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ホームルームは幸せのち不幸せ。
お兄ちゃんが近くにいる幸せと、それでいてお兄ちゃんが遠くにいると実感する不幸せ。
だって、いくら距離が近くても、お兄ちゃんは――先生はわたしだけの先生じゃなくて『みんな』の先生だから。
――っ
小さな音と共に目の前に転がってくる折たたまれた白い紙。
隣から飛んできたそれを開いてみる。
(『いちいち気にしてたら身がもたないよ?』)
チラッと横を見ると、彼女はわたしに視線も合わせずに片手で頬杖を付いてお兄ちゃん――先生のほうをぼーと見ていた。
なんで気付くかなぁって思いつつ、でもきっと、わたしも彼女のことは良くわかっていて、お互い様なんだろうなってどこかで思ってもいて。
だから、メッセージが書かれたメモの裏に返事を記して、折りたたんで隣へと投げ返す。
(『ありがと』)
頬杖を止めて紙を開いた彼女は、わたしに向かって(『いえいえ』)とちょこっとだけ手を振った。
そんな内心の言葉まで分かってしまうことに、わたしは思わず笑ってしまった。
先生――お兄ちゃんのほうへと目を向ける。
いつもよりもなんだか気が楽になって、わたしは好きな人を見ることにした。




