いじめられていたら王女になりました。一話
「もう、どうなってもいい。ただ、この苦痛から逃げられれば。お父さん、お母さん、ごめんね。」
ガタンガタン。電車が来る音がする。私、鈴木なつなは電車の前に飛び出した。ギー!!!!電車が緊急停止しようとする。「危ない!」そう言ってくれた人もいるだろうが、私には届かなかった。そう、私は死んだのだ。同級生からのいじめに耐えられなかった。何度も死のうとしたが勇気が出なかった。
だが今日、やっと勇気が出たのだ。やっと、逝ける、私はうれしかった。これで楽になれる。そうして私の意識は遠のいた。「----ですか」「----か」何か声がする。「大丈夫ですか!?」「え?」そこでようやく私は目を覚ました。私は死んだはずじゃないの!?でも、ここはどこ?見たことがない街並みだわ。「あのー大丈夫ですか?」「えっと?」私は目の前にいる鎧を着た男性が気になった。「あなたは?」
「僕はジルデ・モべリア、モべリア王国第二王子です。」「はぁ。あの、ここはどこですか?」「え?えっと、ここはモべリア王国ですが?」聞いた事のない国名、見たことのないこの男性の鎧、もしかして私には今、漫画のような事が起きているってこと!?「----の」「あのー!」「はっはい!」「あなたはもしかして、混流星人コリュウセイジンですか?」「い、いえ、私は日本人ですが?」「ニホンとは?」「国名ですが?」「そんな国名聞いたことないですが?」「まぁいいでしょう。あなた様のお名前は?」「鈴木なつなです。」すると、私の後ろから声がした。「おい!いつまでその女と話している気だ?」ボカン!!!ジルデは気を失った。声の主がジルデさんを殴った。私はおそるおそるジルデさんを殴った者を見た。その者は背が高く、顔も申し分なしだった。「あなたは?」「俺はグルデ・モべリア。モべリア王国の第一王子だ。」「なぜ彼を?」「話がなげぇからだよ。それよりお前を王宮に連れて来いと指示があった。俺の両親、国王様と女王様がお待ちかねだ。」「なぜ私を?」「さぁな」「ジルデ、お前いつまで倒れている?」その声でジルデはパッと目を覚ます。「兄さんが強く殴るからだよ。」「そこまで強くやってねぇよ。」「やったよ!」「しつこいともう一発やるぞ?」「ごめんなさい」「ふふっ」「何笑っていやがる」「わ、ごめんなさい!」私、今、笑った?何年も笑えなかったのに?この人達のおかげ?私、笑えたのね。やっと、笑えた。「さぁ、馬車に乗りな。王宮に着いたら俺の家族を紹介する。ジルデの他に兄弟もいるからな。」「そ、そうなんですか?」「そうですよ、可愛い弟が二人いるんです。」「さ、王宮へ行きましょう。」「は、はい。」ー数時間後ー「なつな様、王宮に着きましたので、急いでドレスにお着替えを」「は、はい!」城門はかなりでかかったし、きっと、大きな国なのね。そんなこの国の国王様と女王様はどんな方なのだろう。そしてなぜ私に会いたいのだろう。そう思い私は王宮の中へ足を踏み入れた。