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れんまいっ!  作者: shio
第四話 「夕方の生徒指導室」
25/28


「恋ちゃん、舞ちゃん、かえろー。って、あれ、恋ちゃんは?」

「そういえば、ホームルームが終わってからすぐ出て行ってたけど、何かあった?」

「んー、何かあったというか……何もないから、何か起こそうとしているというか」

「? どういうこと、舞ちゃん?」

「どうしてもほしいものがあったらさ、気なんか使ってちゃダメだってこと」

「ああ、そういうこと」

「え、葵ちゃんわかったの!? ねぇ、どういうことぉ!!」



 ――――――――――



「――先生、少しいいですか?」


 廊下で呼び止めると、先生は振り返って、


「どうかしましたか?」


 と優しく問いかけてくれた。


「…………」


 言葉が詰る。決めて、心に決意して来たはずなのに、いざ話そうとすると声がでない。

 いつもと違うわたしに何かを感じたのか――当たり前だよね、家族なんだから――先生は微笑んで声をかける。


「場所を移しましょうか。職員室……ではないほうがいいですね」


 先生の言葉に――それは、わたしを気遣っての言葉だったから――嬉しくて「はい」と頷く。


「じゃあ、行きましょう」


 わたしは、先生の後を付いて行く。

 そう……そうだった。

 わたしは、いつもこうして先生――お兄ちゃんの後を付いていっていたんだよ。

 誰よりも、わたしが――


「さて、どうしたんですか、宮下さん」


 生徒指導室……夕陽が差し込む中、ここにはわたしとお兄ちゃんしかいない。


「…………」


 どうしよう……どきどきが止まらない。

 顔が赤い……きっと、そのことにも気付かれてる……

 でも……でも、いわなきゃ。

 言うの、わたしっ。


「……お兄ちゃん」


 胸に当てた手をきゅっと握り、わたしは呼んだ。先生ではなく、お兄ちゃんって。


「…………」


 お兄ちゃんは……少しだけ表情を変える。その「少しだけ」は他の人には分からなかったはず、わたしだから分かったこと。

 わたしが、妹だから……だから、分かったこと。


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