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第35話 ミーナ

「くっ! 新手かっ!」


 ブルスカのクリア後の隠しダンジョンに現れる、ラインハルトを除いた魔族……いわゆる四天王ではない。

 かといって、魔王を倒すまでに現れる魔族でもない、ブルスカに登場しない魔族か!

 マズい。ラインハルトは攻撃パターンや弱点を知っていたから倒す事が出来たが、今の装備で未知の魔族に勝つのはかなり厳しい。

 しかも俺の腕にはミーナが居て、剣すら握っていない状態なので、とにかく逃げなければ……と思っていると、


「あ、パパー! おそいよー!」

「遅くなってしまって、すまない。ミーナ」


 ミーナが嬉しそうに声を上げ、謎の中年魔族が頭を下げる。


「え……えーっと、ミーナちゃんのお父さん!?」

「そうだよー! パパー! ぜんぜん、かえってこないから、ミーナはおにいちゃんに、あそんでもらっていたのー!」

「人間族の剣士よ。迷惑を掛けてしまい、誠に申し訳ない。これには色々と事情があったのだ」


 とりあえず、ミーナが目の前の魔族の男性を父親だと言っているから……ミーナは魔族の幼女という事なのか?

 いやでも、角が生えていないんだけど。


「とりあえず、事情を説明していただけますか?」

「もちろんだ。私はイグナーツ・バルツァー。君に抱っこしてもらっている、ヘルミーナ・バルツァーの父親で、魔族の王……魔王という立場にある者だ」

「……はい? あの、魔王!? というか、ヘルミーナって……ヘルミーナ!? ミーナちゃんの事!?」

「うむ。娘にとって、ヘルミーナという名前は少々長いようで、普段はミーナと呼んでいるのだ」


 待ってくれ。目の前に居る男性が魔王で、ミーナの本当の名前がヘルミーナで……うん。いろいろと繋がってきた。

 というのも、ブルスカのラスボスは、魔王ヘルミーナという名前の、女性の魔族だ。

 ただ、当然ながらミーナのような幼女ではなく、露出の多い巨乳の女性なのだが……いや、巨乳はどうでも良いのだが、どうしてこの幼稚園児くらいのミーナが、たった二年で女子高生ぐらいにまで成長するんだ?


「あ、あの坊ちゃま。魔王って……」

「あぁ、心配しないでくれ。私は人間族に敵対しようとは考えていない。というか、ミーナの恩人たちに恩を仇で返すような事は絶対にしないと誓おう」

「そ、そういう事でしたら……」

「ひとまず、魔族の事について少し説明させて欲しい」


 クレアの言葉を聞き、イグナーツが魔族について話し始めた。

 といっても、そこまで複雑な話ではなく、人間と共生をしようと考えている現魔王イグナーツ派と、人間を奴隷にして最終的に滅ぼそうと考えている魔皇子ラインハルト派で、魔族が二つに分かれているらしい。

 だが、今はラインハルト派の方が勢力が強く、イグナーツはミーナを護る為に、魔族の住む魔界を離れ、地上に身を隠して住んでいたのだとか。


「しかし、この街の近くに住んで居るというのはラインハルトに見つかってしまってね。私をおびき出す為に、ラインハルトが街を半壊させたんだ」

「あ……数日前に魔族が攻撃してきたというのは、やっぱりラインハルトだったんですね」

「うむ。しかも、奴は直属の四天王という部下を連れて来ていてね。今の今まで、その四人とずっと戦っていたのだよ」


 イグナーツによると、ラインハルトは自ら戦うタイプではないため、四天王に加勢はしないものの、ずっと魔力の補給をしていたらしい。

 そのため、四対一と分が悪い上に、魔力切れを心配せずにずっと全力で攻撃されていて、中々倒す事が出来なかったそうだ。


「ところが、君がラインハルトを倒してくれたからね。補給がなくなり、全力を出せなくなった四天王は私の敵ではなかったので、消滅させてここへ飛んで来たんだ」

「はぁ……なるほど」

「ラインハルトさえ居なければ、人間族を奴隷にしようとしている派閥など、すぐに潰す事が出来る。今後は、二度と魔族が人間族の街を破壊する事がないようにしてみせるよ」

「それは、是非そうしていただきたいですね」

「あぁ、約束しよう。そして、ずっと独りぼっちにさせてしまっていたミーナと一緒に居てくれて、本当にありがとう。ミーナの寂しさが極限に達すると、大変な事になっていたところだったよ」


 そう言って、イグナーツが再び頭を下げる。


「ちなみに、ミーナの寂しさが限界を超えるとどうなるんだ?」

「魔族は、怒りや悲しみ、孤独や不安などの感情が爆発すると、成人になるんだ」

「えっ!? 感情で成人に!? 年齢とかではなく!?」

「魔族の寿命は一万年以上あるからね。ある意味で年齢など無意味なんだよ。実際、ミーナだって生まれたのは十八年前だからね」


 えっ!? ミーナが十八歳!? どうみても幼稚園児なのに!?

 いや、だからこそ成人になった時――ブルスカでは巨乳……いやだから、巨乳はどうでも良いんだって!

 あ……待てよ。ブルスカでは、ラインハルトが魔王ヘルミーナの覚醒に関連しているという話だった。

 この覚醒というのが、魔族の成人化の事を差しているのであれば……もしかして、ミーナの唯一の肉親である父、イグナーツがラインハルトに殺されたという事だろうか。

 もちろん、こんな事を二人に聞く事は出来ないが、おそらくそういう事なのだろう。

 だが逆に言うと、イグナーツが二年後に殺されるというのは考えにくいから……魔王ヘルミーナの覚醒も回避したという事か。

 やった……という事は、もうテッドの街も破壊されないし、姉も死なない。

 俺は、世界を救ったんだ!

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