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「あ、あの、おに……先生っ!」
話し合いが終わっての休み時間。教室を出て廊下に居たお兄ちゃん――先生をわたしは呼び止める。
「あの…………」
だけど……振り向く先生の顔を見ると、急になにもいえなくなって……胸がいっぱいになって……
「なんですか、宮下さん?」
先生は優しく、『先生』の顔と声でわたしに接してくる。
でも……でも、それでもわたしは嬉しくて、話せたことが嬉しくて……
涙が出そうになるのを我慢して……そして、にこりと笑った。
「ごめんなさい。なんでもないです……先生」
「そうですか」
「……やっと、話せたね」
……だめ、だめ。こんなに甘えたら……でも、でも……
「…………」
俯いて呟いたわたしの言葉に、先生――お兄ちゃんは少しだけ困ったように、でも、優しく。
「こんなことをいってはいけませんが――本当のことをいうと」
小さな声で、わたしにこう伝えてくれた。
「少し、安心したんです」
ぱっと顔を上げる。視線があったわたしに、お兄ちゃんは微笑んだ。
「委員長、頑張ってくださいね」
そう伝えて、お兄ちゃんはわたしから離れて歩いていった。




