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ラスト・コンチェルト  作者: 樹 鈴
第1章
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第8話 決戦、C組Dチーム Ⅱ

初戦を終え、ハーフタイムとなった。


敗北し気絶した二人は覚醒し、訓練場の端にあるベンチで休憩中。


制服の上着が弾け飛んだ空は自分のジャージの上着を着て、和也はほぼ無傷だったが春樹のPAに一方的に敗北したことのショックにより放心状態だ。


「まさかここまで相手チームが強いなんて……」


と、桃歌は腕組をして義之たちのチームに歯を噛みしめている。


「お前が集めた情報以外の能力とか発揮してたけどよ……ちゃんと調べたのかよ?」


「もちろんよ、私の調査に抜かりはなかったわ。どうやら相手のチームが普段本気を出していなかったみたいね。授業中での情報しか集めてなかったのが甘かったわ」


「こういう戦術とかってセンコーたちも隠したがるからな……個人情報保護なんとかだからな」


「ええ、つまりこれから戦う河野くんのチームも私が集めた情報以上の実力を持っていると思っていいわね」


「まぁやるだけやってやるよ」


「頼りにしてるわよ、翼くん」


と、桃歌は翼を横目で見ながらウィンクした。





圧倒的勝利で初戦を終えた春樹と灯華は意気揚々とベンチに戻ってきた。


「お疲れ様、余裕勝ちね」


と、みなせは明るい表情で春樹と灯華を労う。


「思ってたほどじゃなかったね」


「うん、刈羽さんがレアスキル持ちだったけど楽勝だったわ」


「妙法寺たちがどういうやつらなのか、それが気になるが」


「そうね、でも勝ちに行くわよ」


「ああ、そうだな」





~義之SIDE~


ハーフタイムが終わり、俺は妙法寺と、みなせは桐原と向かい合う。


「言っておくけど、負けないわよ」


高飛車な態度で俺を挑発してくる妙法寺。


こういう挑発には普段なら冷静に乗らない俺だが、今はメラメラと闘志に満ちている。


「俺も負けないからな」


俺の言葉に返事を返さず、礼をした。


勝負事で礼儀を忘れないのは寺の家系からか、まぁ高飛車すぎるというわけではないのか。


俺も礼を返す、それを合図に月代先生が模擬戦開始のホイッスルを吹いた。


「それでは1-B組Eチーム対1-C組Dチームの模擬戦第2回戦を始めます」


合図と同時に、妙法寺が俺に迫ってきた。


右手のモデルを構えて魔力ライフル弾を発射、高速で飛翔する弾丸……予想通りその弾丸はかわされる。


両手足に魔力で強化しているのか、白色の魔力が覆っている。


続けて左手のモデルを発射しようとするが妙法寺の右手がモデルを弾き弾丸は宙に向けて発射された。


右手のモデルをリロードし、至近距離で発射するがその弾丸を妙法寺は右手で受け止めた。


(コイツ……肉弾戦がメイン戦術か)


相手の出方を伺うためにまずは単調な攻撃をしてみたが、これはマズかったと痛感した。


妙法寺の移動速度と攻撃速度が速すぎる、射撃戦がメインの俺に取っては分が悪すぎる。


チラっとみなせの様子を見るが桐原が二丁拳銃で詰め寄っていて俺と連携を取れる状況ではない。


戦力の分断、確かに有効だ。


先ほどの春樹と灯華は個人個人の戦闘能力が高い、それは連携を取らずに個人戦力が高い事を意味する。


一方の俺はみなせのような前衛と連携が取れないと話にならない。


なるほど、妙法寺はそのことを熟知しているのか。


バックステップで距離を取るが一瞬で詰められ右足の回し蹴りが繰り出される、それを左のモデルで止め右のモデルから魔力散弾を発射する。


散弾は近距離が真骨頂、避けられはできないはず。


甘かった、散弾を発射される直前で妙法寺はスウェーでかわされた。


そしてスウェーから戻る勢いを利用した右手の正拳が腹部を直撃し、痛みを感じると同時に俺の身体は宙を舞い数メートル飛んだ。


空中で体勢を立て直し地面に着地するが止まるまでさらに数メートル地面を削った。


胃から逆流した胃酸の苦味と酸味が広がる、それを意に介さず俺は戦略を練り直す。


近づかれては反撃もままならないのは言うまでもない、なら一定の距離を保ちながら攻撃をすればいいのだが妙法寺の速力ではすぐに間合いを詰められてしまう。


妙法寺の速力がそこまで速くない、今は目で追えるレベルだがそれが限界ではないと考えていいだろう。


こういう状況を想定はしていた、そのための「切り札」もある。


けっこう疲れるから本当は使いたくはないが、仕方ない。


妙法寺が俺に向かって突撃してくるの確認してモデルを回しリロード。


今度は魔力ライフル弾でも魔力散弾でもない。


このような俺単独で接近戦主体の敵と戦うことを想定した「切り札」だ。

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