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31.第4話「漆黒の巨人」(9/13)


 ザイルダイトが放った「ナニカ」が「巨人」の口の中に入り、大爆発を起こした。

 それを合図と(とら)えたイェルコインは、戦士たちに向かって「ゴー!!」と叫び、最後の戦いを開始させた。


 その叫びと共に一斉に飛び出した戦士たち。


 まずはドウジが驚異的な跳躍(ちょうやく)力で一気に距離を詰める。

 「巨人」の腹部に強烈なパンチを放った。


 続いてガイが兜、鎧、籠手などを飛ばしてぶつかってくる。

 そして三度(みたび)、巨人の片目に剣を突き刺した。


 怪鳥のような叫びを上げる「巨人」に、今度はゴブリン男が炎を(まと)った斬撃を飛ばす。

 三回、四回と「巨人」に放った後に、距離を詰めたことで直接「巨人」を剣で斬り裂く。


 空中から氷の翼を使って雪女も接近してきた。

 「巨人」の頭を氷の剣で斬り裂く。


 そしてシグもオノを使って力強い一撃を放つ。

 オノの刃が巨人の腹に深く突き刺さり、黒い液体が流れ出てくる。



 「巨人」が反撃をする隙を与えず、戦士たちの猛攻は続いた。


 ドウジは殴る。

 ガイはぶつかる。

 シグとゴブリン男と雪女は斬り裂く。


 一斉に攻撃の手を止めようとはしなかった。

 まさに「これで終わらせる」という覚悟で。



 すると地面に落ちていたザイルダイトも「ふう・・・。」という声を漏らす。

 そして目の前の「巨人」の腕を見たかと思うと、彼はその腕に飛び乗った。

 そして腕の上を()けて行き、「巨人」の頭目掛けて跳んだ。


 そして「巨人」の頭に勢いよく触れる。

 その触れる直前、ザイルダイトの腕が金色に光った。


 ザイルダイトが「巨人」の頭に触れた途端、「巨人」の頭は勢いよくザイルダイトとは本体の方向に向いた。

 まるで殴られたかのように。



 なにが起こったかは分からないが「さらなるチャンス」だと戦士たちは理解し、再び攻撃を始めた。


 すると、「巨人」の触手が次々と切断されていく。


 グレゴリアスが遠くから剣を銃に変えて撃ち、ボーグワンが魔法の光でできた刃を飛ばし、シャルガナが凄い速さで次々に斬り裂いていく。

 戦意喪失していた戦士たちも、微力ながら援護をしていた。



 さらに次の瞬間、「巨人」の片目が急に潰れて黒い液体をぶち撒けた。

 なんと、遠くから黒い骸骨が銃で撃ち抜いたのだ。


 それで終わらず、黒い骸骨が頭を狙って何度も引き金を引く。

 口に咥えた葉巻をふかせながら。



 キョウカは辺りを暗くさせないために光の玉を浮かばせることに集中し、イェルコインは念のためにそんなキョウカを見えない壁で守っている。



 まさに全員が「巨人」と戦っていた。




 すると「巨人」は、もはや隙とか関係なく反撃をしようと動き出す。

 ・・・だが、それすらもできなかった。


 今まで動いてなかった「魔獣」も参戦してきたのだ。


 「魔獣」は勢いよく「巨人」の胴体に突撃をする。

 そして体を回転させて牙をドリルのように突き刺していく。


 相変わらず強烈な攻撃だった。




 他の戦士たちは「魔獣」の参戦に驚きはしたが、攻撃の手は止めなかった。


 「魔獣」は牙をドリルのようにして「巨人」の腹に突き刺す。

 グレゴリアスは銃に変えた剣で触手を撃ち落とす。

 ボーグワンは光の刃を放つ魔法で触手を切り落とす。

 シャルガナは速い剣撃で次々に触手を斬り落とす。

 黒い骸骨は銃であらゆる箇所(かしょ)を撃ち抜く。

 雪女は氷の翼で宙を飛び、氷の剣で頭を斬り裂く。

 ゴブリン男は炎を纏った剣で腹部を斬り裂く。

 シグはオノを使って力強い一撃を腹部に打ち込み、腹に刃を食い込ませる。

 ガイは兜、鎧、脛当て、靴などを色々なところにぶつけ、剣を目に突き刺す。

 ザイルダイトは再び頭まで近付き、そして再び頭に触れて頭を反対方向に向かせる。

 ドウジは腹部を強く何度も殴り続ける。


 そしてそんな戦士たちをキョウカが光の玉で照らし、そんな彼女をイェルコインが見えない壁で守っている。



 もはや「巨人」に反撃できる隙はなかった。


 そして一斉に攻撃をくらわせ、最後はドウジと「魔獣」がほぼ同時に突撃した。

 すると「巨人」が今まで弱々しい叫び声を上げる。

 その瞬間、戦士たちは確信した。


 全員攻撃を止めて、「巨人」から距離を離した。



 「巨人」は前方に倒れそうになる。

 だが、下半身が埋まっているため地面には着かず空中で止まった。

 口から黒い液体を流れ出す。

 そしてその口は不自然に開きっぱなしだった。



 動かなくなった「巨人」はやがて、身体が崩れていく。

 まるで灰になるかのように・・・。


 身体全体が崩れるのには時間がかからなかった。




 洞穴の中にいるのは戦士たちと「魔獣」のみ。

 「巨人」の姿はどこにもなかった。


 辺りが静まる。

 聞こえるのは風の音だけ。


 ほぼ全員の戦士たちが目を丸くして、互いを見合う。

 そして自然と表情に笑みを浮かべる。


「よっしゃぁぁぁぁぁー!!!」

「やったぁぁぁぁぁー!!!」


 戦士たちは歓喜の声を上げる。


 ドウジは無表情だが腕を振り上げて雄叫びを上げる。

 ガイとシグは抱き合って喜び合う。

 氷の武装を溶かした雪女はゴブリン男に抱きつき、それを引き剥がそうとするゴブリン男。

 グレゴリアスとボーグワンはハイタッチを、シャルガナも離れたところからVサインを送る。

 ザイルダイトは笑いながら大きく拍手をしている。

 イェルコインは魔法を解いて笑顔でキョウカに抱きつき、キョウカは魔法に集中しながらもイェルコインの頭を撫でて微笑む。


 黒い骸骨は相変わらず葉巻をふかしている。

 すると彼だけは「ナニカ」に気付き、そちらを見ていた。






 ついに「巨人」を倒したことで興奮していた戦士たち。

 しかし、彼らの仕事はまだ終わっていない。


 しばらくして皆が落ち着きを取り戻したのを見て、シグが喋り出す。


「でさ、私たちの任務は『魔獣討伐』なんだけど・・・。」

「そうだった。 どうしようか・・・。」


 ガイは悩んでいた。

 「巨人」を共に倒した「魔獣」は戦友も同然。

 そんな彼を殺さなければならない。


「どうでもいい。 奴も片付ける。」

「ちょ、ちょっとぉ・・・。」


 冷血なゴブリン男にツッコむ雪女。



 すると、ある男が口を開いた。


「その心配はない。 奴は既に舞台を降りている。」


 黒い骸骨が葉巻を指に挟みながら答える。


 戦士たちが一斉に黒い骸骨の方を向く。

 すると「ある事」に気付く。

 先程まで洞穴の中にいた「魔獣」がどこにもいないのだ。


「あれ、どこに行った?」


 ガイが辺りを見渡す。

 しかしどこにも「魔獣」の姿は見えなかった。


「『舞台を降りた』と言っただろ。 役を終えた。 幕引きだ。」


 葉巻をふかしながら意味深なことを言う黒い骸骨。

 すると彼は洞穴の出口がある穴の方向へ歩き出した。


 戦士たちは互いに顔を見合わせると、彼について行くように出口へと向かう。




 洞穴の外に出る。


 空は赤い夕暮れ時である。

 大自然に吹く風が、激しい戦いを乗り越えた戦士たちにはとても気持ちよく感じた。

 たった数十分くらいのハズだったのに、久々に感じていた。


 外に出たことにより、キョウカも魔法を解いて自由になる。



 戦士たちがまず探したのは黒い骸骨の姿だった。

 既に外にいた彼は、変な方向を向いて立っていた。


 戦士たちは同じように彼が見ている方向を向いた。


 すると、その方向には「魔獣」がいた。

 「魔獣」は座り込んでおり、寝ているようだった。


「あんなところでなにを・・・?」


 シグが「魔獣」に近付こうと歩み始めようとする。

 しかし、そんな彼女の肩をドウジは掴んだ。

 それと同時に彼女の歩みは止まった。


「な、なに・・・?」


 シグは自分より背の高いドウジの顔を見上げるようにして見る。

 すると、どことなくドウジはシリアスな顔をしていた。


 シグは不思議に思ったが、周りにいる何人かは同じような顔をしていた。

 もちろんイェルコインや雪女など、シグのような反応をしている人もいた。


 だが、やがてシグも気付いた。

 皆がなぜ、そのような顔をしているのかを。


 そしてシグも、同じような表情で「魔獣」を見たのだった・・・。











 一人、こっそりとあの場を離れた者がいた。

 黒い骸骨だ。


 彼は下山するために木々の中を歩いていた。


「ふふっ、中々楽しそうだったわね。」


 そんな彼を見ていた者がいた。

 それは黒い服を着て、黒い上着を羽織り、赤と桃色のミニスカートを身につけた、可愛らしくも怪しい少女だった。

 口には棒付きキャンディをくわえており、棒が口から飛び出している。


「町で待ってろと言ったハズだぞ。」


 黒い骸骨はその少女に言う。

 どうやら知り合いのようだ。


「待ってたけど暇だったから"頭領"の様子を見にきちゃった。」


 少女は可愛らしくニコニコ笑いながら言う。

 「頭領」とは黒い骸骨のことのようだ。


 黒い骸骨は「はぁ・・・。」とため息を吐く。


「で、『奴』のことはどうするの?」


 少女は相変わらず軽い言い方をしながら静かに聞いた。


「・・・それはこの後だ。 ここからが本題だからな。」


 黒い骸骨は一切少女を見ていない。

 淡々と問いに答えている。


「お前はさっさと戻っていろ。」


 黒い骸骨はそれだけ言うと、再び歩み始めた。

 最後まで少女を見ずに去っていった。


「はいはい、了解しましたぁ〜。」


 少女はそう言うと上着を脱いで袖をお腹に巻いた。

 すると少女の背中には、小さな悪魔の翼が生えていた。

 少女は翼を()ばたかせて、上空へ飛び上がった。

 そして「デマスナ」の町へ向かって飛んでいった。



 黒い骸骨が下山をしていると、下の方から「ナニカ」の音が聞こえてきた。

 それはバイクのエンジン音だった。


 現れたのは黒い骸骨のバイクだった。


「お前も来たのか・・・。」


 黒い骸骨はバイクに話しかける。

 しかしバイクは特になにも言わない。


「まあ、ちょうどいい。 お前もついてこい。」


 黒い骸骨はそう言うとバイクに(またが)る。

 そしてバイクを使って下山し始めた。


 ガタガタの地面をものとはせず、素早く下りていった。






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