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魔王軍立志伝―仕事を辞めたら魔物になりました―  作者: ヨシMAX
第1章 新米ゴブリンの挑戦
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第47話 オークと森のダークエルフの少女

書いて出しになりますがお付き合い頂けると嬉しいです。



 俺達はウェルニーに辿り着き四天王の2柱目ガンダルフを仲間に加え物資補給も終えたのだが何故だがエルンヘイムに旅断つのに時間がかかっていた。


 なぜなら俺が負傷し昏倒したからだ。

 どうしてそうなったのかは俺の名誉の為に伏せておこう。


 いや、あれって俺が悪いのかな?

 なんにしろそこから一昼夜後に俺達は次の目的地に出立した。



☆★☆★☆★



 さて、次に向かうのはエルンヘイムだ。

 魔王マルファスが討たれてから初めての訪問となる。

 街がどうなっているのか、全く予想がつかない。

 

 街の人々は無事だろうか、ギルドの人々は無事だろうか。

 心配の種は尽きないがここで悩んでも仕方がない。

 この不安を解消するには一刻も早くエルンヘイムに着くしか手はない。

 なので今回は途中のグラントックには寄らない事にした。


 現在、生死不明の仲間がいる時に温泉街による気にもなれない。

 そして俺にも個人的にエルンヘイムに急ぎたい理由があった。


 後だしになり恐縮だが俺はリーザからあるアイテムを受け取っていたのだ。

 みんなと逸れてリーザに救助された後に訪れた砦で遭遇した魔族。

 そいつが持っていた「人狼卿の牙ワーウルフロードズファング」だが……。

 これは恐らくだがオークからワーウルフに進化する為に必須のアイテムだ。

 名前の恥ずかしさはともかく……超重要なアイテムである。


 エルンヘイムを出発してからというもの、頭がおかしくなりそうな戦闘ばかりを潜り抜けてきたのだから経験値的には申し分ないはず。

 まあ、実際にステータスでも確認した。

 そこに要進化アイテムが手に入ったとなればもうやる事は一つだ。


 一刻も早くエルンヘイムに行き種族進化をしたい。

 もちろん他の街のギルドでも種族進化は可能であるがエルンヘイムのギルドの皆の消息を確認する為にも目的地を決めた。

 あのギルマスは軽い所があるが……頼り甲斐もある、なんだか安心できるのだ。



 ウェルニーとエルンヘイムの間を一直線に進む俺達は深い森の中を進んでいた。

 道はあるがもちろん舗装などされておらず自然満載の割と広いけもの道だ。


 隊列はリーザ隊、ガンダルフ隊と続きリーザ隊の先頭にリーザ、副官のイツハにクインシー、リーザ隊の中盤に俺とセレル様、リリアにゴブリン部隊、ガンダルフ隊の先頭にガンダルフがいる。


 俺達は騎乗しており歩行速度程度のスピードで進んでいるがゴブリン部隊は緊急時に対応が難しいとの事で徒歩でついて来ている。

 全員が平気でついて来ている、健脚で驚いた。

 まあ、ジータンはなんか知らんが浮いてるけどね、アルシーのやってた魔法かな。


 あれ?

 この森、何か見覚えがあるな。

 なんだろう、……とても重要な森があった気がするんだけど。


 この世界に来てから常々感じる事があるのだが何か大事な数々の記憶を俺は失っている様な気がするのだ……。

 何者かに記憶に制限を掛けられている様な、そんな気がするのだ。


 ――と、先頭のリーザ隊から伝令が俺達の所に来た。

 あんなに慌ててどうしたんだろう。



 「申し上げます! リーザ様より緊急でお伺いしたい事象があるとの事、セレル様とイナバ様のご同行を願います!」


 「俺と……セレル様? なんだろう?」


 「さあ、わかりません。とにかく行ってみましょうか」



 馴れたもので俺は騎馬に合図を送り速足で前に出る。

 続いてセレル様も同じく騎馬に指示を出し俺の後に続く。


 俺達は急ぎリーザの待つ先頭に走った。



 ☆★☆★☆★



 これは……どうしたら良いのでしょう。

 この者達と私達魔族はお互いに不干渉の契約をしている間柄ですのに。

 行軍中にこの様な場面に出くわすなんて……。


 とにかくイナバ様とセレル様のご判断を仰ぎますわよ。


 すると丁度良いタイミングで後方から伝令と共に大急ぎでやってくる2人が見えました、待ちましたわー。



 「リーザっ! 何かあったのかい?!」


 「イナバ様、セレル様、こちらをご覧ください」



 私は2人に自分の困っている原因となっている人物を見せた。

 それはダークエルフの少女だった。



☆★☆★☆★



 「こ、これは……」


 「ダーク……エルフですね」



 俺とセレル様は互いに絶句した。


 恐らくセレル様が絶句した原因はこの世界でダークエルフ族が他の種族と接点を遮断しているからだろう。

 ダークエルフは関わると碌な事にならない種族……と言うのがこの世界の認識なのである。


 と言うのも一たび戦争が起きると報酬次第で闇に潜み敵の首脳を暗殺したり、敵国に潜み流言を画策したり、あらぬ噂では黒魔術にも長けているとか。


 まあ、俺はそんなものは噂に過ぎないと知っている。

 あくまでも率いる族長しだいなのだ。

 クラインは品行方正で……とてつもなく頑固者の妹信仰者だ。


 それはそうと……俺が絶句したのは忘れていた記憶を思い出したからだ。

 さっきも感じた違和感だ。

 いろいろな事を忘れているのは記憶に制限でもつけられているのだろうか?

 

 そもそもこの世界にゴブリンに変えられて落とされたんだよな。

 五体完全体だったので勘違いしていた。

 記憶に不都合がある位の事は予想しておくべきだったか。



 あ、そうそう、ダークエルフだったな。

 この娘は……クラインの妹だ。


 そうだ、魔王軍四天王の一人、ダークエルフ弓矢兵団団長のクラインだ。

 この娘に手を出した――城に誘ってお茶を飲んだだけなんだが――せいでクラインが激怒して俺は本気で逃げたのだが顔面目掛けて矢を射かけられたのだ。


 あれは本当に死ぬかと思った。

 いや、あの当時はVRゲーム内の出来事だったけどさ。

 しばらく怖くてログインできない程に恐怖を植え付けられた。


 さて……どうしたもんか。

 この妹に下手な事をしようものなら地の果てまで追われるだろう。

 クラインとの出会いの可能性の手掛かりを思い出せたのは良いのだが……。

 その後、どうすればいいかが思いつかない。


 というか、そもそも何でこんな道の真ん中で気を失っているのか。

 仕方がないので俺は全軍をそこで止めてキャンプ準備を命じた。

 全く、重すぎる兄弟愛って厄介だよね。




ここまで読んでくださり有難うございます。

よろしければ評価いただけると中の人が喜びます(^o^)丿

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