1
「――――恋ちゃんって、先生の妹さんだよね?」
その言葉に、
「――――」
わたしは息どころか身体も止まって、頭が真っ白になってしまった。
――――――――――
学園生活三日目。
三日も経つと、なぜだかは分からないけれど大体の「グループ」なんかもできていて、教室での場所なんかも決まってきたりして。
でも、わたしと舞ちゃんは席が隣だったし、どのグループにも加わらず二人で過ごしていた。といっても、まだ三日しか経っていないのだけれど。
そんな三日目の朝。
「ねーねー、宮下さんー、和宮さんー」
おっとりした可愛い声で近づいてきたのは……確か、名前は如月さんだっかな。と、もう一人、那月さんだった。
「えへへ、今日一緒にお昼食べよぉ」
「ぇ、うん……いいよ」
「ありがとぉ~、じゃあ、またお昼にね~」
そうしてまた、にこにこしながらわたしたちから離れていった。
「…………」
わたしと舞ちゃんは顔を見合わせる。
どうして急に、と思ってしまう。わたしは入学してから二人を知ったし、舞ちゃんはというと……わたしを見て軽く首を振った。舞ちゃんもわたしと同じみたい。少しだけ不思議に思ってる。
急にどうしたんだろう、とか思っちゃうけど……考えすぎなのかな。友達になりたいっていうのに理由なんてないよね。
「そういえば」
舞ちゃんはふと呟いた。
「昨日の委員長の多数決の時、恋に手を上げてたかな、二人とも」
「え、そうなんだ」
「って、覚えてないの?」
「覚えてないよ。ずっと下を見ていたし……」
そうなんだ……二人はわたしに手を上げてくれたんだ。
嬉しいけど、どこか緊張もする。ただ「お昼を一緒に」っていわれただけなのに緊張するっていうのも変だけれど……
でも、手を上げてくれたってことは、わたしに何かを感じてくれたって事で……なんて、考えすぎかな。
「ま、お昼のお楽しみってことで」
「そうだね」
舞ちゃんの言葉にわたしも笑って頷いた。
ちょっとの期待とちょっとの不安。新しい友達ができる時ってそういうものだよね、なんて思ったりもして。
わたしは、もう少しで教室に来るお兄ちゃんを待つことにした。
……って、いけないいけない。先生だよね、委員長として号令しなきゃいけないんだからきちんとしなきゃ。
わたしは、お兄ちゃんの妹だけど、先生の妹になったらいけないんだから。




