第二の冒険
~シンジsid~
洞窟に居た騎士達から逃げたのは良いけどどちらに向かっていけば良いのかよく分からない。
分かるのは、異常に肉体が丈夫になっていて、力も物凄いことになっていること。
持久力も上がっている。
普段なら、洞窟の壁どころか小さな石すらも素手では壊せないし、10分も全速疾走したら息が上がって走り続けられなくなる なのに、今はカレコレ30分は走っているはずだが全く疲れていないむしろ余裕でまだ早くはしれる気がする。
このドラゴンに触れているから、肉体が強化されているのかもしれない。
「なぁ、お前さぁ 魔法とか使える?」
「キュ?」
「・・・はぁ、聞いても分かるはずないか。取り合えず、村とか町が近くにあったらそこに隠れよう。それで良いか?」
「キュキュッキュゥ!」
「そうかそうか。ならもう少し早く進むか。」
走る速度を上げてから10分位たったころ、町の入り口と思われる門があった。
しかし、その門の前には人が一人立ってこちら側を見ていた。
そいつは、洞窟でみかけた騎士のうちの一人だと分かった。
騎士と目があったと思った瞬間、町全体が蒼白いナニカに覆われた。
「なんだあれ?」
「キュゥ?」
「ま、取り合えずあそこから動くことはないかな?町には行きたいけど、あの蒼白いのが気になるな。町の後ろに回って入るか。」
俺は走る速度を維持したままドラゴンに言ってみた。
はたからみたら、ただの変人だなと思いながら。
~ガスsid~
ったく、なんだってんだよ!最初、洞窟で見たときは弱そうな奴だと思ったのに。
俺達がドラゴンを倒して、ドラゴンの居たところの奥にあった通路を進んでいたら倒れていたアイツ。
寝ていたとかいってたな。
アイツもきっとブレイカーだと思う。
だが、ブレイカーの気配は全くと言うほど感じられない。
だから、あんなにも簡単に突き飛ばされた。
いや、それだけじゃないドラゴンをあれだけ簡単に手なずけた。
アイツはいったい何者なんだ。
ムニタからの連絡で奴は森を走り回り、町に向かったらしい。
俺達を撒こうとして、走り回ったのか?
アナリからは町に中級障壁を張ったと連絡がきた奴は町の裏門のところに行ったらしい。
「おぃ、坊主いざとなったら俺ごといけよ。」
「っ!?何言ってるんですかっ。そんな事できるわけありません。それに、4対1で僕たちの方が有利なんですからそんなことになるわけないじゃないですか。」
「俺の勘なんだが、アイツは強い。俺達が束になっても勝てる見込みがほとんどない。覚悟だけはしとけ」
「・・・普通ならブレイカーの力は拮抗する。これが覆るはずがありません。」
ガスとライはそのあと無言で目的の場所まで走った。
~シンジsid~
町の裏門のところも正面と同じで、蒼白いもが覆ってた。
「あ~、どうすっかな。」
さっきから、シンジは蒼白い壁を壊そうとしていた
「これは、俺にのたれ死ねってことか?俺が何したってんだよっ。うぅ、喉乾いたぁ」
「キュクゥ」
「慰めてくれんのか?ありがとな。お前みたいな可愛いやつを切ろうとした馬鹿騎士吹っ飛ばしたから入れてくんねーのかな。けどあれは、アイツらの方が悪いと思うしな。」
そんなことを言ってると、目の前の門が開きはじめた。
「あ?」
開いた門のところには髪の長い騎士が立っていた。
「げっ!」
「失礼な人ですね。姿をみただけで酷いです。貴方をこの町に入れることも壊させることも出来ません。おとなしくそのドラゴンを引き渡し、拘束されてください。」
「やだ。」
「即答ですか。もう少し考えてから答えた方が良いと思いますよ?」
「さっきコイツは何もしてないのにいきなりなんや斬ろうとしたじゃん。そんなやつらに何で渡さなきゃいけないんだよ。」
「はぁ、仕方ありませんね。話し合いで解決できればと思ったのですが・・・ガスさん、ムニタさん、ライさん話し合いは無理だそうです」
目の前の騎士が言い終わった瞬間、後ろからもの凄い殺気が近付いてきたのを感じられたので、体を横に無理矢理捻って横に転がり避けた。
「っ!!」
避けるのがもう少し遅ければ、俺は確実に死んでしまっただろう。
さっきまで俺が立っていた場所には、大剣が大地を砕いていた。
「はぁはぁ・・・いきなりなんだよっ!あぶねぇだろ。」
「・・・殺す気だったのだが、避けられてしまったか。」
そう言ったのは、無口な騎士だった。
いつの間に現れたのだろう。
俺を囲むように洞窟に居た騎士達が俺をにらんでる。
背中に嫌な汗が流れた。
「武力行使で一般人襲ってくんじゃねーよ!」
「貴様が一般人だと?笑わせるな。どこの世界にドラゴンを手なずけられる一般人がいる。嘘をつくならもう少しましなのをつけ!」
傷騎士がそう言いながら、拳を構えた。
「ガスさん、伏せてください!・・・時はきた 今こそ満ちよ 我は乞う 彼の者を捕えし楔 ガイナス!(大地の楔)」
その瞬間、俺の足元の大地から黄色い何かが吹き出したと思ったのもつかの間 気が付いたら檻の中に閉じ込められていた。
ガスが後ろの方で出番とられたとか騒いでるが無視。
「彼方にはこれから、ブレイカー封じの鎖と首輪をつけてもらいます。ドラゴンは今この場で殺すので渡しなさい。なお拒否権はありません。」
少年騎士がふざけたことを言っていた。
「・・・百歩譲って鎖と首輪はつけてやってもいいが、コイツを殺す?そんなことさせるわけねーだろ。」
俺は無表情で言った。
それに何かを感じとったのか、騎士達は、顔を引き釣らせていた。
黙っていることに耐えられなかったのか少年騎士がまた口を開いた。
「っ、ふん、そんなことを言っても無意味です。彼方はそこから出ることすら出来ないのだから。あなたの命は私達の手の中ドラゴンは諦めてください。」
少年騎士は早口でまくしたてた。
ムカつく。コイツはいったい何様なのだろう。
「ぶっ潰す」
そう言ったあと俺は檻を壊すために拳を打ち付けていた。
ガス達は、とんでもないものをみた。
シンジが拳を打ち付けると、檻は意図も簡単に砕け散った。
「お前たち、覚悟しろよ?」
シンジは最初にアナリを吹っ飛ばした。
次にムニタ、ガスと普通ならみることすら出来ないスピードで移動し、勢いを利用し吹っ飛ばす。
誰も動けなかった気付いたときには地面にたたき付けられている。ライはその動きを辛うじてみることは出来た。
だがそれだけシンジがライにまだ攻撃していないのは恐怖を植え付けるため。
「最後はお前だ。苦しんで己が無力にうちひしがれて絶望の果てに死ね。そうだ、死に方を選ばせてやるよ。一つ目は、手足をもいでどれくらい生きていられるかやってみる死に方。二つ目は関節全てをはずして狂いながら死ぬやり方。三つ目は、生き埋めになるか だ」
「・・・・」
シンジの出した選択肢に少年は目を大きく開き恐怖のあまり声を出せないでいた。
「お前たちから仕掛けてきたんだから、どんな酷い殺され方しても良いんだよな?お前は俺を怒らせた。選べないなら俺が選んでやるよ。指の関節を外し手足をもいで、生き埋「キュ、キュクゥ」ん?」
シンジはいったん少年から目を外し腕の中にいるドラゴンをみた。
もちろん、少年に向けたような怒りを押し殺しているような目ではなく大切なものを見る優しい目で。
「どうした?」
「キュゥ、キュクゥキュゥキュキュ」
ドラゴンは鳴きながらシンジの顔を両手で叩いてきた。
ぺちぺちぺちぺち・・・
「・・・こいつらを殺すなってことか?」
「キュゥ!」
ドラゴンが叩くのをやめて、うなずいた気がした。
「やだ」
俺は即答した。
「こいつらは絶対殺っわかった!やめる、やめるから叩くのやめろ」
「クゥ?」
「本当だ。コイツが歯向かわなければな。(ぺちぺちぺちぺち)冗談だ。けど、こいつらはお前を殺そうとしたんだぞ。」
俺がそう言うとドラゴンは甘えるように顔を俺の胸に刷り寄せてきた。
「・・・はぁ、仕方ない」
俺は少年の方を向いて口を開いた。
「おぃ今回はコイツに止められたから殺さないが次はないぞ?わかったな、さっきから様子をうかがってる奴もだからな。」
ビクッさっき吹っ飛ばした3人の騎士が反応した。
少年と話している間に気が付いたようだ。
「いつから気付いてた。」
傷騎士が立ち上がりながら聞いてきた。
「答えてやる義務はない。」
~少年騎士sid~
「答えてやる義務はない。」
目の前の男が無表情でそう答えた瞬間、僕は奴に文句を言おうとしたがガスさんに脳内言語通信で奴をあまり刺激するなと言われた。
僕は納得できなかったけどガスさんがそう言うならと大人しく従った。
ガスさんと話してるとき男が顔を歪めて何か言いたそうに僕の方をみてきた。
僕も男に負けないくらい顔を歪めてにらみつけた。
ガスさんに睨まれたけど気にしない。
男が口を開くととんでもないことを言ってきた。
「お前ら頭のなかに直接話するのはやめろ。不愉快だ。それに、まるぎこえだ」
っな!馬鹿な、有り得ない。
僕は、ガスさんだけにしか話しかけていないのにあの男にも聞かれていた?
ガスさんも多分僕だけに言ったはずだ。なぜ?
~シンジsid~
『あまりそいつを刺激するな。』
それは、後ろから殺気が放たれようとしたときだった。
最初は、幻聴が聞こえるまで疲れてしまってたのかと思った。
呆然としていると、最初の奴とは違う《声》がわめきだした。
話の内容からこの《声》の奴らは、傷騎士と少年騎士からのようだ。
少年は俺を倒してドラゴンを殺してしまおうと言っていた。
傷騎士の方は、今俺に攻撃を仕掛けても勝てる見込みがないどころか、逆に殺されてしまうと言っていた。
とりあえず少年の方を向き睨みつけておく。
傷騎士の方からは敵意をあまり感じないため、背を向けていても大丈夫だろう。
それでも尚、2人は《声》で話し合っている。いい加減ムカついてきたので煩いと言ってやったらなぜか驚いた表情で俺をみてきた。
何か変なことを言っただろうか。
まぁ、そんなことはどうでも良い。
「お前らは、俺に負けた。いい加減そこを退け・・・ついでにあり金もだs冗談・・・だ」
「キュゥ!」
「はぁ、チビ行くか」
「キュクゥ」
くっ、可愛いじゃないか!!
とか思いながら町に入ろうとすると、後ろから傷騎士が叫んできた。
「まて!確に俺達はお前に負けた。だが、町を破壊するのだけはやめてくれ!」
俺は立ち止まり相手の顔をみた。
(・・・何を言ってるんだろう。町を破壊?馬鹿かこいつ)
「た、タダでとは言わない。町の人達と俺の仲間を殺さないでくれるのなら。人を殺したいなら俺を殺せば良い。金が欲しいなら俺の持っている全財産持っていってくれて構わない。今は金貨23枚銀貨16枚銅貨9枚しかないがどうかこれで見逃してくれないか?」
黙っていただけなのに何か勘違いして慌てて条件を付け足した。
傷騎士の後ろでは他の騎士達が何か騒いでる。
はぁ、これ受けとるとドラゴンの機嫌きっと悪くなるよな?騎士達の陰謀か!う~んどうしよう・・・
「キュゥ?」
ドラゴンは意味を理解していないようだ。
よし、このまま金をもらって町でしばらくゆっくりするか
「わかった。金は貰っておく。人を殺したい訳ではないからお前の命なんか要らん。」
俺は、傷騎士が差し出している財布を受け取り町の方に歩いていった。
腕の中のドラゴンは困惑しついるのか、俺と傷騎士を見比べている。
町に着いたらまずは、服装をなんとかしないとな。
どうやら俺は異世界と言うところ。
しかも、魔法っぽい物がある所に何故か来てしまっているようだし・・・
~傷騎士sid~
ふぅ、今回は何とか手持ちの金だけで見逃してもらえたようだな。
今の俺たちでは、あいつには勝てない
俺の長年の感がそう囁く。そういうときの俺の感は外れたことがないからな・・・・
とりあえず。男が去ったあとムニタに奴を監視させ、アナリにはこの町の防御の強化、ライは俺と一緒に市長の所に説明しに行く事にした。
内言語通信通称「テレス」
伝えたい相手だけに脳内に内容を直接送ることが出来るブレイカー特有の能力の一つ。