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転生勇者は結婚したい  作者: Resetter
2/6

今夜は飲み会

綺麗に石畳が敷かれた道路。西洋風の建物が並ぶ街。

その街の中央には噴水がある。

その広場からは、遠目に白亜の王城が見え、夕焼けに染る城の美麗さは絶景で、夜を共に過ごすカップル達の、定番の待ち合わせスポットになっていた。


――ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「まだか、ジーニスのやつは……」


無数のカップルがイチャつく噴水前広場に、場違いな男が一人。


よせばいいのに、一番目立つ噴水正面に座っている、盗賊か山賊かというダッサイ服を着た、モッサいアラサー男は、落ち着き無くそわそわとしていた。


貧乏揺すりが酷過ぎて、膝は残像が出来ている。

その全く余裕の無い姿は、誰が見ても救世の勇者とは思わない。

タダの怪しいオッサンである。


「おー!アレクー!待たせたなー!」


そこに、一人のチャラついた男が現れた。

街で流行りのブランド服で、そのスラッとした身体を包み、派手なアクセサリーを、周囲に見せ付けるかのように煌めかせているその男は、何を隠そう勇者アレクの元パーティメンバー、賢者ジーニスその人である。


――ゴゴゴゴゴゴゴゴ

「……遅いぞジーニス!」


「すまんすまん!昨日捕まえた娘が中々離してくれなくってよ……っておい!?おま、それ……」


賢者ジーニスは、その整った顔を青く染めながら、勇者アレクの足元を指差した。


その指先は、プルプルと震えている。



――ゴボォゴパァゴボボォ

「……え?

……あ!やば!」


勇者アレクの【貧乏揺すり】

辺り一面の地面はマグマ化した!


いつの間にか、噴水前はキラウエア火山の溶岩流のようになっていた。


「ちょ……くっ……!アイスワールド!」

賢者ジーニスの【アイスワールド】


――ブシュウー!!!

強制冷却!

辺りにはとんでもない量の水蒸気がたちこめた!


「「「きゃあああ!!!」」」「「「うわあああ!!」」」

「「「な、なんだ?!魔王軍か?!」」」


広場はパニック!阿鼻叫喚だ!


「アレク!逃げるぞ!」

「お、おう!」

勇者達は逃げ出した!


「誰だァ?騒ぎを起こしてんのはァ?!」

しかし回り込まれてしまった!


「「マッソー!?」」


王国警備隊隊長マッソーが現れた!

マッソーの口撃!

「お前達かァ?!なにしてんだ!」


アレク&ジーニスの合体口撃!

【言い訳】

「「え、待ち合わせだけど……。」」


マッソーには効果が無かった!

「それがなんだってこんな事に?!とりあえず来い!!」


勇者アレクと賢者ジーニスは捕獲された!



広場の石畳は、マグマ化した後、賢者ジーニスの広範囲氷魔法で冷やされた事で、ガッタガタになっていた。


だが、幸いな事に、怪我人は無かった。


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