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『舞ちゃんっ、ありがとうっ!!』
って抱きつきたかったけど、クラスのみんなの前ではそれは我慢して。
わたしは自分の席に着くと、舞ちゃんに小声でお礼を伝えた。
「ありがとう、舞ちゃん」
「いえいえ。ちゃんと話せた?」
「ぁ……うん」
さっきのことを思い出して、小さく頷く。そんなわたしを見て、舞ちゃんはにやにやと笑った。
「よかったじゃん――顔がにやけてるよ」
「えっ!? ほんと!?」
ばっと自分の頬を両手で包む。
わ……確かに少し熱いかも。恥ずかしい、わたしにやけてた?
「あはは、しっかりしてよー、委員長。わたしも巻き込まれたんだから。とんだとばっちりだよ」
「それは、舞ちゃんが推薦なんかするから……」
「え~。じゃあ、推薦しないほうがよかった?」
「……そんなことはないけど」
呟くわたしに、舞ちゃんはまたにやにや。
……もう、ほんとに舞ちゃんったら。
「まあ、勝算はあったんだけどね。もう少しぎりぎりになるかもと思ったけど」
「勝算?」
「うん、あんなにはっきり『先生目的』って感じがでちゃうとねー。そういうのが嫌な子もいるだろうし。真面目な子とかは特に」
「そっか、そうかも」
言われてみるとそういうものかもしれない。
「だから、勝てるって思ってた。まあ、結果論だけど」
「ううん、ありがとう」
わたしに何かを期待してとか、みんなから認められてとかではないけれど……それでも良かった。
「お兄ちゃんがね……『安心した』っていってくれたの」
「……そ」
(そりゃあ、先生も迫る子よりは迫らない子のほうが安心なんだろうけど……でも、それって恋の気持ちを全然気付いてないってことだよね)
「どうかした、舞ちゃん?」
「ううん、なんでも。っていうか」
舞ちゃんはわたしの頭をこつんっと叩いた。
「『先生』でしょ」
「あっ……ごめんなさい」
「もう、ほんとにしっかりしてよ」
「うん。でも、舞ちゃんが副委員長でよかった」
「まあねえ、他の子じゃ『お兄ちゃん』といちゃいちゃできないだろうしねぇ」
「っ! 舞ちゃん!!」
「あはは、ちゃんとバックアップするから安心して、『副委員長』として、ね」
「もう……」
からかってくる舞ちゃんに、わたしは頬を膨らませて……
でも、やっぱり嬉しくて、これから楽しい毎日になるって感じて、舞ちゃんと一緒に笑った。




