いじめられていたら王女になりました。十七話
結局私はあの後2回死んだ。さすがにヘトヘトだったので、蘇生魔法を教えてもらうのは今度になった。クラクラして何回も吐いたのだ。「にしても、メイルの前世、本当に壮絶だなぁ。」そう口にすると気になることがあった。あの後その国王はどうなったのか?試しに王宮の図書室へ向かった。だが、王族の情報は極秘なのか、一切情報はなかった。「モーガン様に聞いているか、」モーガン様の部屋へ向かった。トントン、ノックする。「どうぞ」声がしたので中へ入る。「なつなじゃないか、どうしたんだい?」「モーガン様、お聞きしたいことが。」「ん?なんだい?」「メイルの前世の話は知ってるんですか?」「あぁ、知ってるよ。」「その、メイルを殺人鬼にした国王様はその後どうなったのか気になって。」「あぁ、その国王なら、メイルが処刑されて10年後に彼もまた処刑された、と聞いているよ。詳しいことはすまないが分からない。」「処刑されたんですね、、」私は考え込む。なぜその国王は処刑されたのか?殺人鬼をいっぱいつくったから?それとも王国転覆を図ったとか?うーん、考えても分からない。「ところでなつなはその話、メイル本人から聞いたのかい?」「あ、はいそうです。」「そうか、あの子が自分からは話したか。」「というと?」「いやなに、私たちは王宮に残っていた資料からあの子の前世を知ったものでね。死んで審判を受けた話はだいぶ後に聞いたんだよ。」「そ、そうなんですか、、あの、その資料見せてもらっても?」そう尋ねる。「あぁ、構わないよ。ちょっとまっててくれ。」そう言い、彼は部屋の奥の扉の鍵を探し始めた。「あったあった。」「すまないが、私はこれから会議でね、あの部屋の中で、自分で探してくれ。多少荒れても構わないから。メイルの事以外に気になることがあれば、それも見ても構わないよ。あるのはほとんど王族の資料だから。」そう言いモーガン様は部屋を後にする。
「よーし!探そう!」ガサゴソと音を立てて探す。1時間後に見つけた資料には、やはりメイルの名前が載っていた。そして写真も載っていたのだ。そこには今の彼と全く同じ容姿のメイルが映っていた。「可愛いけど、壮絶な人生だったのよね。」資料にはメイルが私に話したことのない、最後の言葉が残っていた。「終わる事に悔いなし。かぁ、今のメイルは言わなそうね。」私は資料を見るのをやめた。辛くなるのだ。「他の王族の資料もみて良いって言ってたけど、また今度にお願いしようかな。」そう言い、鍵をモーガン様の机に置いて部屋を出る。
「今日は特別に皆にプリンでも作るかぁ。」メイルの過去について考えるのはやめた。それじたい彼の心の傷を抉ることになるから。「さぁ、調理場へ行こう!」