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第9話

いまさらながら見切り発車すぎた。

 住宅街に着いたは良いが道は広いし、路地も無い。多くの人は車で逃げたようだから数は少ないだろうが寄生者(ゾンビ)との戦闘は避けられそうに無い。

 早いとこ安全そうな民家を探さないとならない。

 「(へい)と門があって二階建ての家が理想だけど……塀は有っても門がなかなか無いな」

 「平屋だと駄目なの?」

 「二階に陣取って階段を塞げば寄生者(ゾンビ)が家の中に入ってきても安全だろ。念のためにな」

 「ちょうどアレみたいな?」

 麻由美の指差す先には求めていた塀と門の有る二階建ての家が有った。ただし2体の寄生者(ゾンビ)も一緒だった。

 鉄男と俺が思い切り殴って頭をかち割る。麻由美も慣れてきたのか今度は吐かなかった。

 「中も調べてみないとな。まだ住人が居たら諦めよう」

 中に寄生者(ゾンビ)は居なかった。住人のものであろう家族への書置きも見つかった。住人が帰ってくる心配も無くなり、今夜はゆっくり休めそうだ。

 階段を家に有った本棚やソファで塞いで安全を確保。

 早めに行動したこともあり、3時を過ぎる頃には一通りの準備が済んだ。

 「じゃ、悟に話してもらおうか」

 「麻由美、藪から棒に何を言い出すんだ」

 「昼間言ってたでしょ。夜になったらなんで殺しても大丈夫なのか話してくれるって。まだ夜じゃないけど、もうやることもないでしょ」

 そういえばそんな事もあったな。

 「それは俺も気になっていた」

 「寺瓦君も?」

 「ああ、武田は寄生者(ゾンビ)を殺す時にまったく躊躇(ためら)わなかった」

 「鉄男だって何の躊躇いも無かったろう」

 「武道は体だけで無く精神も鍛える。だが、仮にも人の形をした物を殺して平然としているほどの精神を養うには免許皆伝する位には極めないとならん」

 週一で稽古つけてもらうくらいじゃその域には達しないのになぜ? ってことか。

 「分かった。あまり話す気も無かったが、隠す気も無かったしな。あれはこっちに引っ越して来る前、小2の夏の出来事だった――」

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