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54.第7話「美女誘拐事件」(2/9)


 大体五分ほど経った。

 横穴から黄色いターバンで顔を隠している人物が出てきた。


「お兄ちゃん、交代。」

「おう。」


 赤いターバン男はそのまま黄色いターバン女と場所を交代し、そのまま横穴の奥へと歩いて行った。


 ターバンたちはどうやら三兄弟だったようだ。

 しかも一人は女性だった。



 赤いターバン男がいなくなったことを合図に、動き出し始めたドウジたち。

 木の後ろから全員現れて一目散に二人のターバンたちに突撃する。


「あんたらナニモ・・・!?」


 青いターバン男が言い終わる前にドウジがタックルをかました。

 青いターバン男は岩山の壁に激突し、壁に(へこ)みができる。

 衝撃が強かったため、一撃でダウンした。


 一方で黄色いターバン女は銃を構えようとするが、その前に浮遊していたガイの突撃によって吹っ飛ぶ。

 同じように岩山の壁に激突して気絶した。


 結果は二人とも瞬殺だった。


「弱くて助かった。」


 ガイはそう呟きながら地面に降りる。

 そして四人全員そのまま横穴に入って行った。




 穴の中は壁にカンテラがかけられており、普通に明るかった。

 縦の大きさもそこそこあり、身長約3メートルのドウジも普通に入れるほどだった。


随分(ずいぶん)とちゃんとしている設計だな。」


 ガイが一人関心していた。


 実際、洞窟の中は職人が作ったのかと思うほど丁寧な設計をしており、そんな人が誘拐をしているという事実が信じられなかった。

 だが、実際にガイ自身が見ているのでハッキリしていることだった。



 しばらく歩いていると、分かれ道に着いた。

 どちらも途中で曲がっており、奥が見えない。


「流石に二手に分かれるか?」


 ドウジが提案する。


 先程みたいにガイが霊体化して捜索するの手だが、流石に敵地で待機するのも危険だ。

 なので、普通に進むしかない。


「その方がいいね。」


 ガイが賛成する。

 イェルコインとギルダーはなにも言わなかったので、特に異論は無いと判断した。


 そして、ドウジとイェルコイン、ガイとギルダーの組み合わせでそれぞれ分かれて行った。






 ドウジとイェルコインは右の道を進んでいた。

 しばらくはお互いなにも言わずに行動していたが、やがてイェルコインが口を動かす。


「ねえ、聞いてもいい?」


 イェルコインは大柄なドウジを見上げながら話しかける。

 ドウジはイェルコインを見下ろし「なんだ。」と返事をした。


「あんた、キョウカのこと、どう想ってるの?」


 イェルコインの質問を聞いてしばらく黙るドウジ。

 やがて口を開く。


「どういう意味だ?」


 しかし聞こえてきたのは答えではなかった。


「そのままの意味。 あんたがキョウカをどう想っているのか聞きたいだけ。」


 だが、それに対するイェルコインの返答も結構いい加減なモノだった。


 ドウジはしばらく黙る。

 静かな穴の道を進みながら。


 そして答えを出した。


「キョウカは、心優しく勇敢な戦士。 彼女は大切な仲間だ。」


 ドウジは前を見ながらイェルコインに話した。

 すると、それを聞いたイェルコインはため息を吐いた。

 そんなイェルコインの反応を不思議がるドウジ。

 だが、なにも聞こうとはせずに黙って歩き続けた。


「そうかい。 あんたになら任せてもいいかと思ったんだがね・・・。」


 イェルコインは意味深なことを言う。

 当然ドウジは言葉の意味を理解できていなかった。


 すると突然、イェルコインが昔話を始めた。


「数年前、アタシとキョウカは同じ学校の学生だったんだ。 それでキョウカは昔からあの見た目であの性格だったから男子生徒から人気で、よく口説かれたもんさ。」


 イェルコインの話を黙って聞くドウジ。

 途中曲がり角を発見し立ち止まるが、そこがただの物置だと分かったので曲がらずにそのまま再び直進する。


「だけど、キョウカの答えは決まって『ごめんなさい』だった。 キョウカは理由を話そうとはしなかったけど、アタシには分かっていた。」


 するとイェルコインがドウジの方を向いた。

 歩みは止めず、首だけを動かして。


「単純に『好意がなかった』からだと思うわ。」


 イェルコインはドウジを見ながら言い放つ。

 するとドウジは足を止めてイェルコインを見る。

 それを見てイェルコインも歩みを止めた。


「なぜ、そんなことを俺に話す・・・?」


 ドウジはイェルコインの行動を不思議がっていた。

 そんなドウジを見てイェルコインは再びため息を吐く。


 そしてイェルコインはドウジに向かって人差し指を向けた。


「だから、あんたならキョウカの『相手』になってくれるかもと思ったのよ!」


 イェルコインは(ほほ)を若干赤くさせながらドウジに言い放った。

 そして数秒の沈黙が訪れた。


 ドウジは無表情でイェルコインを見る。

 いや、見下ろしている。


「俺はそういう『色恋』に向いていない。 望むだけ無駄だ。」


 ドウジはバッサリと言い放つ。

 イェルコインは思わず口を ポカーン と開けていた。


 そしてドウジは再び歩み始めた。

 と思ったら、イェルコインを追い越した瞬間、再び歩みを止める。


「それに、キョウカが俺に向けている好意は『そういうモノ』とは違うだろ。」


 ドウジは背を向けながらイェルコインに言う。

 イェルコインは振り返り、目の前の大男の背中を眺めていた。


 やがて大男は再び歩み始める。

 イェルコインは「ナニカ」を言いたそうにしていたが口は開かず、そのまま黙ってついて行くのだった。




 しばらく洞窟内を進むドウジとイェルコイン。

 途中で数回曲がり角に出会(でくわ)した。

 明らかに行き止まりの場所もあれば、別の道になっている場所もあった。

 ドウジとイェルコインはその度に相談し、片方の道を選んでいた。

 ・・・というか、全て右の道を選んでいたが。



 やがて右の道を進んでいくと、やや大きい扉が立ちはだかった。


「ついに最初の部屋に着いたわね・・・。」


 ずっと部屋らしき場所を見つけられなかったため、イェルコインは若干疲れていた。

 だけど、こうしてようやく最初の部屋へ着くことができたのだった。


 ドウジが扉に付いているドアノッカーを掴んで、ゆっくりと開こうと引っ張る。

 ちなみに扉は右開きである。

 ゆっくりと扉を開き、隙間を覗くドウジ。

 先に中の様子を見ようというわけだ。



 ドウジの視界に入ったのは、泥でできた小さな人形だった。

 しかも一体だけではない。

 見える範囲では合計で三、四体はいた。


 イェルコインも開いた扉の隙間を覗く。

 すると、イェルコインは「それ」がなんなのか理解した。


「あれは、『マッドゴーレム』だわ。」


 イェルコインがドウジに聞こえる大きさの小声で言い放つ。

 ドウジは真下にいるイェルコインを見下ろすと、ちょうどよくイェルコインが解説し始めた。


「いわゆる自立兵器のようなモノよ。 おそらく作成者である魔術師が近くにいるハズ・・・。」


 イェルコインはそう言いながら、扉の隙間に頭を突っ込み始めた。

 それを見てドウジは「お、おい・・・。」と声をかけるが、気にせずイェルコインは頭を向こうの部屋に出した。


 すると、予想通りの結果が起こった。

 ゴーレムの一体がイェルコインの存在を感じ取り、近付き始めるのだった。


 それを見てイェルコインは慌て始め、ドウジは急いでイェルコインを抱えて扉から離れる。


 扉から離れるとドウジはイェルコインを地面に降ろして、数秒後に扉の向こうからやってくるであろう「敵」を警戒し始める。


「ご、ごめんなさい・・・。」


 イェルコインが珍しくしおらしい謝罪をする。

 それを見てドウジも内心意外に思っていた。


 おそらく今回の戦いは「大切な親友を救う戦い」であるため、彼女なりに思うところがあるのだろう。


 ドウジはただ無言でイェルコインの肩に手を置き、彼女の顔を見る。

 彼女の華奢な体では、ドウジの手ははみ出してしまうが。


 そしてなにも言わず肩から手を離し、前方にある扉に向かって歩み始めた。



 予想通り、身長約60センチメートルくらいのゴーレムが扉を勢いよく開いた。

 そのゴーレムの後ろには同じ姿のゴーレムたちが四、五体ほど集まっていた。


 そしてゴーレムが姿を現したタイミングで、ドウジが前方に向かって勢いよく飛び出して行った。

 相変わらずの超人的な跳躍力と速さによって、あっという間にゴーレムたちのもとへ急接近し、彼らに向かって体当たりをかました。

 衝撃によってゴーレムたちはボウリングのピンの如く、左右に吹っ飛んでいった。

 壁にぶつかったゴーレムたちは全員ただの泥と化した。


 その光景を離れて見ていたイェルコインは口をポカーンと開けていた。




 当然飛び出したことでそのまま部屋の中へと入っていくドウジ。

 ゴーレムに見つかった時点で隠れていることにあまり意味がないので仕方ないことであろう。


 部屋は広めだが、三分の一くらいは牢屋が占めていた。

 そしてその牢屋の中には人が数人いた。



 だが、それよりもまず目が入ったモノがあった。


 やや遠くで三人の人物が戦っていた。

 状況からして二体一という感じであろう。


 三人は当然ながら、部屋に飛び込んできたドウジに注目する。


「また変な奴が・・・!」


 三人の内の一人が声を上げる。

 赤いマントを纏っている、長髪の魔術師の男だった。


「ソイツもやっちまえ!!」


 魔術師がそう言い放つと、ゴーレムたちがドウジの方を向く。

 どうやらゴーレムを操っていたのは魔術師の男のようだ。


 ゴーレムたちは一斉にドウジに向かっていく。


 だが、相手は自分の五分の一程度の大きさしかないただの操り人形。

 向かってきてもドウジは逆にゴーレムを片手で掴み上げて、別のゴーレムに向かって投げつけた。

 ゴーレム同士は衝突して崩壊し、両方ともただの泥と化した。


 そのまま同じことをドウジは繰り返し、やがてゴーレムたちは全員ただの泥と化した。



 遠くで見ていた魔術師はイライラしている表情だった。


「おのれ、次の部隊を・・・!」


 魔術師は新たなゴーレムを作ろうと術を唱え始める。

 だが、それは阻止された。


 先程まで彼と戦っていたであろう二人組が隙を見て、魔術師に対して同時攻撃を行った。

 両者とも武器である剣で斬り裂いたのだった。


 魔術師は思わず「ぐぇー!」という感じの叫びを上げながらその場に倒れた。


「お前の相手はボクたちだということを忘れないでくれ。」


 黒い仮面をつけた男が剣を腰にある鞘に収めながら、台詞を言った。






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