第7話 決戦、C組Dチーム Ⅰ
5月の中ごろの少し暑くカラリと晴れた土曜日の午後、ついにこの日がやってきた。
訓練場にいるのは俺たち1-B Eチーム、その前方10メートル先に1-C Dチームが揃っている。
立会い人の月代先生が来るまでまだ少し時間がある、俺は少し前に春樹の立てた作戦を思い出す。
俺はみなせと組み妙法寺と桐原のチームと戦う、春樹と灯華は伊原と刈羽のチームと戦う。
戦うチームの組み合わせは30分前に月代先生から知らされ、それから素早く立てた作戦がこうだ。
俺が桐原と戦いみなせは妙法寺と戦う。
これはお互いの射程距離が同じで不利がないからだ。
しかし相手の詳細な戦闘能力は春樹の情報網を持ってしても調べることができず、細かな作戦は戦闘中に組み立てるしかない。
相手の能力がわからないまま戦うのは圧倒的に不利だがこの際仕方ない。
春樹と灯華も同じだ。
それに相手がどんな戦い方をしようが俺とみなせの長年積み重ねた連携でそれを崩せるという自信がある。
だから、絶対に負けない。
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数分後、訓練場に月代先生が現れた。
普段見慣れない黒いジャージを着て首にホイッスルをかけている。
「それではこれより1-B組Eチーム対1-C組Dチームの模擬戦を始めます。
試合形式はタッグ戦、最初は城戸春樹・天枷灯華ペア対伊原和也・刈羽空ペアの試合を始めます」
~春樹SIDE~
僕は伊原くんと、灯華は刈羽さんと向かい合い礼をする。
頭を上げると伊原くんが僕にコソっと話しかけてきた。
「すまんな、ウチのリーダーが喧嘩売ってもうて」
「それは僕に言われても困るよ」
「そうなんやけど、巻き込んでしもうたやろ?」
「巻き込まれたけど、面白そうだから僕は特に気にしてないよ。いい試合にしよう」
「おおきに、ええ試合にしよや」
僕としてはこういうイベントは大いに歓迎だ、確かに妙法寺さんは許せないけど試合をするなら楽しまなきゃ。
妙法寺さんは義之とみなせがギャフンと言わせることに期待して僕はこの試合に全力出すだけ。
各々武器を装備して月代先生の「始め!!」の声が開始の合図。
刀を振りかざし猛ダッシュで向かってくる伊原くん、振り下ろされる斬撃をアーリヤで受け止める。
伊原くんの両手持ちの刀の攻撃は僕にしてみれば軽く肩を当てられた程度の衝撃、アーリヤは大剣で防御力も高いからね。
片手持ちで十分受けられる、伊原くんは明らかにアーリアの防御力に動揺してる。
一瞬目を見ただけでわかる、みなせも僕と戦った時驚嘆な目してたからね。
続けて何回か刀を振るけどそれを僕は全て片手で受け切る。
一旦僕から距離を取り、伊原くんは溜息をついた。
「あかんわ、えらい防御力やね。ワイの攻撃新聞紙で殴ってるんのと同じくらいやろ?」
「そんなところだね。まさかこれで終わりじゃないよね?」
「当たり前や!」
伊原くんが刀を突き出す、僕は何かの攻撃の予備動作を疑い身構える。
「炎よ来たれ!!赦皇奉!!」
伊原くんの言葉の後に彼の刀の刃から真っ赤な炎が噴出して刀身を包む。
燃え盛る紅蓮の刀、そのサウナの室内のような熱気は伊原くんから7歩ほど離れた距離でも十分に伝わってくる。
「行くで!!」
伊原くんが勢いよく地面を蹴り飛び上がる、蹴られた地面が一瞬刀と同じ炎で焼かれ少し焦げた。
なるほど、刀に炎を纏わせるだけの攻撃力増加だけじゃなく炎による全身のブーストなんだね。
僕の推測だけど今の伊原くんのキックやパンチには炎属性が付加されてるはず。
それとさっきより速力も上がってるね、目で追えない速さじゃないけど普通の一般人なら公道を走る車くらいの速さに見える速度かな。
警戒してアーリヤの刀身を伊原くんに向ける、刃が二つに割れてその間を青白い電流が流れる。
牽制で最短で撃てる低威力の魔力砲撃を撃つ、簡単にかわされたけどこれは予想内、反射神経も強化済みみたいだね。
刀身を閉めて伊原くんの刀を両手持ちで受けるとさっきとは違ってズシリと大の大人が寄りかかるくらいの衝撃が伝わった。
でも、まだ僕のアーリヤを抜くには軽すぎる。
素早く刀を振り切って、今度は連続で回し蹴りからのハイキック、かかと落とし。
刀の斬撃とは違いピンポイントで点を狙うキックは防ぐよりもかわす方がいい、身体を反らして3コンボを避ける。
僕の中であまりにも単調な伊原くんの攻撃に少しづつ興味が無くなっていく、正直つまらない。
~和也SIDE~
最初っから随分と舐められてた。
ウチの攻撃、片手で捌くさかい攻撃力見透かされとるってことやん。
春樹っていうたか、いい試合も何も完全にペースアイツに掴まれてるやん!!
このままじゃラチ空かん、ウチは距離を取って春樹から離れた。
あの大剣、えらい硬くで全然アイツの防御が緩まる気配がない。
ほんならウチの本気を見せんとあかん、負けるで。
「あかんわ、えらい防御力やね。ワイの攻撃新聞紙で殴ってるんのと同じくらいやろ?」
動揺してるの知られへんように平静を装わんと。
「そんなところだね。まさかこれで終わりじゃないよね?」
「当たり前や!」
ウチの刀、そんじょそこらの刀と一緒にしてもらったら困る。
伊原家に代々伝わる宝刀、名を呼ぶことでその真の力が発揮される。
刀身を突き出し、両手に魔力を込める。
「炎よ来たれ!!赦皇奉!!」
両手が熱くなり激痛が走る、刃から炎が噴出して刀身を覆う。
それから、全身が一気に熱くなる……血管を血の代わりに炎が走ってるような感覚や。
内側から焼けそうな、凄まじい熱さと痛み……せやけどそれを感じるのは一瞬や。
赦皇奉は名を呼ぶことで刀と全身に炎属性を付加してブーストする力がある。
こうなればウチの魔力が尽きるかウチがこの状態を解除しない限りオートでブーストをかけ続ける。
普通ブースト魔法言うのは常に魔力の量からどのくらいブーストするか計算するもんなやけど、赦皇奉はデタラメなブーストを計算なしでやってくれる。
魔力の減りはピカイチに早いさかいこうなったら短期決戦を狙わなウチは魔力が切れた瞬間にぶっ倒れる。
「行くで!!」
地面を勢いよく蹴って、ウチは春樹目掛けて飛んだ。
アイツは剣を展開して魔力砲撃を撃ってきたんやけどウチの今の動体視力はその砲撃が人が歩くくらいの速度に見える。
宙で体を捻って簡単にかわして赦皇奉で切りかかるんやけどやっぱり剣で防がれる。
せやけど衝撃はさっきとはダンチや、少し春樹が苦い顔したのが見えた。
でも、まだこの剣のガードは抜けへん。
一気に畳み掛けて体勢を崩そうと思って連続で回し蹴りからのハイキック、かかと落としを決める。
炎属性が付加されとるさかい、素早い連続攻撃を当てればガード崩せると思ったんやけど……春樹のヤツウチの蹴りを全部かわしてしもうた。
あかん、ウチ負けるかもしれへん……
~灯華SIDE~
春樹くんと伊原くんだっけ?が戦い始めたけど……私の相手の刈羽さんはなんだか様子がおかしい。
挙動不審でキョロキョロして、事前の調べでサポートメインと聞いてたけどまさかサポートしかできないのかしら?
「刈羽さん」
「は、はい!!」
私の呼びかけにビクンと体を震わせ緊張な面持ちの刈羽さん。
なんだかかわいいわね……まずお尻を揉みしだいてからディープキスして……ハッ!今はそんな妄想しておパンツ濡らしてるところじゃない!!
「始めてもいい?」
「ど、どうぞ!!」
実戦経験不足?というかあまりこういうバトルは得意じゃないのかな?
サポートということは後方支援が専門だから集団戦だと生きるタイプだけど、今のタッグだとFPSで言うところのキル稼ぎのカモでしかないのと同じよね。
そこまで考えてちょっとこの子と戦うのは良心が痛んで……その可愛い顔を涙で濡らさせて思う存分ボコスカしてハァハァしよう……
「試したい魔法がいくつかあるから、よろしくね♪」
「は、はい……」
サポート専門なら長い詠唱でも邪魔はされないはず、ここは高火力の魔法を試させてもらおうっと♪
「大いなる英知の源流、我が刻みし魔術に告げる……」
ユリシーズが私の詠唱から高速で魔法を組み上げる。
私のハイブリット魔法は詠唱をユリシーズが認識するとあらかじめ決められたプログラムが起動して魔法を発動させる。
プログラムが互いに組み合わさり効果範囲、威力の強弱、魔力消費の度合いというあらゆる情報を集約・処理して魔法が発動する。
だから詠唱が短くても決められた通りの威力の魔法を発動させることができるの。
現代魔法の威力の低さを古典魔法の詠唱で補って、古典魔法の詠唱の長さを現代魔法で補う。
「我枷を解き放ち彼の者を討ち払え!!カタストロフィ!!」
詠唱を終え、ユリシーズを刈羽さんに向けると私と同じくらいの円の魔法陣が現れてその中心から魔力の波動が放たれる。
こないだ春樹くん相手に使ったカタストロフィを改良して威力を上げて魔力の変換効率を高めて燃費を良くしてみたの。
刈羽さんがあっと息を呑む表情が見えたけどその時にはカタストロフィは彼女を飲み込んでいた。
非殺傷にしてるからジェットコースターに揺られるくらいの衝撃を受けるだけだけど、たぶん一撃かな。
と、思ったけど刈羽さんは無傷だった。
彼女の前に二股の尻尾の猫のような生き物が防御魔法を展開していた。
白い毛色でフェレットを猫にしたような……ムチャムチャかわいい……
私のカタストロフィをそれで防いだみたい……それにしても生命魔法が使えるなんてね。
魔法の一つ、魔力を元に知能や精神を持った人造生命体を作り出す魔法。
大方の魔法は後天的に取得することができるんだけど、この生命魔法は先天的な才能がないと使えない魔法で世界でも数パーセントしか使い手がいない希少な魔法。
ああ、そんな魔法の片鱗を見てると考えたら感動だよね……
とと、感情に流されてる所じゃない!!
私のカタストロフィを防ぎ切る防御力の魔法障壁をはれるあのフェレット猫が厄介ね。
これは私の推測だけど、たぶん刈羽さんはあのフェレット猫に防御と攻撃を任せて彼女はサポートに徹するのがスタイルだと思う。
「へぇ、生命魔法なんて珍しいわね」
素直な感想を言うと刈羽さんは小声で「あ、ありがとうございます」と言った。
「じゃあ、その子の力を見せてもらおうかしら!!」
無詠唱で身体能力向上のブースト魔法をかけ、ユリシーズでの接近戦を仕掛ける。
私の動きを察知してフェレット猫は青色の魔力の光線を二つに分かれた尻尾の先端から発射した。
的確に狙ってるけど今の私にそんなビームは当たらない、上手くビームとビームの間の隙間を縫うように走り抜ける。
「ティス!!範囲攻撃に切り替えて!!」
刈羽さんの声に反応してフェレット猫は攻撃法を変更……線のレーザーからばら撒き型の魔力弾に変わる。
でもね、やっぱり当たらないのよねこれが!!
弾との隙間を駆け抜ける、今の気分はさながら弾幕ごっこをしている気分、確かにこれは爽快感あるわね。
フェレット猫が展開した防御網を突破して刈羽さんに辿りつく、ユリシーズの突き攻撃をフェレット猫は防御魔法を発動させて魔力の壁で私の攻撃を阻む。
この猫ちゃん、なかなかの反応速度ね……でもこれは許容範囲内!!
「狙い打て風の弾丸!!迸れ水流!!ウィンドスプラッシュ!!」
フェレット猫にユリシーズを防御させたまま中級魔法を発動させる、刈羽さんの後ろの宙から風の弾丸、地面から凄まじい水流が噴出して迫る。
今この猫は私のユリシーズの防御に魔力を傾けている、なら刈羽さんを背後から狙った風の弾丸と水流を防ぐ余裕はないはず。
「バリア!!」
刈羽さんが魔法名を叫ぶを彼女の背後に魔法障壁が展開されて風の弾丸と水流は防がれる。
魔法名のみの詠唱、サポート系のバリアとかならできるってことね。
でも……甘い!!
フェレット猫の張った障壁はパッと消失し刈羽さんの胸部をにユリシーズの先端が到達する。
防がれるのは計算済み、ならその障壁にユリシーズを触れさせて強度とかを計測して中和すればいい。
「刈羽さん……勝負あり」
彼女の言葉を待たずに私はユリシーズの先端から非殺傷の衝撃波を放った。
非殺傷とはいえ零距離だったから……ユリシーズの触れていた胸の辺りの衣服は衝撃で飛んじゃった☆
そのまま2、3メートルポーンと軽く飛んで刈羽さんは背中から地面に落ちた。
その瞬間フェレット猫は青い魔力の粒子となり消失、刈羽さんの下に月代先生が駆け寄ってホイッスルを鳴らした。
「刈羽空、戦闘続行不可能!」
LOSE 刈羽空 天枷灯華の零距離からの衝撃波を受け気絶
~空SIDE~
戦う前から、私は天枷さんには勝てないって思ってた。
サポートがメインの私は個人戦では何一つ勝算が無くて……和也くんと連携取りたいけど相手の強さに連携をする余裕もないみたい。
魔法戦が得意なのは事前の桃歌ちゃんの調査でわかってたけど、実際に戦ってみると資料以上の実力……
「大いなる英知の源流、我が刻みし魔術に告げる。我枷を解き放ち彼の者を討ち払え!!カタストロフィ!!」」
長い詠唱……上級魔法……
天枷さんの杖が私の方へ向けられると杖の先端に魔法陣が現れて、大出力の魔力ビームが発射された。
「ティス!!お願い!!」
魔力ビームが放たれると同時に私の魔法の結晶のティスを作り出す。
固定したイメージに魔力で形を作り、それに精神と知能を与える生命魔法。
私の大切な友達・ティスが間一髪のところで魔法障壁を展開してくれて天枷さんの攻撃を防いでくれた。
「へぇ、生命魔法なんて珍しいわね」
「あ、ありがとうございます」
(クゥゥゥゥン!!)
私の心にティスの鳴き声が響く、生命魔法によって作られ生命は術者と深く結びついて考えるだけで意思疎通ができるんだ。
(次にあの人が動いたら正確な攻撃で足止めしてね)
(クォォォォォォン!!!)
今のティスの鳴き声は「了解!!やってやる!!」って感じだよ。
天枷さんが突然風のような疾走で私に向かってきた、ティスは二つに割れた尻尾から正確な魔力ビームの攻撃をするけど……避けられないように先読みしてビームを発射してるはずなのに全部避けられてる。
魔力のブーストを無詠唱で発動したのかな…このままじゃ距離を詰められちゃう!
「ティス!!範囲攻撃に切り替えて!!」
「キュォォォォン!!!」
正確に狙ってもかわされるなら圧倒的弾幕で!!
ティスの尻尾から発射されるビームを空間を制圧するばら撒き型の魔力弾に変える。
かわせる空間もない密接した弾幕なら……と思ったんだけど予想以上に天枷さんの回避力に私はびっくりしちゃった。
入り込めないような弾と弾の間を体をよじって抜けてくる……こんなの絶対おかしいよ……
魔法全般の実力じゃあ私とは雲泥の差……だ、だってサポートなんだもん!!!
その後すぐに弾幕は突破されて私目掛けて杖で突きをされたけどティスが魔法障壁で防御してくれた。
(キュルルルルル……)
ティスが苦しそう…どんどん障壁の魔力が削られてる!?
もしかして、この突き攻撃はティスの障壁を突破するための!?
最初からこれが狙いだったんだ……強すぎるよ……
「狙い打て風の弾丸!!迸れ水流!!ウィンドスプラッシュ!!」
ティスの障壁の魔力を削りながら中級魔法の詠唱!?
普通はどちらかに集中しないと魔法は発動させられないのに!!
これがハイブリット魔法なの……どんどん魔法を発動させられるなんて。
「バリア!!」
即時発動できる防御魔法を私の背後に展開して風の弾丸と水流を防ぐ。
でも…もうダメ…ティスの障壁の魔力が…
障壁が消えて天枷さんの杖の先端がトンと私の胸の辺りに当たる。
「刈羽さん……勝負あり」
ドン!!とドッジボールの球が勢い良くぶつかるような衝撃を受けて、ふわりと私の体は宙に浮いた。
ビリビリと制服が破けて……胸の辺りがスースーする……
そこで私は意識は途絶えちゃった……
~春樹SIDE~
数十回の打ち合い、その全てを僕はアリーヤで捌ききる。
僕の伊原くんに対する興味は無くなりこの勝負を早く終わらせたいという気持ちが強くなってきたんだよね。
一気にやっちゃおうかな。
伊原くんの刀をアーリヤで受け止める。
「おいで、シュープリス」
起動パスワード認証、PA「シュープリス」起動。
アーリヤを持っていた僕の右腕が白い装甲に覆われる、そして左腕、両足も。
僕の身体と頭以外は白い装甲が覆う、装甲薄い気がするけど・・・
「な……なんやて……」
伊原くんは驚愕して僕から離れる。
背中に推進装置の板状のスラスターが展開。
PA・・・パーソナル・アーマー。
日増しに強くなるハルファスに対抗するために作られた個人携行用追加装甲。
魔力をエネルギーに1個大隊並みの火力を個人一人に持たせることをコンセプトに作られた超兵器。
僕はPAの最先端のレイナード社のテストベットに選ばれていて社の最新装備を無償で提供してもらう代わりに装備の性能を実戦を通じて評価・テストする義務を課せられている。
ハルファス相手でなくても「戦闘」であれば評価の対象なので僕は始めからこの模擬戦でシュープリスの初回起動と性能検証をしようと考えていたんだ。
「そんなもん持ってるなんて聞いてへんで!!」
「まぁ、僕がレイナード社のテストベットになったの最近だし、シュープリスの起動は初めてだしね」
両手にアーリヤを装備すると、伊原くんの顔が青ざめた。
「ひ……卑怯や……」
「いやいや、元から使う気満々だったし。僕が本気を出したと受け取ってくれていいよ」
背後のスラスターが青白く光り、僕は宙に浮く。
「じゃあ、本気で行くよ!!」
一気にスラスターの出力をフルスロットルにすると一瞬でマッハ1を出した。
そのまま上空に高度を上げ待機……加速は問題なし、むしろ期待以上だね。
上空100メートル、そこから一気に地上に降り伊原くん目がけて突撃してみる。
両手のアーリヤの振り下ろし、急降下と加速を加えたその一撃は普通なら相手を確実にミンチにしてしまう程の威力だけど、今回は非殺傷ということでかなり手加減した。
伊原くんは刀で受けたけど衝撃を抑えられずに訓練場の端の方まで吹き飛んだ。
「んな……メチャクチャな!!」
宙で体勢を立て直して何とか着地した伊原くん、僕は左手のアーリヤを万能距離マシンガン「レイノス」に切り替え追い打ちをかける。
どんな距離での威力が減退しない機構を備えたこのレイノスはレイナード社がイチオシしてたんだよね。
僕の射撃に反応して伊原くんが回避しようと弾丸の嵐から走って逃げる。
偏差射撃で逃げ道を塞ぐように撃つと被弾して動きが止まった。
右手のアーリヤが展開してビームをチャージする。
「僕の勝ちだよ」
剣の刀身の間を電流が走り、先ほどの射撃の比にならない砲撃を発射する。
伊原くんはなす術なく砲撃に飲まれていった。
LOSE 伊原和也 城戸春樹の砲撃を受け気絶
こんにちは、私です。
まず、更新の間を空けてしまってすみません。
年末・年始の大売出し、父方&母方の祖父のお通夜&お葬式やネトゲにハマったりとリアルが忙しかったんです。
さてさて、模擬戦はいかがだったでしょう?
かなりの長文になってしまった……色々と収まりがつかなかったんだ……
なんだか男勢のバトルより女勢のバトルの方がスラスラ書けて盛り上がった気がします、まぁ女の子はかわいいですからね。
次回は因縁の対決編です、それでは~(>ω<)/