いじめられていたら王女になりました。十六話
「そんな、、、」私は声を出した。メイルは話を続ける。「親殺しは重罪だから、死刑になると思っていた。やっと楽になれると思ったんだ。まだ18歳だった僕は。」18歳、私と変わらない年齢、なのに彼は私よりも苦労していたんだ。私の目からは涙が流れる。「でも、ある人が僕を雇ってくれてね、死刑は免れたんだ。そのある人は、当時のモベリア王国の国王だった。彼には何度も死にたいと言ったんだよ。でも酷い人で簡単には死なせてくれなかった。お前は生きなくちゃいかんって。」国王様、とてもいい人だったんだ。と思っていたら、メイルは「今、国王様はいい人だったんだ、って思ったでしょ?残念、それは最初だけ。初めからあの人は僕を殺人鬼にする為に死刑を無くしたんだよ。それから僕は逃げられないように、手足を固定されたまま眠る事になった。殺人の練習もした。練習でも、動物を殺したりと、本物の命を消させられたんだ。僕は何度も殺人はもう嫌だ、死なせてくれと懇願したんだ。でも、懇願する度に周りの人が消されていく。流されていく血の量をみて、これが現実か、と僕は毎日泣いた。でも僕が泣くと国王は、「泣くな、人を殺しても笑っていろ。」って僕に泣けなくなる魔法をかけた。それからもたくさんの命を奪った。関係の無い女性や赤ちゃんまで。そしてついに僕は死刑になった。いくら国王の命令で殺っていたとしても何千人も殺したからね、当たり前の結果なんだ。国王は最後まで「ワシの殺人鬼を返せ、おもちゃを返せ」と喚いていたよ。死刑が確定し、首を切られる直前、僕は初めて笑えたよ。そして僕は天国へいくか、地獄へいくか前世の記憶を持ったまま転生するか、審判が始まった。神様も天使も悪魔でさえもさすがに天国いきが妥当と言っていたんだけど、どんなに綺麗事を言っても僕は殺人鬼。地獄いきだと思っていた。でも神も天使も悪魔も僕に使命を与えた。そしてその使命を果たす為に記憶を持ったまま転生することになり、神のお守り、天使の加護、悪魔の呪いと呼ぶ物を僕に与えた。僕は今度は人を殺すんじゃなくて、何百万も人がいても、全員を守れるように。ただ、守る為なら何でもやっていいと言われている。さすがに魂を消すのはダメだから、蘇生魔法を開発した。」「メイルがその魔法をつくったの!?」「そうだよ、」「これが、僕の昔話。だから、人を殺すのは、心にかなりのダメージを与えるのさ。でもね、、、僕はこれからも泣く事は出来ないんだ。あの国王が使った魔法は呪いに近くて、いくら解こうとしても出来ないんだ。だから僕はいつも元気に笑うことにした。どうせ泣けないならせめて笑おうと思って。でも、こうして気が落ちることもあるんだ。人を殺す時は特にね。」彼は悲しそうに笑う。「メイル、スマイル!スマイルだよ!」「スマイルってどういう意味?」「笑ってって意味!」「そっか、いい言葉だね!僕もその言葉を使うよ。」かれはまたニコニコして笑う。やっぱり彼の笑顔は見ていて気持ちがいいな。「ところでなつな、」「ん?」「もう一度、死ぬ?」メイルが聞いてくる。「いいよ、死んでこの世界を守れるなら、私も強くなりたいと思ったから。」私も決心する。メイルだけではなく、私もこの世界の命を守れるようになる。強くなると。