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「んで、どういうこと?」
我関せずとカフェオレのストローをくわえていた舞ちゃんが、静かになってから呟いた。
「だから、宮下が悪いの」
なんか……『宮下、宮下』言われてしまうと、わたしが悪いみたい。
いや、お兄ちゃんのことならわたしはどれだけでも背負うけれど。
「クラスを別々にするなんて……」
「それって、先生が決めることだっけ?」
「生徒のクラス分けって学力が平均になるように分けてるってなにかの本で見た気が。ここも同じかどうかは知らないけど」
舞ちゃんの質問に葵ちゃんが答える。わたしも初めて聞いたけど、クラスの学力が平均に、っていうのは確かにそうかもしれない。
「へぇー。というか、そもそも宮下先生って初めての担任でしょ。クラス分けのことは何もいえないんじゃない?」
「いーや、ぜったい宮下のせい!」
花ちゃんは納得いかず、頬を膨らませる。
「じゃあ、そっちの担任があんたを取ったんじゃない」
「うちの担任は女の子だからいいの!」
「なにその、女性贔屓」
「とにかく、ぜったいぜったい取り返すからね桜ちゃん!!」
わたしに抱き付いている桜ちゃんに、花ちゃんが抱きついた。
……なんだろう、この状況。
「まあ、こういう感じよ」
葵ちゃんの締めの一言に、わたしと舞ちゃんは思わず笑ってしまった。
どういうグループかは分からないけれど、入学三日目でできあがったわたしたちのグループ。
少し嬉しい気持ちと……少し不安な気持ち。
でも、きっと委員長になったことと同じで楽しい毎日になるんだろうなって思って……
「うにゅ~~」
いまだに抱きついている桜ちゃんの頭をわたしは優しく撫でた。
――――――――――
「ねえ、葵」
「ん? なに、舞?」
「葵はどこまで分かってるの、恋のこと」
「ああ……なんとなくは分かってるよ。多分、桜も」
「そう……」
「でも、いいんじゃない?」
「え?」
「私も、桜も別に変に思ってないし、いいと思ってる」
「そっか……ありがと」
「いえいえ。というか、やっぱり恋人みたいね、二人って」
葵の言葉にわたしは笑った。
「そうかもね。相思相愛だから」
「舞ちゃーん、葵ちゃーん、教室戻るよー」
「嫁が呼んでるよ」
「嫁いうな」
「自分でいったくせに」
二人で笑って、わたしと葵は恋のほうへと歩き出した。




