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「って、ああ~~! なに抱き合ってるんだよ! 桜ちゃんから離れろ!!」
「え……え? わたし?」
「そうだよ! 桜ちゃんに抱きついていいのはわたしだけなんだから!」
「私も、抱きついてるけど」
「葵は黙ってて! も~、いつもいつも~!!」
地団太を踏む。子供か……というより、見た目もそうだけどきっと多分……
「あー、気にしないでいいよ恋。花はいつもこんなんだから」
「こんなんっていうな!」
「えへへ、花ちゃんはね~、わたしの妹さんなんだよ~」
桜ちゃんがわたしの胸の中でにこにこして伝えてきた。あ、やっぱり、そうなんだ。
「双子の妹! つまり、わたしと桜ちゃんは一心同体なの! 幼稚園も小学校の時もずっとずぅ~~っと一緒だったのに、中学になって別って~~!!」
また、地団太。この数秒で、なんとなく花ちゃんの性格も分かってきた。
けれど、この後の言葉は予想していなかった。
「もう信じらんない! ぜーんぶ、そっちの担任の宮下のせいよ!!」
「ふぇっ!?」
「もう~、花ちゃんってば。宮下先生のせいじゃないよぉ」
「いーや、宮下のせい! 双子だから一緒にすればいいのに、桜ちゃんをとって~! いくら、桜ちゃんがかわいいからって許せないっ!!」
「とりあえず、うるさい。あと、宮下『先生』ね」
「あぅっ!?」
葵ちゃんが立ち上がって、花ちゃんをこづいて黙らせる。
「うう~~、暴力女~~」
「あんたがうるさいからでしょ。とにかく、座りなさい」
猫のように首根っこを掴まれて、花ちゃんはしぶしぶその場に座った。なんとなく、葵ちゃんと花ちゃんの関係もそれで分かる。




