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06



 アリイ様が真面目にお勉強するようになってから数日後、私は養父様に呼び出され現在書斎部屋にいる。

落ち着いた雰囲気の部屋には至る所に本があり養父様の性格がでていた。

「急に呼び出してすまないねティア。」

「いいえ、何か御用でしょうか?」


(養父様)は書斎机に手を置きくつろいだ様子だ。何か問題でも起こったのかと思ったがそうではないようだ。

(養父様)は立ち上がり私の前に立つと、私に目線を合わせるように屈み、微笑みながら何も言わず頭を撫でてきた。


「…あ、あの…」

(…!?え?え?なに!?)


 私は内心盛大にパニックを起こしながらも戸惑うような表情で養父様をみつめた。

それに気づいたは養父様笑みを深める。


「ありがとうティア。アリィが真面目に勉強するようになったのは君のおかげだ。それに、ここ数ヶ月この生活に慣れるよう頑張っていただろう?よく頑張ったね。」


私は養父様の言葉に固まった。まさか褒めてもらえるとは…「父親」に褒められるということがはじめてで吃驚してしまった。


「…ティア?」

「あ、なんでもありません。えっと、ありがとうございます。」


 養父様の声で我にかえったが、同時に徐々に顔が赤くなっていく。


    ―――恥ずかしい!嬉しい!でも恥ずかしい!


 何とも言えない気持ちになり思わず養父様の手から逃げるように数歩下がった。

彼はちょっと残念そうな顔をしたがすぐに顔を緩め手で口元を覆い笑いをこらえるようにする。


「くくっ…ティアは恥ずかしがり屋なんだね。」

「そんなことはありません!ただ褒められ慣れてないだけです。」


 笑われたことで余計に恥ずかしくなり思わず大声で否定する。

彼は笑いを堪えながらも「すまない」と謝罪する。


「ティアは6歳なのに他の子供たちよりすらすら話せるし、大人顔負けの対応をするのに、そう言う所をみるとまだ子供なのだと安心するよ。」

「そ、それは…」


 私が6歳なのに言葉が達者なのは前世の影響があるからだが、そんなこと言えるわけがない。私はごかすため拗ねたようにそっぽを向く。

彼は私が本気で拗ねたと思いまた謝罪する。その行動に思わず笑い、私は彼に笑みを向ける。


「ふふっ。そんなに謝らなくてもいいですよ養父様。」


私が笑みを浮かべたことに安堵した養父様はある疑問を投げかけた。


「…それにしても、ここ数ヶ月本当に努力しているね。先生たちや屋敷の者たちも関心していたよ。」

「そんなことありませんわ。私は、私を受け入れてくれた場所にふさわしくなれるよう当たり前な事をしているまでです。それに…」

「それに?」


(養父様)は私の言葉の続きを待つ。私は一呼吸したのうち養父様の目をまっすぐみて続きの言葉をつむぐ。


「それに、はやくアリィ様をお守りできるよう力を得たいのです。そのために行動することは私にとって当たり前なのです。アリィ様は私の全てですから!」


 その言葉に養父様はかまった。そしてしばらく私と見つめあうと…今度は声をだし笑った。


「ぶっくっははっ!そうか!アリィのためか!くっあははっ!」



 いきなりの笑い声に私は硬直し、彼を睨むようにみつめた。それでも彼は笑うのをやめない。…面白いことなど言っていないのに。


「私は大真面目なのですが…そんなに面白かったでしょうか?」

「いや、すまない。まさかそんなこと言うとは思ってなくてね。くくっ!」

「…!と、とりあえず!私は当たり前なの事をしているだけです!」

「ああ、くくっ、わかったよ。」


    ―――まだ笑っている。


「養父様…」


 養父様を睨む。流石に養父様はちょっと罰が悪そうな顔をして私から視線をそらした。


「あー…すまない。」

「いいえ。それで御用はこれだけでしょうか?」

「いや、ティアに伝えて置きたいことがいくつかあってね。」

「伝えておきたいことですか?」

「ああ、ティアは私の妻のことは知っているだろう?」

「養母様ですか?」


私が頭を少し傾けると、養父様は頷いた。






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