いじめられていたら王女になりました。十四話
ーモベリア王国の王宮ーあの謎の声がした1時間後、私たちは夕食を食べるため、国王のモーガン様の部屋に来ていた。トントン、ノックの音が聞こえた。「陛下、皆様のお食事を届けにまいりました。」「うん、入ってくれ。」入ってきたのはとても可愛らしい女の子、ミナちゃんだ。彼女は皆の目の前に食事を次々と手際良く置いていく。
「それでは失礼致します。ごゆっくりお召し上がりください。」パタン、彼女は部屋から出ていった。
私はとても美味しいご飯を口に入れていく。
「やっぱりここのご飯は美味しいですね!」私はニコニコしながらご飯を食べている。だが内心は先程の声が気になっている。先程の話はモーガン様達にもしている。「なつなは食べ物で何が好きなの?」メイルが聞いてくる、きっと、私の気を紛らわそうとしているのだろう。なので私も普通に答える。「そうだねぇ、私が元いた世界には焼きそば、ラーメン、うどん、と、とても美味しい料理があったんだよ。」「へぇー、どういうお料理なのかしら?」フィルデ様が聞く。「焼きそばは色々な野菜を入れるし、ラーメンはコクのあるスープが美味しくて、うどんは噛みごたえがあるんです。どれも麺類なんですよ。」「あら、それはどれも美味しそうね。」「はい、とても。」!!私は咄嗟に思いついた。「あの、明日の夕食は私がお作りしてもいいですか?」モーガン様は「あ、あぁ構わないが、いいのかい?」「はい!お許しありがとうございます!」
その夜、早速私は調理場をお借りし、張り切って下準備を始めた。
「絶対美味しいって言ってもらうぞ!」「まずは麺を作ろう!えーと、材料は、、、うん、大丈夫。揃ってる。さすが王宮の調理場ね。」
ー翌日の夜ー
「楽しみだなぁ。なつなの料理!何が出てくるかなぁ?」メイルはカチャカチャとフォークとスプーンを用意していた。
「お待たせしましたぁ!」私は全員の前に3つのお皿とお箸を置いた。すると皆お箸を見たことがないのか、不思議そうに「なつな、このふたつの棒はなんだい?」モーガン様が聞く。
「それはお箸と言って、お食事をする時に使うんです。ほら、こうやって持って、」私はお箸の持ち方、使い方を教えていく。「で、これが、焼きそば、、ラーメン、、うどんです!」「このお箸を使って食べるんです。」「いただきます。」私はついそう言ってしまった。皆私をじーっと見ている。そして、皆が「いただきます」と手を合わせ、慣れないお箸で焼きそばなどを食べてくれた。皆食べると、「美味しいな!」「こんな料理初めてで新鮮だわ。」「毎日食べても飽きないよ!」「この野菜のシャキシャキ感がとてもいいね!」と、大好評で皆揃って美味しいと言ってくれたので、私は笑顔になった。
「皆さんにはお世話になっていたので、お礼がしたかったのです!そ、し、て、ミナちゃん!」部屋の中にいたミナちゃんに声をかける。「ミナちゃんにも用意したから良かったら食べて!」私は料理を彼女の前に運ぶ。彼女は驚き、「い、いいの?」「もちろん、ミナちゃんにもお世話になっているから!」「ありがとう!」パクパクとミナちゃんは食べていく。そして食べ終わり、「なつなちゃん、この3つの料理の作り方教えてくれる?」「もちろん!」「ありがとう!」
本当に今日は作って皆喜んでくれて良かった。こんな気持ち久しぶりだなぁ。私はそう思い、ほっと肩をなでおろす。
「また作ろう!」