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第17話 ファソの街での買い物

 ゆっくりとラクダに揺られながら、砂漠を南東に向かって進む。

 それにしても、昨日何度も倒した魔物が一体も現れないのはどうしてなのだろうか。

 俺と同じ事をエルマが思ったらしく、先頭を行くラクダの持ち主に質問を投げかける。


「ねーねー。どうして魔物が現れないのー?」

「ラクダの首に、特殊な魔物除けの首輪を付けているんです。完全に魔物が居なくなる訳ではないですが、ある程度の魔物は嫌がって逃げていくみたいですね」


 魔物除けの首輪というのがあるのか。

 これもブルスカにはなかった物だな。

 まぁブルスカではレベル上げをしないといけないので、魔物が出ないと言うのは困るのだが、俺は魔王を倒そうと思っている訳ではないので、この首輪はアリだ。


「すまない。その魔物除けはどこで買えるのだろうか」

「もうすぐ到着するファソの街で買えますよ。ただ、魔物の種族により魔物除けに効く成分が違うとかで、おそらくこの辺りに現れる魔物にしか効果は無いと思いますが」

「そうか。それは残念だな」

「とはいえ、私も詳しい事は知らないんで、作っている人に聞いてみてはどうですかね? 割と有名なので、聞けば店の場所はすぐにわかると思いますし」

「わかった。ひとまず話を聞いてみるよ」


 その後も魔物が現れる事なく、ブルスカに登場しない街、ファソへ到着した。

 街の半分が砂地で、もう半分が乾燥した土……サバンナみたいな感じだろうか。

 まばらではあるが草木もあって、砂漠ではいようだ。

 これが、街の半分まで砂漠化してしまったのか、街の半分まで砂漠化を解消出来たのかはわからないが。


「すみません。この街で魔物除けの首輪が買えると聞いたのですが」

「あぁ、それならあの赤い屋根の家だよ」

「ありがとうございます」


 道行く人に尋ねてみると、ラクダの持ち主が言っていた通り、すぐに判明した。

 早速中へ入ってみると……うん。お店って感じではないな。

 どちらかというと、工房って感じだろうか。


「あの、こちらで魔物除けの首輪を扱っていると聞いたのですが」

「はいはい。お幾つ必要ですか?」

「一緒に行動するので、一つあれば良いのですが……その魔物除けの首輪って、どういった魔物に有効なんですか?」

「今は三種類販売していまして、この砂漠に出現する魔物に効くものと、ここから南にある山岳地帯に効くものと、東のラームの街の周辺に効くものがありますねー」

「それ以外の箇所だと効かないのですか?」

「えぇ。魔物の生態が違いますから。元々同じ魔物でも、棲息している地域の環境に合わせて少しずつ進化しているみたいでして、対象の魔物を研究しないと作れないんですよ」


 なるほど。洞窟の魔物を無効化出来たら、かなり楽になると思ったのだが、残念だったな。


「俺たちはラームの街へ行こうと思っているので、その周辺の魔物に効くものを頼みます」

「わかりました。あ、先に言っておきますが、これは昼にしか効かないので、注意してくださいね。夜は魔物が活発になる時間ですから」

「……他に注意点などは?」

「空腹状態だとか、怒っている魔物には効かないです。あとは、滅多に遭遇する事はないと思いますが、固有種とかですね」


 固有種……いわゆる、特殊固体とかユニークモンスターと呼ばれる魔物だな。

 珍しいアイテムを落とす事が多いし、経験値もかなり多く貰えるので、遭遇したらむしろラッキーなんだが……あくまでそれはブルスカのゲーム内の話だ。

 最強装備に関わらないし、戦う必要もないだろう。

 ラクダ用ではなく人用という事で、ラーム用の魔物除けの腕輪を勧められ、クレアに身に着けてもらった。


「指輪に続いて腕輪まで……坊ちゃま。ありがとうございます」


 これで、ラームの街までではあるが、旅が楽になると思ったのだが、


「ねぇ、アンディ。そこにラーム行きの馬車の乗り場があるんだけど」


 エルマの言葉で今買ったばかりの腕輪が無駄になる。

 そうだった……世界崩壊前だから、普通に乗り物があるんだった。

 馬車を見てみれば、当然ラクダと同じ首輪を付けている。

 先程の腕輪はラームの街周辺までしか効果がないと言うし、その先では本当にただのアクセサリーだ。


「……と、とりあえず馬車に乗ろうか」

「はいっ! ではチケットを買って参りますね」


 まぁその、なんだ。

 何故かはわからないが、クレアの機嫌が直っているし、僅かに魔法防御力が上がるようなので、全く無意味ではなかった……と思っておこう。

 ……結構良い値段がしたので、本当に無駄遣いだったが。

 馬車で俺の隣に座るクレアが機嫌よく話し掛けて来る一方で、俺は若干へこんでいるが、魔物に遭遇する事なくラームの街に到着した。

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