いじめられていたら王女になりました。十九話
ーその頃のモベリア王国ー
王宮はなつながいなくなり、大騒ぎしている。
「なつな様ー!」「なつなちゃん!」「どこにいるのなつなー!」皆叫ぶが返事がない。メイルはなつなにテレパシーを送ろうとするが、なつなの返事はない。皆がなつながいないことに気づいたのは数十分前。ミナちゃんがなつなが帰ってこないことを不審に思い、倉庫まで向かった。するとそこにはそこら辺に転がっている大量の苺と、大量の血だった。ミナちゃんは急いで皆に報告した。「どうしましょう。私が頼んだからこんな事に、、。」ミナちゃんは涙をポロポロ流す。「あなたのせいではありません。私がなつな様のおそばにいればこんな事には。」ビーガンが言った。パン!グルデ様が手を叩く。「今はそんなうじうじ言ってる場合じゃねぇだろ!なつなはおそらく、、ビルゲー王国の奴らにさらわれたんだ!」「グ、グルデ様!それは一体どういう事ですか!?」男性の侍従が聞く。「お前たちには話してなかったが、このモベリア王国の王宮にはビルゲー王国のスパイがいて、そいつの狙いはおそらくなつなだった。だから、まずはビルゲー王国を調べるんだ!うじうじ言う奴はクビだ!お前たちなら調べられるよな!?」「もちろんです!」侍従達はそう声をあげる。するとメイルが「ねぇグルデ兄さん、僕も本気出していいかな?なつなを攫ったやつを許せない。」「あぁ、存分に力を発揮しろ!」今度はレイル様が「グ、グルデ兄さん、僕も本気を出すよ、」「あぁ、頼んだ!」そして、ジルデ様も「僕らを怒らせたこと、後悔させてやる!」珍しく怒っていた。「絶対に」「なつなを」「取り返す!」「始めるぞ!」
ー数時間後ー
メイルがある情報を見つける。「グルデ兄さん、3日後の夜、ビルゲー王国で闇オークションがあるみたい。しかもそのオークション、奴隷も連れて来るって。ビルゲー王国の貴族達が集まって行われるみたいだよ。もしかしたらだけど、そこになつなは連れてかれるんじゃないかな?」「なるほど、確かにその可能性は高いな。ちなみに開催場所は?」メイルは珍しく言いにくそうにしていたが、口を開いた。「ビルゲー王国の王宮だよ。」「!?」その場にいた全員が驚いた。「おそらくなつなは王宮に監禁されてるはずだ。よし皆今日の夜、ビルゲー王国へ向かう。一応だが軍隊を出陣させる。だが1番隊と特攻隊だけだ。他は急襲にそなえて待機させる。来るのが難しい者はいるか?もちろん残っても罰は与えない。だが、なつなを取り返せたら皆に褒美をやる。どうだ?」グルデ様がそう聞いても、手をあげる者はいなかった。「では作戦会議を始める!」皆思いは同じなのだ。
ーその頃のなつなー
「もー!全然窓割れないじゃない!こんちくしょう!」割れないのは当然である。何せ割れないよう魔法がかけてあるし、この部屋には鈍器がない。手で叩いて割ろうとしている。「わーれーなーさーい!!」「くそっ!こうなったら、」私は何を血迷ったのか、「窓様、お願いします。割れてください!」窓に向かって土下座したのである。