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第6話 旅立ちの朝

「アンディ。旅行とはいえ、外は危険だ。これを持っていきなさい」


 翌朝。いつも俺の部屋で目覚めた時は、下着姿でぼーっとしている姉が、きっちり着替えを済ませて、寝起きの俺に何かを押し付けてきた。

 硬い棒のような物は何だろうか……と暫く眺め、真っ白な鞘に入った剣だと気付く。


「姉さん。これは?」

「ふふっ。いつかアンディに負ける時が来たら渡そうと思っていた、貴方の剣よ。この国で一番腕の良い鍛冶屋に打ってもらっていたの」


 姉に言われて握ってみると、俺の手のサイズにピッタリで、物凄く握りやすい。

 それから、少しだけ鞘から抜いてみると、曇り一つない銀色の刃が朝日を反射して輝いていた。


「姉さん、ありがとう」

「可愛いアンディの為だもの。構わないわ。それより、怪我や病気に気を付けて、必ず帰ってくるのよ?」

「うん。ありがとう」

「まぁ病気はともかく、今のアンディが魔物に怪我を負わされるとは思えないけど、念には念を……入って来なさい」


 ん? 何だ?

 姉の言葉で、部屋にぞろぞろと十人くらいの男女が入って来た。

 えっと、いつも俺が外出する時について来るヒャッハー軍団と、毎晩俺の部屋に来るメイドさんだ。

 このメイドさんは俺が夜勤にしたのに、どうして朝に居るんだ?


「アンディ。旅行といえども、何が起こるかわからないわ。この者たちを連れて行きなさい」

「ヒャッハー! アンディ様の為なら、我々は何処にでもついて行きます!」

「いや、待って。待ってくれ……護衛はともかくとして、とりあえず多い。多いから」


 ブルスカはパーティメンバーを自由に変えられるシステムだったが、それでも上限は六人だ。

 あと、とある理由で最初はパーティを三人以下にしておきたいんだよな。

 とはいえ、姉にも勝てない俺が一人で行くというのも不安なので、二人連れて行くか。


「じゃあ、入って来た順で先頭の二人を……」

「お待ちください! 戦う事しか出来ない者だけをお連れするとは、どういう事ですか!? どう考えても、この中からでしたら私を選ぶべきですよっ!」


 ムキムキなヒャッハー軍団の男二人を選んだら、どういう訳か唯一の女性であるメイドさんから待ったがかかってしまった。

 何故か姉には旅行だと思われているけど、俺はこれからブルスカの最強装備を取りに行くんだからな?

 とはいえ、主人公より先回りして装備を取っておくだけで、ブルスカのストーリーをこなしていくつもりは一切無いが。


「えっと、確かに料理や掃除が出来るメイドさんが一緒に来てくれたら助かるけど、街の外は魔物が出るから危ないと思うんだけど」

「問題ありません! 毎晩坊ちゃまに夜のお仕事を断れ続けた一年間。どうすればお部屋に忍び込めるかと日々試行錯誤し続けた結果、今では気配を消してこっそりお部屋に滞在出来るようになりました。攻撃は出来なくとも、自分の身を護るくらいは大丈夫です」

「いや、マジで何してんの!?」

「ナニって……エヘヘ」


 待ってくれ! どうしてそこで顔を赤らめるんだ!?

 マジで毎晩忍び込んでるの!? 嘘だ……嘘だと言ってくれぇぇぇっ!


「ふむ。では、クレアは同行が確定として、アンディよ。他の者を選びなさい」


 何故かこのやり取りで、姉がメイドさん――クレアの同行を決定したので、最初に入って来たムキムキの男を選び、出発する事にした。

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