第65話 オークのエルンヘイム解放戦②
魔王立志伝ワールドにようこそ(`・ω・´)
エルンヘイムの東門から淡い光源が空に上がっていくのが見えました。
私、セレルは名誉な事にヒルベルダ様と共にイナバ様とグリッシュ様にエルンヘイムへの陽動作戦の指揮を任されました。
サンダルファン王国で何ら権限のない王女を務めていた頃にエルンヘイムには何度も外交で訪れた事が有りましたのでこの都市の事は多少なりとも知っております。
魔王の王女であるヒルベルダ様には及びませんが彼女と共に必ずこの作戦を成功に導いて見せますわ。
この都市の防御力は他と比べて秀でているものの監視体制にやや難があります。
どこに監視所があるかを知っていればビックリする程に脆い所が有るのです。
もちろん先ほどの魔法も細心の注意を払っており対象者だけに知覚できるよう効果がでるものを使用すると事前に打ち合わせしてありました。
(みなさん、私達には認知を阻害する魔法がかかっていますが注意して前進してください。手筈通りなら間を置かずに東門が開かれるはずです)
エルンヘイム潜入はイナバ様とグリッシュ様にお任せしましたが彼女が作戦前に精神通話の魔法を主要人物にかけてくださりました。
お陰で私達は口を開かずとも会話を交わす事が出来ます。
2人きりにするのは些か不満ではありましたけども……。
私達は静かに前進を続け東門に向かいました。
「東門、開きます!」
極めて抑えられた先鋒の兵士の声が私の元にも届きました。
見ると確かにそれまで静かに佇んでいた東の大きな重い門がゆっくりと開き始めたのです。
「前進!」
門の影からイナバ様とグリッシュ様が抱き合って現れた時に私は思いました。
よし、戦争だ……と。
ヒルベルダ様、リーザ様、そんなに緊張なさらなくとも極力周りに被害を出さない様にしますのでご安心ください。
☆★☆★☆★
全く上司の理不尽な説教には辟易である。
我らの魔王マルファス様を討った逆賊ロマリアスになぜ忠誠を誓わなくてはいけないのか。
そんな事をポロっと漏らしてしまったからなのか上司から明らかに嫌がらせに近い指示が来るようになってしまった。
挙句、言う通りにこなせないと数時間に及ぶお説教を食う様になってしまった。
今日は今日でお前は日ごろの行いが悪いので神に見放されているとか何とか言って来て怪しいロザリオ型の魔道具を身につけろと言ってきたが断固として断った。
あんな上司が敬う神なぞに救われなくともいいわ。
天罰を喰らうというならロマリアスのクソ野郎に一撃喰らわせてマルファス王に殉じてやるさ。
そんな事を考えながら安酒を煽り早々に寝る事にした。
明日もしがなく下級兵士として職に従事しなくてはいかん。
最早ウンザリではあるが国の為にやれる事をやろう。
ようやくウトウトしてきた真夜中過ぎ。
寝床で丸まっていると城壁の方で凄まじい轟音が響いた。
どかぁぁぁぁああ――――んっ!!
「な、なんだっ?! また厄介事か……?! 勘弁してくれ」
寝不足と安酒の所為で頭痛がしてきたがこのまま何も確認せずに眠っていたら翌朝またまた上司にどやされてしまう。
俺は眠い目をこすりながら寝床から起き上がると剣を手に兵舎の外に出た。
そして音のした城壁の方を見ると煌々と炎が上がっていた。
俺は急ぎその方向に駆け出していた。
☆★☆★☆★
走りながら俺は不思議な感覚を覚えていた。
どうやら攻撃を受けたのは東門の方らしい。
先程の轟音からすると凄まじい被害が出ていると思っていた。
だが、上がる炎は凄まじいのだが拍子抜けする程に被害は出ていない。
「陽動……か?」
「フォルッ! あんたも来たのね!」
「ティアナ、お前も来たのか……」
ティアナは俺と同じ連隊に所属の女性兵士だ。
もっと言ってしまえばエルンヘイムで生まれ育った幼馴染だ。
「音のしたのは東門の方だ。いくぞ!」
「わ、待ってよ!」
俺はティアナを連れて東門に向かって走る。
角を曲がり東門を視界に入れる。
既に門は開かれており開門したと思われる人影が揺れて消えた。
よく見ると門の外には二個大隊程の部隊が展開していた。
そして城壁の守備兵と戦闘を行っている。
ただ、不思議な事に門が開かれているのに敵の兵士はなかなか街の中に突入しようとしている様に見えなかった。
なにかおかしいけど……まあ、いい、直ぐに守備兵の加勢をしなければ……。
「フォルッ!! 速いよ! やっと……追いついたよ」
「既に戦闘が始まっている! 守備兵に加勢するぞ!」
「――っ!? 待って! あれ見て!」
「わっ! どうした?!」
東門に行こうとしてティアナに腕を掴まれてバランスを崩しそうになる。
彼女の指差す方向を見ると……一人の少女が東門の下で守備兵と戦っている。
あれは……鬼人か……。
あれ?
あの子、見覚えが……。
って、向かってきた!
掌底を繰り出そうとしているのが見えたので必死で防御姿勢を取る。
そして目の前に少女が現れた瞬間。
「……思い出した!」
「あ、あなたはっ!」
「フォルッ!」
ずどぉ――――んっ!!
俺は物凄い力で建物の壁に叩きつけられた。
☆★☆★☆★
私とリーザは部隊を率いて東門にギリギリ入るかと言う所で戦っていた。
魔導士部隊には城外から魔法で攻撃をさせているが兵士達には直ぐには街に侵入せず街の外で戦う様に指示を出している。
なので今、私達が居る位置が最前線の筈だ。
「セレル様っ!! 敵兵ですわ!」
リーザの声に反応すると東門に近付いて来ていた敵兵2人が目に入った。
なんと……こんなに近付くまで私が気が付かないとは……。
恐らく手練れに違いない。
先手必勝!
突撃して片方の兵と肉薄した瞬間!
私は彼……、近づいた男性兵士に見覚えがあった事に気付いた。
「あ、あなたはっ!」
ダメッ!
拳が止まらない!
ずどぉ――――んっ!!
彼は私の攻撃で吹っ飛んで建物の壁にめり込んでいた。
私は少しだけ反省した。
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