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50.第6話「巨大兵器」(8/10)


 エイジはハルバードの刃に電気を流す。

 目の前のハムサンドを倒すために。


 しかしザイルダイトを早急に助けないと大変なことになる。


 エイジは短時間でとても悩んだ。

 そして結論を出した。



 エイジはヴィレンビー目掛けてハルバードを投げた。

 飛んで行ったハルバードの槍の刃がヴィレンビーの側頭部に刺さる。

 するとヴィレンビーは無言で横に倒れた。


 一部始終を見たエイジは急いでハムサンドの方を向く。

 しかしその時間が原因でハムサンドに肩を掴まれる。

 そしてシグと同じように持ち上げられた。


「俺を誰だと思っている。」


 ハムサンドが同じ台詞を吐く。

 今までと違って少しだけ素顔が見えるため、結構不気味。


 だが、エイジはハムサンドに言い放つ。


「知らねえよっ!!」


 そう言い放った瞬間、エイジはハムサンドの両腕を掴んだ。

 そして歯を食いしばりながらハムサンドを睨む。

 次の瞬間、ハムサンドの体全体に電撃が走った。

 エイジの魔法だ。


 ハムサンドは激痛でうめき声を上げる。

 しかし掴まれているエイジも当然巻き込まれていた。

 一見うっかりのように見えるが、それは違う。

 ザイルダイトを早急に助けるために、捨て身の攻撃を行ったのだ。

 エイジも覚悟を決めていた。



 ハムサンドはしばらく耐えていたが、やがて腕の力が弱まったことでエイジを落としてしまった。

 エイジを離したことで電撃が止むが、かなりのダメージを負ったハムサンドはそのまま後方に倒れてダウンした。


 エイジも自身の攻撃とはいえ電撃には耐えられなかったのか、地面に落とされた時点で気絶していた。




 そこに近くに置いておいた新たな甲冑に身を宿したガイが近付く。


「大変だ・・・!」


 敵を倒したとはいえ、シグ、ザイルダイト、そしてエイジも同じく気絶してしまっていた。

 ガイは無事な甲冑たちも操って三人を救助しようとする。

 村へ運ぼうとしていた。






 遠くでも激しい戦いが繰り広げられていた。

 ドウジとギルダーによる、マルクスとの戦いだ。


 マルクスが操る大型の「物体」の脚は二本になっていた。

 さらに一本破壊したようだ。

 しかし「物体」は二本足でもバランスを取っていた。

 そして大きな鉄の腕の攻撃も危険である。


 ドウジは腕の攻撃を防いだり回避しながら「物体」の脚を狙う。

 ギルダーも操縦席を狙っており、風の魔法で宙を舞う盾の上に乗りながら接近しようとしている。

 しかしどちらもそう簡単にはいかないでいる。



 ドウジは情けなく思いながらも、脳内で思ってしまった。

 「もっと人手が欲しい」と・・・。


 普通の人間なら当然の意見だが、「頂点」を目指すドウジにとっては"思ってはいけない"願望なのだ。

 事実ドウジは自身の「弱さ」を自覚し、また軽くショックを受けている。

 改めて自身が「未熟者」であることを知ってしまった。


 脳内でそう思いながらも、必死に戦うドウジ。

 だが思うように体が動かない。


 これは余計なことを考えてしまったドウジの大きなミスだった。

 そのせいで感情に体が引っ張られてしまっていたのだ。

 そうなると、ドウジの運命は決まっていた。



 マルクスの操る「物体」の大きな腕がドウジに命中する。

 ドウジは攻撃を防げておらず、体全体で攻撃を受けてしまった。


 ドウジが行けたダメージは、例えるなら建物の解体などで使われる解体用鉄球を勢いよく当てられた際の痛みの三倍である。

 そのダメージをもろにくらってしまったドウジ。

 勢いよく地面に衝突し、少し深めの穴ができてしまった。



 ギルダーはその光景を横目で見ていたが、集中するために気にしないようにした。

 宙を盾で飛びながらマルクスを狙う。




 ドウジはかなりのダメージを負ったが、これくらいで気絶するほどではなかった。

 すぐに地上に戻ろうと穴から脱出しようとする。


 時間はかからず、穴から脱出に成功する。

 ドウジは体や着用しているモノを泥だらけにした。

 だが、気にせず「物体」を警戒する。


 しかしどうやら足元も見えるらしく、「物体」の大きな足で踏み潰そうとするマルクス。

 そしてそれを避けるドウジ。



 予想外に追い詰められているドウジ。

 余計なことを考えないように集中し始める。

 改めて気合を入れて戦おうとする。


 その時だった。


「メテオストリーム!!」


 声と共に小型隕石のようなモノが、マルクスが操る「物体」目掛けて飛んで行った。

 そして衝突し、衝撃によって「物体」は後ろに倒れ始めた。

 二本足では流石に支えられなかったようだ。



 聞いたことのある声だった。

 ドウジは隕石が飛んできた方向を向く。

 そこにいたのは、村の中にいたハズの"キョウカ"がいた。


「なぜ、ここに・・・。」


 キョウカを見ながら固まっているドウジ。

 するとキョウカはドウジに向かって叫ぶ。


「それより、今がチャンスです。」


 キョウカの言葉を聞いて状況を理解するドウジ。

 すぐに「物体」の方を向き、勢いよく跳んで行く。

 自慢の跳躍力で。



 先にギルダーが行動に移していた。

 仰向けの状態となった「物体」のコクピットの真上を飛んでいた。

 そして盾から飛び降りて、そのまま真下にあるコクピット目掛けて落下した。

 狙うのはもちろん、操縦者の"マルクス"だ。


 マルクスは上空から降ってくるギルダーの存在に気付き、あのコンクリートのようなモノでコクピットのガラスを再び守ろうと起動させようとする。

 しかしそんなこと想定済みだったギルダーは、コクピット目掛けて剣を投げつけた。

 さらに風の魔法を使って速度を上げた。


 勢いを増した剣はそのままコクピットのガラスに突き刺さる。

 そしてそのまま貫通し、操縦席に座っていたマルクスの肩に刺さった。


 肩に激痛が走ったことでマルクスはコンクリートを起動させられなかった。

 その結果、後から落ちてきたギルダーによってガラスを破壊させられ、侵入を許してしまった。

 ギルダーはマルクスを勢いよく踏み潰す。

 胸部に衝撃を与えた結果、固定していた操縦席のイスが外れてしまい、マルクスとギルダーは今は下となった後ろの空間に落下した。



 生身の戦闘力はないマルクスは動けずにいる。

 ギルダーはそんなマルクスに近付き、肩に刺さった自身の剣を抜いた。

 抜く際にマルクスの肩を踏んだ。


 するとギルダーは「ナニカ」を察知して、上を見た。

 上には操縦席の半壊したガラスがあり、そこから空が見える。

 だが、空から「ナニカ」が近付いてきていることが分かった。

 その正体に気付くのに時間はかからなかった。






 倒れている「物体」を離れて見ていたキョウカ。

 その「物体」の真上から落下してきている"影"があった。


「ドウジさん・・・!」


 ドウジが上空から「物体」に突撃してきていたのだ。

 その姿はまるで「流星群」のようだった。


 勢いよく接近し、やがて「物体」の装甲を突き破った。

 そして「物体」は凄まじい音を立て続け、やがて静まり返った。


 数秒の静寂が続いた後、ついに「物体」が大爆発を起こした。

 何度も爆発音が鳴り響く。

 すると爆炎の煙の中からマルクスが飛び出してきた。


「おのれぇー!!!」


 マルクスは叫びながら空の彼方に飛んで行き、やがて見えなくなった。

 つまり、ついにマルクスを倒したのだ。






 当然爆発はキョウカやガイはもちろん、村の中にいるイェルコインやフブキ、村民の目にも入っていた。

 それはまるで、マルクスという「悪」が成敗された証のように見えた。



 キョウカは爆風で少し吹き飛ばされたが、軽傷で済んだ。

 それより彼女が心配しているのはドウジとギルダーの安否だった。


 爆発する「物体」に無謀にも近付こうとするが、爆風で追い返される。

 叫ぼうにも風が強くて叫べない。


 ただ見ているしか出来なかった。



 しかし、その心配も少しの間だけだった。


 爆炎の中から「ナニカ」が勢いよく飛び出してきた。

 そしてその「ナニカ」はキョウカの近くに落下してきて、着地した。


 正体はギルダーを抱えたドウジだった。


「あっ!」


 キョウカは近付こうとするが、爆風で思うように動けない。


 すると、ドウジはキョウカに近付いて、彼女も抱えた。

 そして安全な場所まで跳んで行った。




 ドウジは爆風が届かない場所まで離れた。

 それを確認すると、ギルダーとキョウカを離した。


「お二人とも、よくぞご無事で・・・。」


 キョウカはドウジとギルダーを見ながら言う。

 二人とも無傷ではないが、立っていられる元気はあるようだ。


「ありがとな、キョウカ。」


 突然ドウジがキョウカに言った。

 それを聞いたキョウカは目を丸くする。

 そしてそれを察したドウジはお礼の理由を言う。


「マルクスを倒せたのはキョウカのおかげだ。」


 キョウカはそれを聞いたことで、お礼の理由に気付いた。

 そしてキョウカの性格から分かる通り、「いえ。」と返事をした。


「お二人とも、お疲れ様でした。」


 キョウカも二人にお礼を言い返す。

 ドウジは無表情でなにも言わなかったが、その言葉を受け止めた。

 ギルダーも言葉を聞いた後、剣を鞘に戻して移動し始めた。


「どこへ行く。」


 すぐにドウジがギルダーに聞いた。

 するとギルダーは振り向きはしなかったが、歩みを止めた。


「盾を回収する。」


 そう一言だけ述べると、「物体」があった場所まで移動しようとする。

 いつの間にか爆発も収まっており、残っているのは基地と「物体」の残骸だけだった。



 それはまるで、マルクスによる支配の終わりと、村の平和の始まりを意味しているようだった。






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