いじめられていたら王女になりました。49話
家に向かう途中、ビーガン様が小さな声で話しかけてきた。「なつな様、あの方は貴方様の母上ですか?」「はい、そうです。」「正体を明かさなくてよろしかったのですか?」「明かしてしまったらきっと、混乱させてしまうと思って。私はこの世界では死んだということになってますから。」「そうですか。」家までの道のりは、本当に懐かしかった。小さい頃よく遊んでいた公園、小学校、よくお菓子を買いに行った駄菓子屋。「懐かしい。全然変わってない。」「あらぁ、あなた達もこの辺りに住んでいたの?」母が聞いてくる。「はい、そうです。今は訳あって別の所に住んでいます。」「でもこんなところに何か用事があったの?」「ま、まぁ、ちょっとですね。」私が言葉を濁すと、母は私の顔を見ながら微笑む。「まぁ、皆訳ありよねぇ。」「着いたわ。」見上げると、本当に私の実家だった。何一つ変わってない。あの頃のまま。「さぁ、あがってちょうだい。今お風呂わかして来るから、リビングに入っててね。」リビングに入ると、私の仏壇があった。そこに手をあわせている男性がいた。彼は私たちの方に振り返る。その顔は父だった。少しやつれていた。何か、元気がないような。そりゃそうか、娘がいきなり死んだのだから。「な、なつな、かい?」父はそう言った。「わ、私は、、、」「違うわよ、あなた。この子は愛ちゃん、月乃愛ちゃんよ。」リビングに戻ってきた母が答える。「そ、そうか。」父はほんの少し落胆する。「すまないね、愛ちゃん。君はとても娘に似ててね。ここにいるはずないのに驚いてしまった。」「い、いえ。」「それにしても、この全員顔がそっくりな女の子達は、家に入りきらないね。」あ、そうだった。炎の戦士人形達のこと、忘れてた!「お姉ちゃん。」1人のドールが話しかける。「私たち、魔王様の収納魔法で収納できるよ。必要な時呼び出してもらうこともできるよ。」そんな事が出来るのか。「リオ、お願いできる?」「あぁ。だがこの世界に魔法は存在しないだろう?見せない方が良いだろうから、外に1度出てくる。なつなは入浴していてくれ。」「わかった。」リオは外に行った。「あの、お風呂入ってきますね。」「えぇ。ゆっくり浸かってらっしゃい。」
「ふぅ。ゆっくりできた。」お風呂から上がるとリビングにはご飯が用意されていた。「あら愛ちゃん、上がったのね。」「はい。」「ねぇ、あの子達はお風呂入るのかしら?」母が聞いてきた。「それは、」「俺たちは別の所で風呂に入る。」グルデが答えた。「あらぁ。そう?いいの?」「うん!近くに、風呂屋があるんでしょ?僕達は明日そこで入るよ!大人数だしね!」メイルがニコッとしながら答える。「ところで、愛ちゃん以外のお名前聞いてもいいかしら?」「そういえば自己紹介がまだでしたね。」「私はリオダルク・シェイン。そして私の隣から順に、グルデ・モベリア。ジルデ、レイル、メイル、ビーガン・ケルト、ミナ・ジェルイ、ルオン・レーゲ、そして飼い犬です。」リオが話終えると母は「あらぁ、皆海外の方ばかりなのに、日本語がお上手ねぇ。」たしかに。皆ここへ来たのは初めてなのに。どうして?するとメイルからテレパシーで、「僕達は翻訳魔法を使っているだけだよ!」「なるほど。」「私の名前は、鈴木葉子よ。改めて、よろしくね。」やっぱり、お母さんなんだ。「なんて呼べば良いですか?」「そうねぇ。普通に葉子さんでいいわよ。」「分かりました。」「そして旦那は鈴木浩介よ。」「浩介さんですね。よろしくお願いします。」「あ、あぁよろしく。」「あの、聞きたいことがあるのですが。」私はずっと気になっていたことを聞く。




