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42.第5話「悪の基地」(7/7)


 またまた場面は変わる。


 ギルダーたちのところへ急ぐドウジ、キョウカ、ガイの三名。

 彼らは基地内を彷徨(さまよ)っていた。


 しかし敵の気配はなく、誰もいない。


「てっきり一般戦闘員的なヤツらが結構いるイメージだったが・・・。」

「どうやら、マルクスという男は金持ちなだけのようだ。」


 ガイとドウジは敵のいないこの状況を見て、推測した。

 先程までの集団はあくまでアクセルの手下たちである。

 ドウジが戦った女性は分からないが、仮にそうでも人手が少ないことに変わりない。


 ただ、念のため周囲を見回しながら走るドウジたちだった。




 そしてそのまま走り回っていると、変な大部屋へとやってきた。

 その部屋は大量の牢屋があり、まるで刑務所のようだった。


 牢屋の中には人がおり、ボロボロの布でできた服を着ている「奴隷」のようだった。


 ドウジたちは一度足を止めて周りを見渡す。

 すると牢屋の人々もドウジたちを見ていた。


「もしかして・・・。」

「ああ、たぶんそのようだな。」


 キョウカとドウジには「奴隷」たちが誰なのか分かっていた。

 もちろんガイもだ。


「彼らがあの村の住民たちか。」


 老若男女関係なく捕まっている。

 どうやら村の人々はマルクスによって(さら)われていたようだ。



 すると、その時だった。


「おい、そこの伝説の人たち!」


 数ある牢屋の中のどれかから声が聞こえてきた。

 ちなみに男の声だった。


「伝説的に少しこちらに来てくれ!」


 声のする方向を特定し、そちらへ移動するドウジ。

 ドウジは一つの牢屋の前に立った。

 すると、その牢屋には「奴隷」とは違う衣服を身につけている男がいた。


「呼んだのは、あんたか?」

「ああ、伝説的にその通りだ。」


 「男」はまるで「パンクロッカー」のような風貌(ふうぼう)の青年だった。


 キョウカたちもドウジのもとへやってきて「男」の姿を見る。


「あんたは他の人たちとは違うようだが・・・?」


 ガイが「男」へ聞く。

 すると今まで地面で寝っ転がっていた「男」は立ち上がった。


「伝説の俺の名は、伝説の"ヴァルク・スワット"。」


 「男」は変なポーズをとりながら名乗る。

 その勢いにやや呆然(ぼうぜん)とするドウジたち。


 だが、伝説のヴァルク・スワットは気にせず話を続けた。


「伝説のマルクス・スノーモービルを相手に伝説の勝負を挑んだ結果、伝説的にこうなってしまったのだ。」


 そう説明した。


 どうやら彼はマルクスに戦いを挑んで、そして負けてしまったようだ。

 やたら「伝説」という単語を使いまくっていることの方が気になるところであるが。


「伝説の俺はここから伝説的に抜け出して、もう一度伝説の勝負を挑まなければならない。」


 喋り終えると、伝説のヴァルク・スワットは勢いよくドウジを指した。


「そこで、伝説的に手を貸してくれないだろうか?」


 どうやら脱獄を手伝ってほしいようだ。


 初対面だし、怪しすぎる男であるためドウジたちは互いに顔を見合わせてアイコンタクトだけで相談をしている。

 表情がないガイはともかく、キョウカは苦笑(にがわら)いを見せている。


 しばらく黙っていたが、やがてドウジが牢屋の鉄格子を両手で掴んだ。

 そして思いっきり左右に引っ張る。

 鉄格子は思いっきり曲がり、人が通れる隙間が生まれた。


「伝説的に感謝する。 伝説のあんたは、伝説の救世主だぜ!」


 伝説のヴァルク・スワットはドウジにお礼を言うと、鉄格子が曲がったことで生まれた隙間を乗り越えて外に出られた。

 無事に自由となる伝説のヴァルク・スワットだった。



 すると、他の牢屋からも次々に声が聞こえてくるようになった。

 「私たちも助けてくれ。」という声ばかりだった。


「他の人たちも解放しないといけませんね・・・。」


 キョウカが上下左右の牢屋を見渡しながら言う。

 しかしドウジの返答は違った。


「いや、まずはギルダーたちと合流してからの方が良さそうだ。」


 ドウジの言葉にキョウカは「え?」と言う。

 するとガイもドウジの言葉を理解したのか、すぐに喋る。


「ここで皆を逃しても、護衛が出来なさそうだね。」


 ガイの言葉を聞いてドウジは(うなず)く。

 するとキョウカも「あっ!」と気付いたような声を出した。


 もしかしたら新たな敵が現れる危険性があるかもしれない。

 そしたら村人の皆を危険に(さら)してしまうだろう。

 そう、ドウジは思ったのだろう。



 ドウジは部屋の中央あたりに移動すると、上を向いて叫ぶ。


「あとで必ず助けに来る! 少しの間だけ待っててくれ!!」


 ドウジはそう言うと、キョウカたちの方を見た。

 するとキョウカたちは無言で頷いた。

 それを見たドウジはさらに奥を捜索するために再び走り出した。


 新たに「伝説のヴァルク・スワット」を同行させて。




 いくつかの部屋を通過すると、大きな部屋に出た。

 色々目につくモノがあったが、真っ先に目に入ったのは「床に倒れている二人組」だった。

 片方は剣闘士のような男で、もう片方は白衣を着ている。


 そう、あの時ドウジたちとは別行動中にギルダーたちが倒した二人だ。


「こ、この人たちは・・・?」

「どうやらギルダーたちはここを通ったようだな。」


 ドウジはすぐに「ナニがあった」かを感じとった。

 いわゆる「戦士の勘」というヤツだ。



 四人は倒れている二人をスルーして、次の部屋へと向かおうとする。

 倒れている二人はまだ気絶している。




 やがてドウジたちはギルダーたちが訪れた大広間へとやってきた。

 遠くの方にあの"ジャンボ・ハムサンド"と名乗っていた「モンスター」が座っている。

 遠くにいるドウジたちに気付いて顔をそちらに向けている。


「ドウジさん!」


 すると突然キョウカがドウジを呼ぶ。

 ドウジがそちらを見ると、そこには驚きの光景が。


「あっ!?」


 ドウジが目にしたのは、倒れているギルダーとフブキの姿だった。

 どちらも気を失っているようだ。


「どうやら、アイツに・・・。」


 ガイがハムサンドを見て言う。

 ドウジもハムサンドの方を見る。

 するとハムサンドがゆっくりとドウジたちに近付いてきていた。

 ギルダーと戦ったときと同じく。


 大広間は大きいためかなり距離はあり、近付くまで数分はかかることであろう。


「危険な雰囲気を感じます・・・。」

「ああ・・・。」


 キョウカとドウジは互いに感じ取っていた。

 目の前の「敵」が危険な存在だと・・・。


「フッフッフッ・・・。」


 すると真っ先に前に出たのはドウジではなく、なんと伝説のヴァルク・スワットだった。

 彼は(ふところ)に手を突っ込んだまま前に出た。


「ここは、伝説の俺が伝説的な活躍をする伝説の場面・・・!」


 そう言い終えると伝説のヴァルク・スワットは懐から「ナニカ」を取り出した。

 それは「ブーメラン」だった。


「これぞ伝説の俺の伝説の武器。 伝説的な今から伝説の戦いが伝説的に始まるぞ。」


 そう言ってブーメランを持ちながらカッコつけたようなポーズをとる。

 しかし特にドウジたちはツッコまず、そのまま黙って見ている。

 やがて伝説のヴァルク・スワットはブーメランをハムサンド目掛けて投げつけた。


 その光景は正しく「伝説的」であった。

 なぜならブーメランが全く回らずに飛んでったからだ。

 そして回っていないブーメランがハムサンドに命中する。

 だが、結果は明白だろう。

 ブーメランはハムサンドに命中したと同時に床に落下した。

 そしてハムサンドは床に落ちたブーメランを踏み潰し、破壊した。


「なあ、あんた本当にブーメランを武器にしてるのか?」


 ガイは伝説のヴァルク・スワットに問う。

 すると伝説のヴァルク・スワットは元気よくすぐに答えた。


「伝説的に今日が初めてだ。」


 サムズアップまでして答えた。


 ドウジとガイは思わず目を()らし、キョウカまでも呆れたような表情でうなだれている。

 しかし伝説のヴァルク・スワットは呑気に笑顔を見せる。


「だが、伝説的に大丈夫だ。 伝説の遠距離攻撃がダメなら、伝説の近距離攻撃で伝説的に戦えばいい。」


 伝説のヴァルク・スワットはそう言うと、変なポーズをとりながら再びハムサンドを見る。

 どうやら「構え」のようだった。


 次の瞬間、伝説のヴァルク・スワットは勢いよくハムサンド目掛けて走り出した。

 ハムサンドは相変わらずゆっくり歩いている。


 やがて伝説のヴァルク・スワットはハムサンドと距離を縮めると、勢いよく飛び蹴りを放った。

 そのままハムサンドの頭に足が近付く。

 ・・・しかし、その前にハムサンドが足を掴んだ。


「俺を誰だと思っている。」


 そう言いながら、そのまま伝説のヴァルク・スワットを勢いよく地面に叩きつけた。

 伝説のヴァルク・スワットは地面に勢いよく激突し、体を痙攣(けいれん)させる。

 やがて白目を()きながら気絶した。


「ジャンボ・ハムサンド様だぞ。」


 ハムサンドはそう言うと足から手を離す。

 そして伝説のヴァルク・スワットを(また)いで、再びドウジのもとへ行くために歩み出した。


「そもそも、なんでいちいち『伝説』って付けるんだ?」


 ガイが今更感たっぷりなツッコミをした。

 しかしドウジとキョウカは目の前の「敵」を警戒している。


 伝説のヴァルク・スワットを叩きつけた威力は中々のものであり、ドウジは見ただけで「奴」の腕力を危険視している。

 キョウカも、危険さだけは感じとっていた。


「キョウカ、二人を頼む。」


 ドウジはキョウカに向けて一言。

 キョウカもなにも言わず、ただ頷くだけだった。



 やがてドウジは勢いよく走り出した。

 ハムサンド目掛けて。


 まずは顔面に一発、右ストレートで重い一撃を与えた。

 するとハムサンドはその反動で後方の倒れた。

 どうやら攻撃は通るようだった。


 だがハムサンドはすぐに起き上がる。

 起きるついでに勢いよく腕を振り下ろした。


 しかし反撃を察知したドウジは既に距離を離していた。

 その結果、地面が凹むだけで済んだ。


 ドウジは振り下ろした隙を狙って横から蹴りを放った。

 腕では届かないと判断して、珍しく蹴りを使う。

 ドウジの力強い蹴りがハムサンドの側頭部に命中する。

 今度は横に倒れそうなるハムサンドだったが、これは持ち(こた)えたためすぐに次の行動に移る。


 体勢を整えると同時にドウジに向かって右フックを放つ。

 右フックがドウジに命中するものの、ドウジは腕で防いでいた。

 しかし威力が大きいため反動で少し吹っ飛ばされる。



 地面に倒れたりはしたが、特に苦もなく復帰している。

 そしてすぐにハムサンドの方を向くドウジ。


 まだまだ戦いは始まったばかりだった・・・。






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