いじめられていたら王女になりました。77話
「ありがとうございます、母上、父上。」アニアが言った。
「それで、まずはどこに行く?」私が聞く。
「そうだな、まずはアナリアに会いに行こう。彼女は今魔王城にいるはずだ。」
そうだね、確かにいるはず。
アナリア様はあの戦いの後、魔王城の守り神になった。
城を守りながら、幼い炎の戦士人形達に言葉や文化を教えている。
「じゃ、さっそく会いに行こっか?」
私がそう言うとリオは首を横に振り、「いや、私だけで聞いてくる。なつな達は旅の準備をしていてくれ。」
何かあるんだろうな。
私にも話してくれたっていいのに...
「うん、わかった。」
「すまないな。」
「ううん、大丈夫、信じてるから。」
私がそう言うとリオは私の額にチュッとしてからこの場を去った。
「母上、子供達はどうしますか?」イニアが聞いてきた。
「そうねぇ、置いていくわけには行かないわ。それに言ったでしょう?家族旅行だって。」
「そうですね、ではセルラも連れて行きましょう。」
ウニアが言った。
それにしても、子供達2人を連れて旅行なんて、行ったことなかったわね。
なんだかこれから大変そうではあるけど、ちょっと楽しみでもあるのよね。
「リオ、今頃話してるかなぁ?」
「天から降りてくるはずの魂を横流ししている者がいる、それを創母神、母上に伝えたいと、なるほど、あちらの国では大変なことになっているのですね。」
リオダルクはアナリアに事情を説明していた。
「あぁ、できれば居場所を知りたいのだが...できるか?」
「そうですね、今、テレパシーを送ってみます。少々お待ちください。」
数分後
「母上に連絡がとれました。母上は今、カイン帝国にいるそうです。何日間はそちらに滞在すると。なのでそこまで来れるなら、話はできる、との事です。どういたしますか?」
リオダルクは少し考えて、「あぁ、そこまで行こう。アナリアはどうする?」
「行きたいのは山々ですが、私にはこの城を守り、この子達を育てる義務があります。なので申し訳ありませんが...」
アナリアは責任感が強い。たとえ母に会いたくても仕事を優先してしまうのだ。
たまには休め、とリオダルクは言いたいが彼女の気持ちを無視したくはないのだろう。だから「あぁ、わかった。お前から何か母に伝えたいことがあれば、代わりに伝えてくるが、何かあるか?」
「そうですね...」アナリアは考え込む。
「では母に...」
「あぁ。」
「私は今、幸せだよ、と伝えていただけますか?それと...愛していると。」
いつもは敬語で話すアナリアが、『だよ』なんて言葉を使うなんて、リオダルクは少し、暖かい気持ちになった。
「あぁ、わかった。伝えておこう。」
「はい、お願い致します。」
アナリアは、少しフッと笑ったような気がした。
「しばらく城を頼む。何かあればテレパシーを送ってくれ。」
「はい。分かりました。お気をつけて。」
「あぁ、行ってくる。」
話が終わり、リオダルクは城を出ようとしていた。おそらく皆、準備が終わって城の前にいるだろうと思っていたから。
そして予想通り、皆が待っていた。
「皆、待たせたな、準備はいいか?」
「はい!」「ええ。」「もちろん。」「はーい!」
「では行こう。」
「しばらく留守にするが、頼んだぞ。」
リオダルクは執事長とメイド長にそう言った。
「えぇ、もちろんでございます。ですが、どうか無事にお戻りくださいますよう。」
「あぁ、分かっている。」
「まずは、表の国へ向おう。」




