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24.第4話「漆黒の巨人」(2/13)


 女剣士の腕に、黒い「触手」が巻き付いた。

 驚いた女剣士は剣を床に落としてしまった。


 他四人も一斉に反応する。



 女剣士は触手に引っ張られそうになり、尻餅をついて体重をかけた。

 なんとか持ち(こた)えているが、持っていかれるのにそう時間は長くはないだろう。


 だがそこへ、グレゴリアスが彼女を助けようとすぐに近付いた。

 腰に下げていた剣を鞘から抜く。

 そして女剣士の腕に巻きついている黒い触手を斬り落とした。


 触手が切断された瞬間、女剣士は腕に残った触手を取り、その辺に捨てた。

 グレゴリアスは彼女を庇うように前に立つ。

 それに続くようにゴブリン男も前に出て、盾と炎を(まと)った剣を構えた。


 次の行動までそう長くはなかった。

 先程の襲撃がトリガーとなったかのように、暗闇の中から無数の触手が飛んできた。


 グレゴリアスとゴブリン男は次々に来る触手を切り落とす。

 尻餅をついていた女剣士も地面に落とした剣を取り、立ち上がる。

 そして向かってくる触手を次々に切り落とす。



「優しき光よ、我らを照らせ。」


 三人の後ろではボーグワンが光の玉を量産していた。

 大体10個近くほど。


 ボーグワンが一つずつ前方に飛ばす。


 グレゴリアスたちが戦っている場所に二つ。

 そのほかの玉はそれ以外の場所に移動させた。


 これによって洞窟の中は結構明るくなった。



 そして、この触手たちの本体である「ナニカ」の正体も見えてきた。

 ボーグワンが数個の光の玉を近付け、「それ」は薄暗い中で姿を見せた。


 その姿を一言で表すなら「黒い巨人」であろう。

 しかし、その巨人の顔はどこか「鳥」のように見える。

 まるで「鳥人間」のようだ。

 しかし翼はなく、その代わりにあるのは背中から生えた無数の触手だった。


 また、上半身より下が埋まっており、結晶のようなモノで固められている。

 腕も固められており、動かせられるのは頭と触手だけのようだ。



 ボーグワンと雪女は一足先に「巨人」の姿を見てしまった。

 その姿は想像していた「魔獣」とは違い、二人は若干恐怖を抱いていた。

 そしてその「巨人」の姿を、触手と戦っている三人も見てしまった。


 三人共、「巨人」の迫力を前に思わず戦う手を止めてしまった。

 それによって三人は触手に捕まってしまった。


「うおっ!?」

「は、放せ!」


 グレゴリアスと女剣士は地面に倒れて暴れ回っている。

 だがゴブリン男は触手に捕まった瞬間、手で炎が消えた剣を回して逆手持ちにし、右腕の触手を斬った。

 そして自由になった腕でもう片方の腕に巻きついている触手を斬り落とした。


 そしてゴブリン男は再び剣に炎を纏わせ、「巨人」に立ち向かおうと走り出した。

 次々と触手がゴブリン男を襲うが、ゴブリン男は軽やかに避けて次々に斬り落とす。


 一方、グレゴリアスと女剣士は自身の腕や脚に巻き付いた触手を外そうと苦戦していた。

 しかし身動きがとれず、全く動けそうになかった。



 すると、今まで後ろで待機していた雪女がついに前に出てきた。


「こ、これはアタシもナニカしないといけないな〜・・・。」


 そう言うと雪女は、今までブラブラさせていた腕より長い袖をまくった。

 すると、中から白く綺麗な腕が出てきた。


 しかし次の瞬間、手から氷でできた片手剣が生まれてきた。

 それを雪女は握る。

 そして次は体全体を氷でできた鎧が身を包み、頭には氷でできた兜が現れた。

 その雪女の姿はまさに「氷の騎士」と呼ぶに相応(ふさわ)しかった。


「そ、その姿・・・。」

「できれば戦いたくはなかったんだけどなぁ〜・・・。」


 雪女はそう言いながらも、触手に囚われている二人を助けようと走り出した。

 すると、走っている最中に氷の鎧の背中から"氷の翼"が生えてきた。

 そしてその翼を使って勢いよく飛んで行った。


 まずは女剣士を捕まえている触手を次々に斬り落とし始めた。

 当然雪女を捕まえようと触手が次々に来る。

 だが雪女は次々に触手を避けながら飛ぶ。

 そして女剣士を捕まえている触手を斬る。

 女剣士が動けるようになるのは時間の問題だった。


「よし!」


 女剣士が自由になったと同時に雪女はグレゴリアスを捕まえている触手を斬ろうとする。

 しかし触手が次々に飛んできて雪女を捕まえようとする。

 雪女は避けることに集中し、向かってきている触手を隙を見て斬り落としている。


「くそう!」


 グレゴリアスはなんとか自分で脱出しようとするが、手足が縛られているため動けずにいた。

 雪女も自分のことで精一杯になっており、助けに来れそうになかった。



 すると、グレゴリアスのもとに女剣士が近付いてきて、グレゴリアスの触手を斬り落とし始めた。

 まずは右脚に巻きついていた触手を斬り落とした。

 次は右腕の触手を斬り落とす。

 そして次は左腕の触手を斬り落とそうとする。

 しかしそこに数本の触手が接近し、女剣士を捕まえようと接近してきた。


 グレゴリアスはそれに気付いたが、女剣士本人は気付いていなかった。

 するとグレゴリアスは女剣士を抱き寄せた。

 仰向けになっているグレゴリアスの上に女剣士がうつ伏せになっている状態だ。


「ちょ、なにを・・・!?」


 いきなりのことに驚き、普段より高い声で叫ぶ女剣士。

 だがグレゴリアスは「少しうるさくなるぞ!」と女剣士に言い放った。


 次の瞬間、グレゴリアスが右手に持っていた自身の剣を少しだけ振った。

 すると剣の刃がまるでアウトドア用のナイフのように折り(たた)まれた。

 その途中、持っている位置を剣の握り(グリップ)から(ガード)の方をへ持ち替える。

 そしてそのすぐ横にあった「ナニカ」を人差し指で触り、思いっきり引いた。


 その時だった。

 女剣士を捕えようとした触手が「ナニカ」に当たり、弾け飛んだ。


 実はグレゴリアスの剣は「銃」としても使える可変式の剣だったのだ。


 グレゴリアスは迫ってくる触手たちを次々に撃ち落とす。

 すると、その光景を伏せながら見ていた女剣士は自分の仕事を思い出して、伏せたままグレゴリアスの左腕に巻きついている触手を斬り落とそうとする。

 グレゴリアスはそんな女剣士を守るために触手を次々に撃ちまくる。

 伏せた状態なので苦戦はしたが、やがて左腕に巻きついた触手を斬り落とすことに成功した。



 そして次は左脚に巻きついている触手を斬り落とそうとする。

 しかしグレゴリアスの銃撃も段々と間に合わなくなってきて、さらにどんどん引っ張られている。

 ジワジワと触手が接近してきていた。


 女剣士はなんとか斬り落とそうとするが、グレゴリアスが引っ張られていかないように体重をかけることもしなければならないためあまり力が入らない。

 このままだと女剣士も触手の餌食となってしまう。

 やがて触手がすぐ目の前まで迫ってきていた。


 だが次の瞬間、グレゴリアスと女剣士の前に光の壁のようなモノが現れた。

 触手たちは次々に壁にぶつかっていく。

 グレゴリアスと女剣士はなにが起こったのか全く理解できていなかった。

 しかし女剣士はチャンスだと思い、グレゴリアスの左脚に巻きついていた触手を一気に斬り落とした。

 そしてついにグレゴリアスは自由になった。




 グレゴリアスと女剣士は一度距離を離すために先程の場所へと戻った。

 現在ボーグワンだけがいる場所だ。


 すると、ボーグワンが凄い顔つきで二人を見ていた。

 よく見ると、毛がない頭から少しだけ血が流れていた。


「お、おい・・・!」


 グレゴリアスと女剣士が駆け寄ると、ボーグワンは少しだけ表情が戻った。


「やっとか・・・。」


 ボーグワンのその一言で、グレゴリアスと女剣士は察した。

 先程の光の壁はボーグワンの魔法だったのだ。

 そして頭から血を流していたのは、無理をして魔法を唱えていたからだ。


 多数の光の玉で辺りを照らし、そしてグレゴリアスたちを守るために光の壁を作り出した。

 あまりの多重魔法に体力をごっそり減らしてしまっているのだろう。

 今現在も辺りを照らし続けているのだし。



 二人が助かったことを確認した雪女は、追ってくる触手を斬り落としながら三人の元へ降りてきた。


「一度洞窟の外へ撤退しよう!」


 グレゴリアスは雪女に言う。

 ボーグワンと女剣士はその言葉に賛成したのか、なにも言おうとはしなかった。


 雪女もその言葉に了承する。

 そして彼女は、こうしている間も「巨人」に立ち向かい続けているゴブリン男の元へ行こうとしていた。



 ゴブリン男は他の四人が危険な目に遭っている中、一人だけで触手を次々に斬り落とし続けていた。

 そして「巨人」の近くへとやってきていた。

 触手を回避しながら「巨人」の腹部を狙おうとするが、流石に本体付近のガードは強く、次々に触手がやってくる。

 ゴブリン男は触手を回避し続け、可能なら斬り落とし、捕まったらすぐに脱出していた。


 先程触手に苦戦していた二人とは、明らかにレベルが違っていた。



 雪女は触手を避けたり、斬り落としたりしながらゴブリン男の元へ飛んでいく。

 しかしゴブリン男がいる場所はまさに「戦場」と呼ぶに相応しい場所で、簡単には近付けない。

 雪女は必死に触手から避けるが、さすがに辛そうだった。


「きゃあ!?」


 そして雪女はついに触手に捕まってしまったのだった。



 雪女がいる場所は「巨人」から少し近めの場所。

 つまり触手がすぐに向かってくるのだ。


 あっという間に両手両足を縛られてしまい、身動きが取れなくなってしまった。



 グレゴリアスたちは助けるために立ち向かおうとするが、他の触手に(はば)まれて向かうことができない。


 雪女はそのまま「巨人」の真上に持っていかれた。

 そして「巨人」は真上を向いてクチバシらしき口を大きく開いた。

 どうやら雪女を食べようとしているらしい。


 雪女が身につけている氷の鎧の背中についている翼が触手によって両方折られてしまった。

 これで雪女は飛べることができなくなってしまった。


 恐怖のあまり雪女の手から氷の剣が落ちる。

 そしてその剣は「巨人」の口の中に落ちていった。


 次は雪女自身の番なのだろう。


 グレゴリアスたちは必死に向かおうとするが、やはり多数の触手が邪魔をして向かうことができない。



 やがて雪女を縛っていた触手が彼女を放した。

 雪女は「巨人」の口の中へと落下しようとしていた・・・。






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