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52.第6話「巨大兵器」(10/10)


 病院の女医さんにシグたちを任せて、キョウカたちはドウジたちを探し始める。

 しかし、すぐに見つかった。


「ドウジさん!」


 キョウカがドウジをすぐに発見し、名前を呼びながら近付く。

 身長約3メートルは当然目立ちやすいのだった。


 ドウジは角材のようなモノを数本担いでいた。

 まるで大工のように。



 よく見ると、村は復興作業の最中のようだ。

 おそらくドウジはその手伝いをしているようだ。


「待っている間に、少しな。」


 一言そう述べて、ドウジは運ぶべき場所へ角材を持っていくために歩き出す。

 よく見るとガイも甲冑を操りながら色々とお手伝いをしていた。



 それを見て、ただ黙って見ているキョウカではなかった。

 すぐにキョウカも手伝いのために歩み出し、予想していたイェルコインも鼻で笑いながらついて行く。

 フブキもニヤニヤしながら無言で二人の後を追って行った。






 ドウジの身体能力とガイの集団技で、復興作業は大幅に進んだ。

 村の修復もとても進み、壊された民家も10軒ほど元に戻った。


 村の宿屋も修復されたことで、ドウジたちも泊まる場所ができた。

 村の宿は個室が少なく、男女別で二部屋だけとった。


「あんた、戦いをやめても就職に困らなそうだな。」


 イェルコインがドウジをからかった。


「俺が戦いをやめるときは、死んだときだけだ。」


 ドウジは無表情で返答する。

 予想通りの返答だったのか、イェルコインは「フフッ」と笑った。



 一度一つの部屋に集まって、床に座って明日からのことを話し合っていた。

 シグとザイルダイトの怪我は酷くはないため、明日か明後日には再び旅に出られるだろう。


「フブキは?」


 部屋の中を見渡し、フブキがいないことを確認したイェルコイン。

 するとドウジが部屋の窓の外を指した。


「ギルダーを探しに行った。」


 ギルダーはマルクスとの戦いで落とした自身の盾を回収するために、未だに基地付近をウロウロしている。

 そこへフブキも向かったようだ。


 イェルコインは「ふーん。」と言って一応納得した。



「そういえば、今更なんだけどさぁ。」


 突然ガイがキョウカに話しかけた。

 それに反応し、キョウカがガイを見る。


「その黄金龍の出所とか分かっているの?」


 ガイは本当に今更な質問をキョウカに投げかけた。

 他のメンバーも気になっていたのか、一斉にキョウカの方を向く。


 するとキョウカは静かに話し出した。


「ここから二つ先くらいにある町によく当たると有名な『占いの館』があるのです。 実は、密かにそこへ向かって進んでいたのです。」


 突然のキョウカの告白を聞き、他のメンバーは目を丸くする。

 そして、少し間をおいてガイが喋る。


「えっ、そうだったの!?」


 どうやら目的を知っていたのはキョウカ本人だけのようだった。

 キョウカは皆に向かって頭を下げた。


「黙っていまして、本当にごめんなさい! ナルキの場所の特定をするには、この手しか思いつきませんでしたので・・・。」


 キョウカは本当に申し訳なさそうに話した。


 事実、ナルキが再び登場する場所を知る方法なんぞ、占いに頼るしか方法はなさそうであろう。

 他のメンバーも特にキョウカを責めるつもりはなかった。


「んまぁ、気持ちは分かるけど、言ってくれてもよかったのに・・・。」


 ガイは困ったようにキョウカに言った。

 キョウカは再び「ごめんなさい。」と謝る。


 実際、占い頼りとなると他のメンバーが納得してくれるか微妙なところなので、言えずにいたキョウカの気持ちはこの場にいる全員が分かってくれていた。

 そのため、怒る人は誰もいなかった。



「じゃあ、ボクが先にその町まで飛んで行って占いを聞いてくるのはどう?」


 キョウカを励ますためか、ガイが話に乗った。

 キョウカは顔を上げて「え?」と言う。


「占いを聞いた後に場所まで移動するにも時間がかかるでしょ。 だったら早めに聞いておいた方がよくない?」


 ガイは自分の鎧に手を置きながらキョウカに提案する。

 するとキョウカは微笑みを取り戻した。


「お願いしてもよろしいですか?」


 キョウカはガイに聞いた。

 するとガイは「もちろん!」と元気よく了承した。



 ガイはすぐに立ち上がって、部屋の窓に近付く。


「じゃあ、早速・・・。」


 ガイが窓の外から飛び出そうとする。

 しかしその前にキョウカが「待ってください!」と呼び止めた。

 ガイは飛ぶのをやめてキョウカの方を向く。


「私も行きます。 実は一度行ったことがあるのです。」


 キョウカはそう言いながら行く気満々でガイの隣に立つ。


「えっ、行ったことあるの!?」


 てっきり行ったことはないモノだと思っていたガイは驚いた。

 言葉を聞いて「はい!」と元気よく答えるキョウカ。

 するとドウジの方を向いた。


「初めてドウジさんと会った時、覚えていますか?」


 キョウカは優しい声色でドウジに聞く。


 ドウジにとって、あの時の出来事から始まったので忘れるわけがない。

 ドウジはキョウカを見ながら(うなづ)いた。


「あの場所に私がいたのは、その占い師の方に教えられたからなのです。」


 キョウカもドウジの顔を見ながら言う。

 すると、ドウジは顎に手を当てた。

 なにか思うところがあったようだが、それを察したキョウカが話を続ける。


「あの近くでナルキが現れると言われましたが、ドウジさんとお会いできたのは偶然でした。」


 キョウカがドウジを見ながら話す。

 どうやら聞きたかったことを聞けたようで、ドウジも顎から手を離して納得した様子を見せた。



「だけど、それなら信用できそうだね。」


 ガイが明るく話す。

 そして部屋の隅の床で座り出した。


「じゃあ今日はもう遅いし、明日でいいかな?」


 床に座ったガイがキョウカを見上げながら喋りかける。


「えっ、今からでもよろしいですが・・・。」

「睡眠はちゃんと取りなよ。 ボクみたいになるよ。」


 ガイはブラックジョークを言いながらキョウカを説得した。

 するとガイは別の方向を向く。


「彼女を見習って、今日はもう寝な。」


 キョウカがガイの視線の先を見る。

 すると、そこにはうたた寝をしているイェルコインがいた。

 地面に座ったまま居眠りをしている。

 そのままにしておくと前に倒れそうな様子だった。


「・・・そうさせてもらいます。」


 キョウカは微笑みながらイェルコインに近付く。

 そしてイェルコインを抱きかかえた。

 まるで母と子のようだった。


「ありがとうございます。 明日はよろしくお願いしますね。」


 キョウカは軽くお辞儀をしながら部屋を出ていった。

 部屋に残ったのはドウジとガイだけとなった。



 ドウジは立ち上がり、部屋のベッドに座る。

 ただ、ベッドが重さに耐えられそうになかったため、結局また立ち上がった。


「ドウジはどうする?」


 ガイがドウジに(たず)ねた。

 ドウジは言葉を聞いてしばらく黙って考え込むが、やがて口を開く。


「俺はこの村の復興を手伝おうと思っている。」


 ただ一言そう述べた。

 ドウジの言葉を聞いて、ガイは「そうか。」と返事した。






 夜空が綺麗な時間帯。

 村では修復の音が聞こえてくる。


 それとは別で、マルクスの基地だった場所では二人の男女が話していた。


「ねえ、村で休もうよぉ〜。」


 その二人はフブキとギルダーだった。

 ギルダーは廃墟となったマルクスの基地の壁に寄りかかって座っており、少し離れてフブキが話しかけていた。


「俺はゴブリンだ。 村にはいない方がいい。」


 ギルダーはそう述べる。


 "ゴブリンは最低最悪の種族"だという噂は、この世界「シュメルツファウスト」では常識となっている。

 個人がそうでなくとも、偏見によって嫌悪感を持たれる世の中だ。

 ギルダーはそれを痛いほど理解している。


「でも、外は結構寒いよぉ?」


 フブキはヘラヘラしながらも心配している。

 体をゆらゆらさせながら、腕より長い袖をブラブラさせている。


「お前には関係ないことだ。 ほっとけ。」


 ギルダーはそう言うと、頭の後ろで腕を組みながら地面に寝る。

 被っていた帽子を顔に乗せ、マントを掛け布団代わりにした。


 フブキはしばらくギルダーを眺めた後に、なにも言わずに村の方へ戻って行った。






 そして次の日となった。

 太陽が空に(のぼ)っており、空は青かった。


 結局ギルダーはマルクスの廃墟近くで寝たのだった。


 だが、ギルダーは起きて早々に違和感を感じた。

 妙に寝心地が良かったからだ。

 マントも妙に分厚く、(あたた)かかった。

 しかし頭の後ろが妙に少し冷えていた。


 ギルダーは起き上がって状況を確認する。

 そして、すぐに理解した。


 なぜかフブキが廃墟の壁に寄りかかりながら眠っており、ギルダーは彼女の膝の上に頭を乗せていたのだ。



 実は昨日フブキは宿に戻ったのだが、それはキョウカたちにギルダーと同じ場所で寝ることへの報告だった。

 そしてフブキは睡眠が不必要なガイに頼んで、ベッドの掛け布団を一枚貰ってきたのだ。


 ギルダーは既に戦いの疲れのせいかすぐに眠っており、フブキはギルダーに膝枕をして掛け布団をかけてあげたのだ。



 ギルダーはフブキが自分のために気を利かせたことを理解した。


「ちっ、雪女の膝枕は頭が冷えるじゃねえか・・・。」


 ギルダーの心情は分からないが、ただ一言そう言い放つ。

 当然フブキは寝ていて聞こえていない。


 呑気にヨダレを垂らしながら寝ているフブキの顔を、しばらく黙って(にら)みながら眺めるギルダーだった。






 ギルダーは装備を整えて村へ入った。

 村では未だに村の復興のための作業が行われていた。


 ギルダーは黙って村の中を歩く。

 進んでいく(たび)に村民がギルダーを見る。

 村民がどう思っているかは分からないが、ギルダーはなにも考えず歩んでいく。



 すると、後ろから声をかけられた。


「目が覚めたか。」


 ギルダーが振り返ると、そこには約3メートルくらいの大男が角材を何本も担いでいた。

 ドウジである。


「旅はどうした?」


 ギルダーはこの村に滞在していることに疑問を抱いていた。


 ドウジは昨日の夜のことをギルダーに伝えた。

 そして話によると、既にキョウカとガイは朝早くに出発したようだ。


 それに対し、ギルダーは特になにも言わなかった。


「俺はその間、村の復興作業を手伝っている。」

「・・・そうか。」


 ギルダーはただ一言そう答える。


「ちなみにこの村の名は『ケッボ村』と言うらしい。」

「どうでもいい。」


 ギルダーはそう言うと来た道を戻ろうと歩き始めた。

 ドウジはそんなギルダーを目で追う。


「どこに行く気だ?」


 ギルダーに話しかけるドウジ。

 するとギルダーは足を止め、背中を見せながら答えた。


「村の外のいる。 出発の時に声をかけてくれ。」


 そう言うと再びギルダーは歩き始めた。

 ドウジは特にギルダーを止めようとはせず、ただ去ろうとする彼の背中を見送っていた。



 その時だった。


「ドウジー!」


 急に宿の中からガイが出てきた。

 ガイはキョウカと一緒に出て行ったハズなのに。


「どうしてここに!?」

「一応すぐに戻られるように、村に甲冑を一つ置いておいたんだ。」


 驚くドウジに素早く説明するガイ。

 だがガイは「そんなことより」と話を変える。


「大変なんだ! キョウカが大変なんだよ!!」

「・・・なんだと?」


 どうやら占い師のもとへ行ったキョウカの身に「ナニカ」が起こったようだ・・・。






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