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「宮下さん、だよね?」
「ぇ……あっ、うん。えっと……」
お兄ちゃん――先生の話なんてほとんど覚えていない。まだどきどきして放心していた時に急に声をかけられ、わたしは慌てて顔を向けた。
……たぶんきっと、少しだけ紅くしていた顔を。
「今日さ、一緒に帰らない?」
「あ……うん、いいけど……」
「うん、じゃあ、帰りに」
彼女はわたしの顔をどう見たんだろう……
にっこり笑う彼女を見て、わたしは急に恥ずかしくなって俯いてしまった。
――そうして、初めて気付く周りの声――
「かっこよかったよねー先生!」
「ちょーラッキー! よかったぁ、このクラスで!」
「当たりだよねー、わたし毎日学校来る」
「そんなの当たり前でしょー。それより、先生って何歳? 彼女とかいるのかなー」
――「微妙な空気」はなくなっていて、いつのまにか女の子の間でそんな話が盛り上がっていた。
あっ――と思う。
さっきまでのどきどきが冷めていく。同じように顔も頭も冷たくなっていって……
わたしは俯いて……なんだかわからないけれど、それがどういう感情か自分でもわからなかったけれど……
机の下で、ぎゅ――とスカートを握った。




