いじめられていたら王女になりました。57話
英語の授業は終わり、他の授業も終わって、お昼休みになった。私は廊下を歩きながら、窓から見える景色を見ていた。雲ひとつない、澄み切っている青い空。前は窓を見る度にここから飛び降りて死ねたらなぁ。なんて事を考えていた。でも今は死にたくないって思う。家族以外にも、大切な人がたくさん増えたから。
コツコツ、後ろからこちらへ近づいてくる足音が聞こえる。気になって後ろを振り返ると、そこには、これまた若くて背の高い女性の先生がいた。私が彼女の顔をまじまじと見ていると、彼女はふふっと笑い、「どうしたのかしら?私の顔になにか付いてる?」「い、いえ、なんでもないです。すみません。」「あなた、月乃愛さんね?」「そ、そうですけど、。先生は?」「私は友羽高校の校長、天月姫乃。この学校に来たのはつい最近なのよ。」この人が、校長先生か。随分お若いなぁ。「ねぇ、あなた、放課後、校長室にいらっしゃい。お友達も連れて、ね?」何が目的なのかさっぱり分からない。天月校長先生がメニレ様なのだろうか。よくよく考えてみると、ジーナ様から脳内に送られた写真のメニレ様みたいな容姿の人はいない。だから、アン・ラリノが支配しているのなら、容姿も変わっているのかもしれない。ここは、慎重にいかないといけない。もしかしたら、っていう可能性はあるのだから。「分かりました。皆で行きます。」「そう、良かったわ。楽しみにしてるわよ?」そう言い、彼女は去っていった。「いったい、なんの用なんだろ?」
それにしても、こっちの世界はもう冬なのね。
肌寒い冬は特に嫌な記憶が蘇る。寒い中、何時間もトイレに閉じ込められたり、水をかけられて制服をびしょびしょにされたり。さっき話していた子達も、一条楓と一緒に私をいじめていた子達だ。それが何のお咎めもなく笑って生きている。当時はとても皆が憎かった。だけど今はそんな感情はない。憎んでいたら時間がもったいない。「憎しみはすてなきゃね。」「本当にそう思ってる?」!?微かに、声が聞こえたような気がしたが、周りを見てもそれらしい人はいない。「聞き間違えかな。」さぁ、午後も頑張ろう!
あっという間に放課後になった。グルデ達を連れて校長室にやって来た。コンコン。ノックをすると、「どうぞ」そう言われ中に入る。中には光月先生、夜月先生、夕月先生、天月校長先生がいた。「どうぞ、座ってちょうだいな。」「失礼します。」中はとても広くて、歴代の校長先生の写真が飾ってあった。でもそこで違和感を覚えた。普通の校長室より広く、今は部活の時間なのにとても静かで、何より窓がない。これってもしかして?そう思い皆にテレパシーを送った。やはり、皆もこの異様な空間に違和感を感じているみたい。「ふふっ」「あはははは!!!」天月校長先生は狂ったように笑い出した。「もうここが異空間だって気づくなんて、頭がいいのね、月乃さん?あ、鈴木なつなさんって呼んだ方がいいかしら?それとも、、、エーレ・ミカデオンと呼ぶべきかしら?」




