44.第6話「巨大兵器」(2/10)
場面はドウジたちのところへと戻る。
ドウジは現在進行形でハムサンドと戦っていた。
互いに力が強く、ガッシリとした腕による攻撃は強烈だった。
ドウジが勢いよく飛び蹴りを放つ。
それをハムサンドは腕で防ぐ。
そしてもう片方の腕でドウジに殴りかかる。
しかしドウジは力強く蹴って距離を離し、攻撃を避ける。
攻防は激しく、隙を見せたら危ない戦いであろう。
一方キョウカはガイと共に、倒されたギルダーとフブキ、それと伝説のヴァルク・スワットの治療を行っていた。
三人は特に酷い怪我はしておらず、呼吸にも異常はなかった。
「単純に力が強いタイプの相手のようだね。」
ガイがフブキを優しく部屋の隅で寝かせながら呟く。
ハムサンドの腕力は見てるだけでも強いことが分かる。
あのドウジの攻撃を腕で受け止めたからだ。
「早く加勢を・・・。」
キョウカがそう喋り出すが、その直後ドウジが近場に跳んできた。
どうやら攻撃の反動を利用して距離を空けたようだ。
「治療は?」
ドウジは「敵」から目を離さずに、キョウカたちに聞く。
「応急処置程度ですが、終わりました。」
キョウカはすぐに答える。
するとドウジは数秒だけ沈黙すると、やがて言葉を発する。
「ならばキョウカとガイは三人を連れながら、あの牢獄から村人たちを救出してくれ。」
ドウジはそう指示を出した。
当然ガイは「え?」と聞く。
しかしドウジはすぐにハムサンドの方へ再び突撃していった。
どうやらドウジがハムサンドの相手をしている間に、牢獄にいる村人たちをキョウカとガイに救出させる作戦のようだ。
キョウカたちもそれを理解した。
「仕方ない、やろう!」
ガイはそういうとフブキを抱えながら牢獄がある部屋へと向かった。
残されたキョウカはギルダーを抱えようとするが、力不足で抱えることができない。
すると、すぐにガイが籠手だけを飛ばしてギルダーを迎えにきた。
ギルダーはガイの籠手に掴まれて、意識のない状態でそのまま部屋を出て行く。
キョウカはガイについて行こうとするが、部屋を移る直前にドウジの方を振り向く。
そして戦っているドウジをしばらく眺めた後に部屋を出て行った。
そして忘れていたのか、少し遅れて伝説のヴァルク・スワットを回収しに来るガイの籠手だった。
ドウジは目の前にいる「敵」に集中している。
目の前の「敵」、ハムサンドは自身の拳と拳を強く打ち付け合う。
ドウジも腕を回して気合いを入れる。
次の瞬間、ドウジはハムサンドに力強く殴りかかった。
だがハムサンドは腕で攻撃を防ぐ。
しかし瞬時にドウジはもう片方の腕で攻撃をした。
拳がハムサンドの顔面に直撃する。
その衝撃で後方に吹っ飛ぶハムサンド。
そのまま地面に倒れる。
ドウジは休む暇なく行動する。
ハムサンドの真上にある天井まで跳び、空中で体を上下反転させて天井に足を付ける。
そして天井を蹴って、勢いよく真下に落下する。
瞬時に体を再び上下反転させ、真下にいるハムサンド目掛けて落下し、踏みつぶす。
ハムサンドの胸部にドウジの足がめり込む。
するとあまりの衝撃により、地面にヒビが入る。
「俺を・・・誰だと・・・。」
ハムサンドが言い終わる前に地面が崩れる。
倒れているハムサンドはもちろん、乗っているドウジも落ちそうになる。
すぐにドウジは上へ跳び、避難する。
倒れているハムサンドはそのまま下の部屋に落下していった。
避難したドウジは開いた穴から下の部屋を見下ろす。
下には落下したハムサンドが倒れていた。
ドウジは安全を確認すると、下の部屋に飛び降りた。
そして目の前で倒れているハムサンドを警戒する。
ハムサンドは起き上がろうとする動きは一切見せず、地面に倒れたまま静止している。
包帯で表情が分からないため、とても不気味だった。
すると、上から声が聞こえてきた。
「ドウジさん!」
声の主はキョウカだった。
上の部屋からドウジのいる下の部屋を大穴から覗いている。
「救出は終わったのか?」
ドウジはキョウカに聞く。
するとキョウカはすぐに答えた。
「あと少しですので、あとはガイさんに任せました。」
そう言うと自身の杖を両手で持つ。
「私はドウジさんの手助けをと来ましたが、どうやらその心配はなさそうでしたね。」
キョウカは言い終えると ニコッ と笑う。
それを見上げながら無表情でドウジは眺めていた。
その時だった。
「ドウジさん、危ない!!」
キョウカが「ナニカ」に気付き、ドウジに向かって叫ぶ。
だがドウジも気配を察知しており、すぐに振り返る。
するとドウジの目の前にはハムサンドが襲いかかってきていた。
「俺を誰だと思っている。 ジャンボ・ハムサンド様だぞ!」
ドウジはハムサンドの手を掴む。
二人はまるで「押し相撲」でもしているかのような格好になる。
互いに手を掴み、力一杯に押し合っている。
ドウジはハムサンドの見えない目を睨むようにして警戒する。
上の部屋から声が聞こえてきた。
「大いなる宇宙の落とし子よ、愚なるモノたちに終焉を!」
どうやらキョウカが呪文を唱えているようだ。
その言葉と共に魔法陣から「巨大な岩石」が姿を現す。
「メテオストリーム!!」
そしてキョウカのその言葉と共に「巨大な岩石」が下の部屋に勢いよく落下した。
岩石はハムサンドの数メートル後ろに落下する。
その衝撃でハムサンドは吹き飛ばされそうになる。
それが、勝敗を決めた。
ドウジはその隙を逃さず、予想外の出来事で力を弱めたハムサンドを思いっきりぶん回した。
まるで「ジャイアントスイング」のように。
そして力一杯にハムサンドを投げ飛ばした。
ハムサンドは勢いよく壁に激突し、砂埃が舞う。
やがて砂埃が消えると、ハムサンドは地面に落ちて倒れていた。
ドウジは今度こそハムサンドの状態を確認する。
ハムサンドに近付くと、二回ほど身体を軽く蹴った。
しかしハムサンドは動こうとしない。
とりあえず、気絶したと判断するドウジだった。
再び大穴を使って上の部屋へ跳ぶドウジ。
ちょうど目の前にはキョウカがいた。
「あ、あの、ドウジさん・・・。」
キョウカが「ナニカ」を言いたそうにしている。
ドウジはなにも言わず、キョウカの言葉を待った。
「戦いに横槍を入れてしまい、申し訳ございませんでした・・・。」
キョウカが頭を下げながら謝罪した。
キョウカはドウジを助けるために魔法を放ったが、それと同時にドウジとハムサンドの決闘に割り込んでしまったことになる。
キョウカはそれに対しての謝罪をしているのだ。
ドウジは謝るキョウカをしばらく無言で眺めていたが、やがてキョウカの左肩に右手を置いた。
「いや、助かった。 礼を言う。」
ドウジはそう二言だけ述べる。
それを聞いてキョウカは恐る恐る頭を上げ戻し、やがて微笑みの表情を見せた。
「ガイのところへ戻ろう。」
次にドウジはそうキョウカに言った。
それに対してキョウカも「はい!」と元気よく返事をし、そのまま二人はガイのいる部屋へ急いだ。
ドウジたちがガイのいる牢獄の部屋に到達した頃には、既に囚われていた村人たちが全員救出されていた。
「やあ、お疲れ。」
ガイが軽くドウジを労う。
ドウジは頷いて返事をすると、念のため周りを確認した。
「ちっ、俺としたことが・・・。」
「まあまあぁ。」
負けた悔しさを感じているギルダーと、それに対し軽い感じに慰めるフブキの姿があった。
また、未だに気絶している伝説のヴァルク・スワットの姿もあった。
ドウジは村人たちに近付く。
「本当にありがとうございました。」
ドウジに気付いた村人たちがそれぞれお礼の言葉を送る。
ドウジは頷いて返事をすると、村人たちを一人一人見ながら喋り始める。
「ここにいるので全員なのか?」
「は、はい!」
ドウジは一応他にも村人がいるかを確認した。
だが、その答えは「ノー」であった。
それを聞いて、ドウジは次にやることを考え出した。
するとキョウカが横から意見を出してきた。
「とりあえず、村人たちを村に帰しましょう。」
「それがいいな。」
キョウカの意見に、ドウジは賛同する。
それを聞いてガイも頷いた。
しかしギルダーは意見する。
「俺は親玉を倒す。」
ギルダーは剣を床に刺し、立ち上がるために利用する。
無事に立ち上がると剣を床から引き抜き、盾に刺してある鞘に収める。
「その怪我では無理ですよ!」
キョウカがギルダーを心配してそう言い放つが、ギルダーは無視をして歩き出す。
しかし今度はフブキがギルダーに抱きつく。
「ちょっと待ちなしゃいよ。」
フブキはギルダーを止めようとするが、ギルダーはフブキを振り払おうと必死だった。
するとガイも意見を出す。
「確かにここまで来たからにはマルクスのヤツを追い詰めたいとも思うな。」
ガイはドウジを見る。
どうやらドウジの考えを聞きたいようだ。
ドウジは村人たちや、来た道などを交互に見る。
そして最終的にガイの方を向いた。
どうやら彼なりの意見がまとまったようだ。
「俺とギルダーは先に進む。 残りは村人たちを頼む。」
これがドウジの意見だった。
それを聞いてフブキが「え?」と言いながらドウジの方を向く。
すると「今だ!」というかのように隙を見てフブキを振り払うギルダー。
「ドウジさん?」
「もしかしたらマルクスが逃げるかもしれん。 追い詰める必要も確かにある。」
ドウジがキョウカを見下ろしながら言う。
それを聞いてキョウカは考え込む。
「分かりました。 住民たちは私たちに任せてください。」
考えた末、キョウカはそう答える。
その言葉を聞いてドウジは無言で頷き、ギルダーと共に基地の奥へと走って行った。
残ったのはキョウカ、ガイ、フブキの三人だった。
「ボクたちは村人たちを村へ帰そう。」
「そうね。」
キョウカたちはドウジの頼み通り村人たちを村まで誘導し始めた。
「ギルダーと一緒に行動したかったなぁ〜・・・。」
フブキはそう呟きながらも、村人たちを誘導するのだった。




