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40.第5話「悪の基地」(5/7)


 一方、正気を取り戻したキョウカによって、ドウジの治療が行われていた。

 ドウジは身体中に包帯を巻かれ、まるでマッチョなミイラのような見た目になっていた。


「アーリルさんから医療道具を分けてもらって良かったです。」


 大量の包帯の理由がすぐに分かった。


「しっかし、身体中にナイフを刺されたのに平気そうなのは流石としか言いようがないね。」


 ガイが褒めてるのか分からない言い方でドウジを評する。

 それと同時にキョウカは苦笑いを浮かべた。



 治療を終えたことで立ち上がったドウジ。


「よし、じゃあガイ、キョウカを頼んだ。」


 ドウジは早速建物の入り口に入ろうとするが、その前にキョウカが止めに入った。


「私も行きます。」


 そしてそう一言発した。


 ドウジは目を丸くしながらキョウカを見る。

 するとキョウカは真っ直ぐした目でドウジを見ていた。


「ドウジさん、あなたは怪我をしすぎです。 だから私も同行します。」


 キョウカはハッキリとそう言い放った。


 するとドウジは膝をついてなるべくキョウカに目線を合わせる。

 そして静かに話し出した。


「キョウカ、魔法陣の世界のときのことを忘れたのか?」

「うっ・・・。」


 ガイが正式に仲間になる前のこと。

 魔法陣の世界でキョウカは触手の攻撃を受けて気絶してしまった。

 少しの間だが、彼女はいわゆる「お荷物」になってしまっていた。


 当然キョウカは忘れるわけがない。



 痛いところを突かれてキョウカは シュン となってしまった。


 しかしドウジは意外な言葉をキョウカに送った。


「だけど、分かった。 一緒に来てくれ。」


 (うつむ)いていたキョウカが「え!?」と言いながらドウジの顔を見上げる。

 近くにいたガイも同じような反応を見せる。


「い、いいのですか・・・?」


 キョウカは予想外の答えが返ってきたので驚いている。

 するとドウジは表情を変えずに言う。


「キョウカは来たいのだろう?」


 そう一言述べた。

 するとキョウカは「え、えっと・・・。」と困った様子だった。


「め、迷惑ではないのですか・・・?」


 キョウカは恐る恐る聞く。

 魔法陣の頃のことを思い出して強く言えなくなっていた。


 しかしドウジは「ん?」と声を漏らした。


「俺は今までキョウカのことを迷惑に思ったことは一度もないぞ。」

「え?」


 ドウジの言葉を聞いたキョウカは目を丸くする。

 するとドウジはキョウカの肩に手を置く。


「さあ、早くギルダーたちのもとに行こう。」


 ドウジは優しい口調でそう言うと、一足先に入り口へ向かい始めた。

 しばらくキョウカは固まっていたが、やがて我に返りドウジの後を追い始めた。



「ドウジは意外とタラシの才能があるかもな。」


 一部始終を見ていたガイはそうコメントした。






 しかしドウジは入り口付近で足を止めた。

 それに気付きキョウカも足を止める。

 そしてその様子をガイは見ていた。


「ど、どうしましたか?」


 キョウカがドウジに聞くが、やがてドウジが立ち止まった理由を察した。

 なぜならキョウカの耳にも聞こえてきたからだ。

 バイクのエンジン音が。



 ドウジは後ろを振り向き、やってくる集団を見る。

 キョウカとガイも同様に向く。


 しかし予想していたことと少し違っていた。

 バイクに乗っているのは一人だけで、他のチンピラは徒歩でやってきた。


 しかも、唯一バイクに乗っている男はドウジとキョウカにとっては凄い見覚えがあった。


「見つけたぞ、筋肉野郎!!」


 その男は変な装飾品がついているヘルメットを被った、あのチンピラたちのリーダーだった。

 ただし乗っているバイクはあの時のモノとは違うようだ。


「この俺を忘れたと言わせねえぞ! あの時貴様と死闘を繰り広げた勇敢なる "アクセル・ギアマスター"様 だ!!」


 名乗りを上げたチンピラのリーダーはバイクの上で立ち上がりながら言う。

 ・・・しかしドウジたちの反応は薄かった。


「お前、そういう名前だったのか。」

「それと『死闘』と言ってましたが、ドウジさんに一撃で倒されていましたよ?」


 二人の冷静な反応に思わずイラついてしまうアクセル。

 しかしアクセルはバイクに(またが)ると、平常心を取り戻した。


「ならばこれから死闘を繰り広げてやるまでよ!」


 アクセルはそう言うと変なポーズを取り始めた。

 そして次々に変な腕の動作をし出す。

 最後に右腕を勢いよく振り上げながら大声で叫んだ。


「ビギンズパーティー!!」


 その叫びと共にアクセルの赤いバイクが変形し出した。

 パーツがバラバラになったかと思うと次から次へとアクセルの体にくっつき始める。

 そしてバイクのパーツで全身を(おお)い、最後は頭を覆った。


 その姿はまるでロボットのような外見をしていた。

 アクセルが身に纏っているので、どちらかといえば「パワードスーツ」の方が近いと思う。


「見よ、これこそマルクス殿の援助により手に入れたオレ様の新たな力! 名付けて『オメガクロニクル』!!」


 「オメガクロニクル」と呼ばれたパワードスーツを身に纏ったアクセルはボクシングの構えを取る。

 完全に戦う気満々だった。


 周りにいるチンピラたちも歓声を上げて応援していた。


「さあ、あの時のリベンジといこうか!!」


 アクセルはドウジを指名した。


 キョウカはやや心配そうな顔でドウジを見るが、ドウジも完全に戦う気でいた。

 身体中に包帯を巻いている状態で。


 ドウジは前に出てアクセルと向かい合った。


「今日がお前の命日となる記念日だ! 盛大に祝おう!!」


 アクセルは完全に舐めているようだ。

 ドウジは挑発には乗らず、冷静に相手を見ている。


「来ないか。 ならば!」


 ドウジから攻撃してこないことを理解し、先にアクセルが攻撃してきた。

 殴ると同時に手首あたりにあるマフラーから炎が吹き出して勢いの良いパンチが炸裂(さくれつ)した。

 ドウジは両腕でガードするが、力はかなり強かったため、やや後方に吹っ飛ばされる。


「よし、一気にたたみかける!!」


 アクセルはそう言うと背中にあるジェットパックのようなモノから炎が吹き出し、勢いよくドウジに向かって急接近した。

 しかしドウジはギリギリで避けたため助かった。


 だが、悲劇は起こった。

 勢いよく飛んでいったアクセルは急には止められず、ドウジの後方にあった建物の入り口の壁に勢いよく激突したのだ。

 壁にめり込むアクセル。

 その瞬間を見た全員の目が点になった。


 壁から剥がれ落ちたアクセルはクラクラしながら立ち上がる。

 再びドウジのもとへ行こうとするが、足元がフラついて真っ直ぐ前に進めなかった。



 そして次の瞬間、ドウジは凄い速さでアクセルに向かってタックルをした。

 アクセルはオメガクロニクルを着ているにも関わらず、後方へ吹っ飛んだ。

 そして再び壁に激突し、地面に落下するのだった。


 地面に大の字で倒れたアクセルは、オメガクロニクルを装備しているせいで表情は分からないが、完全に伸びてしまっているようだった。


 つまり、またしてもドウジの勝ちとなった。




 ドウジは一部始終を見ていたチンピラたちの方を見る。

 するとドウジを見てチンピラたちは全員徒歩で逃げていった。

 リーダーを見捨てて。


「面倒な奴らに目をつけられたんだね・・・。」


 一部始終を見ていたガイが同情する。

 それを聞いてキョウカも苦笑いをした。



 手下に見捨てられ、大の字で倒れているアクセルを眺める三人。


「結局のところ、強かったのですか?」


 キョウカがドウジに聞く。

 しばらくドウジは無言だったが、やがて口を開いた。


「分からない。 だが、コイツは明らかに『力』に主導権を奪われていた。」


 ドウジは真面目なトーンでそう答える。

 キョウカは言葉の意味を理解しようとするが、その前にドウジが説明し出した。


「もしもさっきの『力』が自分のモノであるのならば、壁にぶつかるなどの失態を犯したりはしない。」


 ドウジはアクセルが衝突したことでできた壁の(へこ)みを見た。

 どことなく「人型」の凹みができている。

 アクセルが衝突した証拠とも言える。


「コイツはこの『力』を扱うには未熟過ぎたというわけだ・・・。」


 ドウジはどこか辛そうに語る。

 キョウカもドウジの異変に気付き、顔色を(うかが)う。

 そして、キョウカは「あの時」のことを思い出した。


 「あの時」とは、あの「魔獣討伐」の時だ。

 ドウジは気を失ったことがあった。

 「魔獣」に対して"本気"を出した時だ。

 あの大技を使った後、ドウジは反動で気絶してしまった。


 おそらくドウジは目の前で倒れているアクセルを見て、自分と重ねているのだろう。

 同じ「未熟者」として・・・。



 複雑そうな表情をするドウジを眺めるキョウカ。

 すると彼女は言った。


「行きましょう、ドウジさん。」


 彼女はただ一言そう喋る。


 最初は(はげ)ましの言葉をかけるつもりでいた。

 しかし「それは逆にプレッシャーを与えてしまうのではないか?」と考えた彼女はあえてそうはしなかった。

 代わりに話題を変えるついでに、これからの目的を言うのだった。



 ドウジも「ああ。」と返事をする。

 そして倒れているアクセルを放置して、三人はギルダーたちが向かった場所を目指して走り出した。






 一方、ギルダーとフブキは二体の「敵」たちと戦っていた。


 剣闘士のような格好の長剣二刀流使い。

 野球のユニフォームを着て白衣を羽織った魔術師。


 今も彼らと戦っているのだった・・・。






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