上に上がり、机を叩き、鋭い口調で叫んだ。
「そうだぞ女子共、その純白の処女膜に血が滲み出るぞ!!」
「マジ馬鹿か!!」
「ありえないんだけど!?」
「ホントにこの人教師なの?」
だが、男子はこの言葉の意味が分からなかった。まぁ俺ぐらいの知的好奇心者だったら、処女膜の一つや二つ分かるけど・・・大抵の中学1年生くらいの男子って、そういう妄想をするのが盛んだけど、結構そういうワードを知らない。
不思議だけど。
マジでホントに・・・
それで、男子が「処女膜って何?」ってなるから、又それから、ややっこしい話になるのだ。
当たり前の様にこういうお年頃の女子はそういう話をするのを恥ずかしがるから、
極力避ける!!
避けて、避けて、避け続ける!!
そして、教室がスゴク沈黙に陥った時に、コイツの授業が始まるのだ。それが、コイツの戦術なのだ。
「マジでコイツ人道的な教師じゃないよね。」
「人道のカケラもないわよ。」
「マジで狂ってるわ。」
「ハッキリ言って裁判とか起こしたら余裕で勝てるけどね。」
またも頭をカキカキして、『五田中のシズ』のグラビアを下から上まで舐める様にして、女子に視線を向けた。
「君達まだ処女膜の話しをしたいのかね?」
「マジサイテーなんだけど。」
「カスだなマジで死ね!!」
「死んで欲しい人ランキング今の所1位なんですけど!!」
「おいおい女子言い過ぎだぞ!!可哀想だろ!!田神先生が」
「そうだぞ丘野の言う通りだぞ!!言い過ぎだぞカスとかキモとか死ねとか。暴言そのものだぞ。それは、」
と言うか丘野、このセンコーは、それ以上の事言ってるから、俺は女子に同情するわ。
「と言うか君達が私の心を癒してくれないから『シズたん』に頼ってるんだよ私は!!」
「えっマジかこのジジイ。」
「おい女子言い過ぎだぞ田神先生はジジイじゃないぞ!!まだ、31だぞ!!」
「早く私を満足してくれる、女生徒が現れないモンかね~~。」
「キモ、マジ、死ね。」
鳴りやまない女子の声と言うか悲鳴が鳴り響いて、授業にならない、この現状、
その中で唯一、一人黙々と黒板を見て勉強に励む少女がいた。
そう、watanabe ririka~~って何で横文字?
そう渡辺リリカ、渡辺リリカちゃんだ!!
粛粛とリリカだ
粛粛とリリカちゃんだ!!
僕はこの子の横にいてこの子の髪の香りを今にでも嗅ぎたい!!って、このセンコーぐらい俺今、サイテーの事言ってるんだけど。
まぁ良いか、これだけ盛んな年頃になると、この手の妄想は、軽い軽い、軽いモンだ
でも、いつも、俺は隠れて目線をその子に向けるけど、その子は一向にこちらをチラリともしない。
多分、と言うか絶対俺には、脈がないのだろう。
もしも・もしも・だけど、体育の授業を見たら多分俺の事に興味を持ってくれると思う。
だけど、体育の時間って男子と女子分かれてるしな~~
どうにか、俺のこの魅力に気づいてくれる方法ってないのかね?
と思ったら、思ったより早く、その時が近づいてきた!!
『来週、体育際だ!!』
とは、言ったモノの全然俺の事見てくれないじゃんリリカちゃん!!
粛粛とリリカちゃん!!
結構、円盤投げとか余裕で大会記録とったのにな~、それも、彼女が見ている手前で、
それに、最後の長距離8キロぶっちぎりだったっショ!!
とリリカちゃんをずっと見ていたらある事に気づいた・・・
それは、他のクラスの好青年男子『高間リク』って言うか好青年って青年って20代くらいの人に言う言葉じゃん、却下、却下。青年じゃなくて、少年だよ!!少年!!
何かと、彼の顔を見ていた様な気がする・・・
気のせいでは、ない確実に・・だ。
決してスムニダでは、ない。
確かに高間は、顔立ちはカッコイイけど、ハッキリ言って俺も負けてないと思うと言うか8割は勝ってる。
それは、言い過ぎか!!
でも、何故リリカちゃんは、高間の事が好きなのだろう?
高間は運動神経がずば抜けて良いって訳では、ない。
と言うか全然運動出来ない。
100メートルの時思いっきりズッコケておでこを擦りむいて血をドバドバだしていた。光景を一度じゃなくて、何度も見た事がある。
それに、インテリって訳でもない、だけど、勉強出来ないって訳でもない。
人相応な位勉強は出来る。
顔も、運動神経も(勉強は俺は出来ないけど)負けてどこに、高間にそんな魅力があるというのだろう?
何だか、そう魅力的な彼を俺は見たくなってきた。