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48.第6話「巨大兵器」(6/10)


 マルクスの重機のような「物体」は、基地の壁を破壊して外へとおびき寄せられた。

 脚が一本無くなったが、三本あれば一応立てるようだ。


 歩き方がぎこちないが、側面から生えている巨大な鉄の腕による攻撃力がそれを補う。

 「物体」を操縦するマルクスは再びドウジとギルダーを狙って攻撃を開始する。

 ドウジは自慢の跳躍力を生かし、ギルダーも風魔法によって浮く盾に乗りながら攻撃を回避する。

 そして隙を見て「物体」に対して反撃する。

 「物体」がダメージを受けているかは不明だが、押されたりしているのは目に見えてわかる。






 戦っているのはドウジたちだけではない。


 村付近ではガイとシグとザイルダイトが悪党たちと戦っていた。

 三人は現在囲まれてしまっていた。


 せっかく倒したキィナ、ヴィレンビー、チャックが目覚めてしまった。

 アルクレスとDr.メジャーリーグが気絶していることが幸いだった。



 ガイたちは悪党を、悪党たちはガイたちを警戒する。

 今まさに、いつ戦いが起きたとしてもおかしくはなかった。

 そして予想通り、チャックが動き出したことにより戦いは始まった。


 チャックが狙うのは、恨みがあるザイルダイトだった。

 前に拳銃などの件でおちょくられたからだ。

 ザイルダイトもそれは分かっていたので、おそらく自身に来るであろうという無駄な自信があった。


 チャックは気合が入った声を出しながらザイルダイトに殴りかかろうとする。

 しかしザイルダイトは特に動こうとはしなかった。


 チャックは思いっきりザイルダイトに右ストレートを放つ。

 だが、ザイルダイトは直前で攻撃をかわす。

 すると自身に向かって放たれた腕を両手で掴んだ。

 そしてそのまま逆にチャックを投げ飛ばした。

 ちなみにザイルダイトの手は光っていない。


 チャックは体が縦に回転して、背中から地面に落下した。


 背筋を伸ばしながらザイルダイトは腰に手を当てて「ふぅ・・・。」と息を吐く。

 倒れているチャックを眺めながら。



 すると突然ザイルダイトの顔面を狙って「ナニカ」が急接近する。

 ザイルダイトは反射的に腰を曲げて避けた。


 正体は「ヴィレンビーの腕」。

 どうやらラリアットをしてきたようだ。


「敵は一人じゃねえぞ。」


 そう言ってザイルダイトに掴み掛かろうとするヴィレンビー。

 相変わらずパンダのようなピエロメイクが不気味だった。


 体勢を元に戻したザイルダイトは背を向けた状態で横を向く。

 そして横目で真後ろにいるヴィレンビーを(にら)むように見た。

 お互い不気味な笑みを浮かべている。




 ガイとシグも戦っていた。

 相手はナイフ使いのキィナ。


 ガイは四つの鎧を操りながら、自らの甲冑を盾にシグを守りながらキィナと戦う。

 幽霊であるガイには「怪我」というモノがないため、殺傷能力相手にはとても相性が良かった。

 その代わり甲冑には多数のナイフが突き刺さっていた。


 キィナは素早く連続でナイフを投げる技術があるため、あっという間に甲冑たちはナイフまみれとなっていた。


「ぐっ・・・。」


 キィナは汗をかいていた。

 いくらナイフを刺しても倒れない相手に焦っていた。



 ガイは他の甲冑との連携(れんけい)で、キィナの背後をとった。

 すぐにガイはキィナを羽交(はが)い締めにして動きを封じた。

 しばらくしてキィナの手からナイフが離され、地面に金属音を立てながら落ちる。


「今だ、ボクごとやっちゃえ!!」


 ガイは大声で叫んだ。


 ガイを見ていたキィナは、顔を前に戻した。

 すると目の前からシグが走ってきているのが分かった。


 やがてシグはキィナの腹部目掛けてオノを持つ腕を振った。

 そしてオノの刃がついてない方を命中させた。

 キィナは「お゛っ!?」という汚い声をあげる。

 衝撃でキィナの後ろにいたガイの甲冑がバラバラに吹っ飛び、キィナは後方に吹っ飛んだ。


「よっし!」


 シグの近くで浮かんでいる兜が声を上げた。

 それはガイの兜だった。


 よく見ると吹っ飛んだのは鎧だけで、それ以外の部位は宙に浮いていた。




 一方、ザイルダイトはヴィレンビーと激しい戦いを繰り広げていた。

 ・・・と言っても、ヴィレンビーの攻撃をザイルダイトが避け続けているという状況だが。


「どうした、さっき俺を倒した力を使わねえのか?」

「・・・あ?」


 ヴィレンビーの質問に首を傾げるザイルダイト。

 ヴィレンビーが言う「力」とは、先程ザイルダイトが"漆黒の輝き"を纏っている姿のことだ。


 ザイルダイトは頭をかく。

 何のことか分かっていないようだ。


 しかしヴィレンビーは普段のザイルダイトの行いから、ただふざけているようにしか見えなかった。


 ヴィレンビーはザイルダイトに掴みかかった。

 当然それを避けるザイルダイト。

 避けるついでにヴィレンビーの足を蹴って引っ掛けた。

 その際に足に「気」を纏わせていた。


 ヴィレンビーは体を前倒しにしていたので、そのまま前方に素っ転んだ。


「なんだか分からねえが、俺にも技を選択する権利がある。 そして決定権も俺が持っている。」


 ザイルダイトは変な言い回しで言い放つ。

 ヴィレンビーは特に返事はせず、すぐに立ち上がる。

 そして首の骨を鳴らした。


 ザイルダイトの方を振り向くと同時に殴りかかる。

 いわゆる「フック」の形で。


 だが、それくらいは簡単に避けるのがザイルダイト。

 続くヴィレンビーの蹴り攻撃も華麗に避ける。

 そして段々と早くなっていくヴィレンビーの攻撃速度。


 だが、その前にザイルダイトがヴィレンビーの隙を見て転ばせる。


 流石のザイルダイトもヴィレンビーの本気の攻撃速度は避けられない。

 なので、そうなる前に連続攻撃を止める必要があった。

 同じ失敗を繰り返さなかったのだ。



 二度目の転倒でさすがにヴィレンビーもキレ始めた。

 仰向けの体勢で思いっきり地面を叩き、床が若干凹む。


 ザイルダイトはヴィレンビーが立ち上がるのを待っていた。


 その時だった。


「はーっ!!」


 ザイルダイトの後ろから声が聞こえてきた。

 すると「ナニカ」を察したのか、ザイルダイトは思いっきり横に飛んだ。



 どうやら、後ろからチャックが攻撃をしてきたようだ。

 それを察してザイルダイトは回避するために横に飛んだのだ。


「チッ!」


 チャックは舌打ちをする。

 すると近くにいたヴィレンビーも立ち上がった。


 これよって「1vs2」となってしまった。


「おう、寝起きは悪そうだな。」


 起き上がったヴィレンビーに冗談を言うチャック。

 ヴィレンビーは特になにも答えなかった。



 片膝を地面についているザイルダイトは、顔がニヤけているが内心は面倒臭いことになったと思っていた。


 チャックは邪悪な笑みを浮かべて指を鳴らす。

 ヴィレンビーも不気味な笑みを浮かべている。


「叩きのめすぞ、"ビ"レンビー!」


 チャックはそういうと、早速ザイルダイトに突撃しようとする。

 しかし次の瞬間、チャックは空中に浮かんだ。

 よく見ると、チャックの首の後ろをヴィレンビーが掴んでいて、そのまま持ち上げられていた。


 そのまま手を離してチャックを地面へ落とす。


「痛ぇ、なにすんだよ!!」


 チャックが文句を言いながらヴィレンビーを見る。


 すると、ヴィレンビーの顔が怒りで満ちていた。

 体も震えており、とてつもなく怒っている様子だった。


「おい、さっき何つった?」


 ヴィレンビーが恐ろしい声色でチャックに言う。

 凶暴なチャックも思わず恐怖するほどに。


「ど、どうしたんだ・・・?」


 声を震わせながらヴィレンビーに聞くチャック。

 次の瞬間、ヴィレンビーは勢いよくチャックの顔面を蹴飛ばした。


 衝撃でチャックは吹っ飛び、再び地面に倒れる。

 しかしそんなチャックを逃そうとしないヴィレンビー。

 すぐにまた距離を縮める。


「お前、さっき俺のことを何て呼んだ?」


 ヴィレンビーは恐ろしい声色で聞きながらチャックに近付く。

 チャックはヴィレンビーから逃げようとするが、ダメージが酷いので素早く行動ができない。

 しゃがんできたヴィレンビーに髪を掴まれるチャック。


 そしてヴィレンビーはチャックの耳元で大声で叫んだ。


「俺の名前は"ビ"レンビーじゃねえ! "ヴィ"レンビーだ!!」


 そう言い放つと、ヴィレンビーは思いっきりチャックの頭を地面に何度も叩きつき始めた。

 チャックは抵抗できず、顔から血を流し続けている。


 目の前の光景にザイルダイトも引いている。


 やがてヴィレンビーはチャックを仰向けの体制にし、チャックの顔を何度も殴り始めた。

 普段から不気味なヴィレンビーの顔は、さらの悪魔のように恐ろしい顔つきになっており、とてつもない怒りが伝わってくる。


 最後にヴィレンビーはチャックを持ち上げると上空に投げ飛ばし、落ちてきたチャックを思いっきり殴り飛ばした。

 チャックは吹っ飛ばされ、遠くの地面で勢いよくぶつかった。



 ザイルダイトは一部始終を黙って見ていた。

 さすがにザイルダイトも引いており、苦笑いの表情を見せながらヴィレンビーの方を見る。


 ヴィレンビーは息を吐きながら平常心を保とうとしている。

 恐ろしい表情が段々と柔らかくなっていき、やがて「不気味な表情」のレベルまで戻った。


「自ら戦力減らすバカが本当にいるとはな。」


 ザイルダイトはなぜか煽るように言い放つ。

 しかしヴィレンビーは笑いながらその感想に返答する。


「俺は名前を間違えられるのが一番嫌いなんだ。 敵味方関係なく、そういう奴は死ぬほど憎い。」


 ヴィレンビーは遠くにいるチャックを睨みながら言う。

 声色が戻っているが、やや真面目な感じだった。


「気持ちは分からねえでもないが、やりすぎると同情されないぜ。」


 ザイルダイトは立ち上がりながら語る。

 それに対してヴィレンビーは鼻で笑うだけだった。



 色々あったが、再びぶつかり合おうとするザイルダイトとヴィレンビー。

 勝利はどちらが得るのだろうか・・・?






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