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宮下恋
和宮舞
「二人で『れんまい』だね」
「なにそれ」
名前を聞いて急にそんなことを言った彼女に、わたしは笑って聞き返した。
「コンビみたいでいいじゃん、アイドルユニット?とかそんなのであるでしょ」
「わたしは、双子を思い出したけど」
「あ、いいね双子。うん、そのほうがいいかも」
「なにがいいの?」
再び聞き返したわたしに、彼女も笑って。
「それくらい『合ってる』ってこと」
「……そうかも」
否定する理由もなく……ううん、むしろ嬉しくてわたしは照れて視線を外して、そして、頷いた。
彼女――舞ちゃんとの出会いは入学式後の教室。わたしの席の隣が舞ちゃんの席だった。
そんなの当たり前と思われるかもしれないけれど、ただ単に会うのと『出会う』は違うと思っている。わたしと舞ちゃんは一目で出会ってしまった。
ふと目が合った瞬間、『同じ』人間だって。
『――――』
その一瞬のことは今でも覚えている。
入学式後の教室。それはどこかふわふわしていて、クラスメイトとの距離を測るというか――喋りたいけど喋れないような。
「期待と不安」といえばそうかもしれないけれど、どちらかといえば、例えようのないなんだかよく分からない感じがしていて――そう、いってみれば「微妙な空気」。
そんな空気に満たされた教室で、わたしも誰かと喋ることはなく、五十音順に並べられた自分の席に座っていた。
本を読もうかな、とか考えるけど、こういう時に一人で本を読んでいたら、もうそれでなんだか「一人ぼっちキャラ」に認定されそうな気がして――といっても、それでもわたしは良かったのだけれど――今は止めることにした。
(……先生来ないかな)
自分で呟いた心の声に、少しだけどきどきする。そんなことあるはずがない、と思いつつも、どこかで期待もして。
――そんな時だった。
「…………」
彼女はすっと歩いてきて、わたしの隣の机に手をつくと微かなギギッという音を立てて椅子を引いた。
(隣の子……)
というのは学生生活において結構大事で、それは相手もそうだったみたいで、自然と視線が向いてしまう。
その一瞬だった。
『――――』
この「感覚」はなんだろうって今でも思う。お互い全然知らないはずなのに、なんだか「分かった」感覚。
――でも、それは本当に一瞬のことで、というよりずっと見つめているわけにもいかず。
「あ……と、よろしく」
「ぁ、うん」
彼女の言葉にわたしも曖昧に頷いて、視線を前へと向けた。
それからはお互いに無言。気にはなるけど、どう話していいか分からなくて……
もしかしたら、あの「感覚」を感じたのは自分だけかもしれないと、お互いに考えていて。
――うん、もしかしたら。
その後、先生が来なかったら……先生が「あの人」でなかったら、友達にはなっていなかったかもしれない。
キーンコーン
チャイムが鳴る――と同時に入ってきた担任の先生を見て。
わたしの息は止まった。
お兄ちゃん――わたしの担任の先生。
普段だったらそんなこと信じない。こんな言葉使わない――だけど、
わたしは思ってしまった。
これって、運命だって。




