第7話
しばらく歩き、町も目前と言った所で寄生者と出くわした。
だが、2体居る。
「鉄男と俺で1体ずつ相手しよう。鉄男、一撃で倒したりするなよ」
「分かってる。様子を見つつ痛めつけて寄生者の事を調べればいいんだろう」
鉄男は左の、俺は右の寄生者に近づく。
まずは近くに落ちていた小枝を拾って半分に折り、寄生者の眼球に突き込む。
少し離れると寄生者はこちらに向かってくるが、微妙に方向がずれている。
音を立てないように背後へ回り込んでみたが寄生者は気付いていないようだ。
寄生者を蹴り倒して太腿に鉈を振り下ろすと、大腿動脈を傷つけたらしく赤黒い水溜りが広がっていく。寄生者はしばらくもがいていたがやがて動かなくなった。
鉄男の方はどうかと見てみると、四肢がひしゃげた寄生者を絞め殺していた。
寄生者は鉄男に噛み付こうとしていたが、やがて力が抜け、数回喘ぐような声を上げた後糸が切れたように力尽きた。
「寄生者って言っても主に視覚と聴覚で相手の位置を探ってるし、出血多量でも死ぬな。鉄男は何か分かったか?」
「折れた手足はまともに動かない。窒息死する。見た目以上に力が強い。そんな所だな」
「力が強いのか」
「ああ、肘を踏んで折ろうとしたら凄い力で抵抗してきてな。苦労した」
脳による筋肉のリミッターが外れていたのだろうか。半ば死んでいるような物なんだろうし。
「悟、寺瓦君。寄生者の口から何か……」
後ろで吐いていた麻由美がいつの間にか復活していた。1体目の寄生者を鉄男が叩き割った時平気だったのは驚きが勝っていたのだろうか。
寄生者を見てみると、麻由美の言うとうり口からハリガネムシの様な細長い虫がウネウネと這い出していた。
「これがEの言っていた寄生虫だろう。たぶんメスだ」
「何でメスって分かるの?」
「歯に卵が着いているからだ。噛まれるとこの卵が傷口から体内に入って寄生者になるんだろう」
寄生者の目から小枝を引き抜いて口に突っ込み、開けさせると歯にビッシリくっついた卵が良く見えた。麻由美はもう一度吐きに行ったが。
「麻由美、大丈夫かー」
「大丈夫じゃない。なんで2人は平気なの?」
「その辺は今夜にでも話してやるよ」
麻由美が回復するのを待ってから町に入った。