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20.第3話「異種族の戦士たち」(9/11)


「決まっている。 魔獣のところに行くんだよ。」


 包帯男はそう一言述べた。


「場所が分かるのか?」


 すぐにドウジが確認する。

 すると包帯男はサムズアップをして答えた。


「一体どうやって・・・。」


 ドウジが質問をすると、包帯男は空を眺めながら話し始めた。


「この山の下の方にある木々が、上の方の木々に比べて少なく感じた場所があった。 おそらくあの辺りに魔獣がいる可能性が高い。」


 話し終えると今度はドウジの方を向いた。


「それから、町の人の話によると「イノシシのような姿」をしているらしいんで、空気が少ない山頂近くには住んでいないだろう。」


 包帯男は人差し指をくるくると回しながら話し続け、ドウジに説明した。

 ドウジは包帯男の話を黙って聞き、話が終わると「なるほど。」と納得した。


 少しだけドウジは考え込み、そして包帯男に聞く。


「どうしてそんなことが分かるんだ?」

「んーと・・・、「経験」かな。」


 包帯男は軽い感じに答えた。

 一見すれば「テキトー」に見えそうだが、ドウジには彼が本気で言っていることがなんとなく伝わっていた。

 むしろ逆に軽く言っているからこそ「本音」なのだろうと。


 ドウジは先ほどの答えに疑問を持たず、心から納得する。

 そしてなにも言わずに彼の後をついて行った。






 数十歩ほど山を下ると、包帯男は歩みを止める。


「おっと、ここだ。」


 包帯男はその場で一回転をし、ドウジの方を向いて止まった。

 そこは平地になっており、周りを見ると確かに木々の数が少なかった。

 さらによく見ると、奥の方に折れている木がある。

 まるで「ナニカ」がぶつかったような感じで。



 包帯男は折れている木に近づいた。

 そして木の前でしゃがむと、折れている木を眺め始めた。


「おそらく、これが「ヤツ」がいた証拠となるだろう。」


 包帯男は折れた木を ポンポン と叩く。

 そして立ち上がると周りを見渡した。


 しかし周りにはなにもなく、ただ静かに風が吹くだけだった。


 この状況を普通の人が見たら「読みが外れた」ように思えるだろう。

 しかしドウジと包帯男は違う考えを浮かべていた。


「ハッ、さーてお目当ての御方がやってきたぞ!」


 包帯男が軽い口調でそう言ったすぐ後に、木々の向こうから段々と激しい「音」が近付いてきた。

 ドウジは既に戦闘態勢をとっていた。



 やがて「音」はとても大きくなり、そしてついに「音」の正体がドウジたちの前に現れた。

 明かしたその姿は包帯男の言葉通り"イノシシ"に似ており、まさしく「魔獣」と呼ぶに相応しい姿。

 約3メートルはあるドウジの身長を超す大きさで、その巨体を宙に浮かばしていた。

 つまり、ドウジたちに飛びかかってきているのだ。

 鼻の横に付いた鋭い牙で突き刺すために・・・。


 ドウジは攻撃を予測していたため素早く回避行動に移っていた。

 魔獣が宙に浮かんでいることを利用し、魔獣の下を通るように前方へ回避した。


 包帯男は「おっとっと。」というセリフを吐きながら横に跳んで、魔獣の突撃を回避した。

 ちなみに着地の際に側転をしていた。


「さてと・・・。 んじゃ、あんたの仲間のところまで運ぶのを、俺も手伝うとしよう。」

「助かる。」


 男二人は短い会話を終わらすと、背後にいる魔獣の方を向いた。






 一方、キョウカたちはドウジを信じて、勝手な行動などはとらずに大人しく待っていた。

 キョウカはウエストポーチに複数入れていた飴玉を舐めていた。

 ちなみにイェルコインとシグも貰っていた。


「キョウカの鞄の中にはなにが入ってるんだ?」


 ふと、シグが聞いてきた。

 するとキョウカは一瞬キョトンとした顔を見せていたが、すぐに微笑みを見せた。


「色々ありますよ。 旅はなにが起きるか分かりませんから。」


 キョウカはテキトーに色々なモノを取り出して見せた。

 「財布」「薬」「包帯」「裁縫道具」「菓子」など様々。


「キョウカは昔からしっかりしてるからね。 アタシも色々助けられたし。」


 イェルコインは昔のことを思い出しながら語る。

 キョウカから貰った飴を舐めながら。



 すると、地面に座っていたイェルコインが急に立ち上がった。

 そして変な方向を向く。


「どうしたの?」


 イェルコインの様子がおかしいことにキョウカが気づいた。

 しかしイェルコインは「シー!」と言いながら人差し指を口の前で立てる。

 そして被っていたフードを取って、犬の耳をあらわにする。


 イェルコインは犬の耳をピクピクさせていた。

 本人はどういう心境なのか分からないが、ピクピク動く犬の耳はとても可愛らしく、ガイとシグは思わず見惚れてしまっていた。


 しかしそんなほんわかした空気は続かなかった。


 イェルコインは素早く地面に置いていた杖を持った。

 するとキョウカも「ナニカ」を察して置いていた自分の杖を持つ。


「ついに来たようです。」


 キョウカが一言そう述べる。

 ガイとシグは数秒だけ言葉の意味を考え、理解した。


 四人は中央付近に集まり、互いに背中を守るように集まった。



 しばらくしてイェルコイン以外にも聞こえるほど「音」が大きくなってきた。

 どうやら近づいて来ているようだ。


「こっち!」


 イェルコインが「音」が聞こえる方向を杖で指した。

 他三人がイェルコインの杖が指す先を見る。

 そこには普通の木々しかないが、それも今だけだろう。



 「音」が大きくなり、少しずつ近づいてくる感じが伝わってくる。

 キョウカたち四人は余所見(よそみ)をせずに、ただ「音」の方向を見続ける。


 すると次の瞬間、木々の間から「ナニカ」が飛び込んできた。

 キョウカたちは「魔獣」が飛び込んできたと思い、一斉に「ナニカ」に狙いを定めて攻撃しようとした。


「・・・! 待ってください!!」


 しかしキョウカが叫んだ。

 その叫びを聞いて全員が攻撃をやめた。



 キョウカが止めた理由はとてつもなく簡単。

 それは、木々の間から飛び出してきたのは「魔獣」ではなかったからだ。


「ドウジさん・・・!」


 木々の間から飛び出して来たのはドウジだった。

 先ほど皆といた時と違って、全身がボロボロになっていた。


「その怪我・・・。」


 キョウカがドウジの身を心配しようとする。

 しかしその前にドウジが言葉を発する。


「計画してた誘い方ではないが、連れてきたぞ。」


 地面に片膝をついていたドウジはそう言った後に立ち上がる。

 そして背中を伸ばして「音」がする方向に構えた。


 次の瞬間、「魔獣」が木々を破壊して登場した。


「うひゃあ!?」


 イェルコインは思わず変な声を上げた。


 「魔獣」は一瞬ドウジから視線を外してキョウカたちの存在を確認する。

 しばらくキョウカたちを眺めると、再びドウジの方を見る。



 「魔獣」は鼻息を荒くして、今にもドウジに突撃しようとしていた。

 ドウジも逃げようとはせず、正面から相手をする気だ。


「アレが魔獣・・・。」


 シグが思わず声を漏らす。

 今初めて「魔獣」の姿を見たからだ。



 ドウジと「魔獣」はほぼ同じタイミングで突撃し合う。


 「魔獣」の眉間をぶん殴るドウジ。

 そしてそれを衝撃で弾き返そうとする「魔獣」。

 数秒の間の後、力負けしたのはまさかのドウジだった。


 ドウジは勢いよく吹っ飛ばされ、木々の間を飛んでいった。

 そしてやや遠くで凄い音が響く。


「ドウジさん!!」


 キョウカはドウジの心配をするが、「魔獣」は待ってくれない。

 ターゲットを今度はキョウカに変えた。


「まずい、来るぞ!」


 シグが手にしている斧を回しながら言い放つ。

 「魔獣」はキョウカたちに突撃しようとしているのか、体を ブルンブルン と揺らしている。



 すると木々の間からドウジが飛んで戻って来た。

 「魔獣」の側面を思いっきりぶん殴り、その衝撃で「魔獣」は少しだけだが吹っ飛ばされ、地面に倒れる。


 ドウジは着地をするとすぐに次の攻撃に移った。


 地面に倒れている「魔獣」にもう一発パンチを放とうとしている。

 しかし「魔獣」は体を回転させるようにして飛び起き、ドウジを牙を使って逆に吹っ飛ばす。

 まるでバットのように。


 ドウジは受け身をとってすぐに立ち上がる。



 すると今まで横で眺めていた仲間たちもついに戦いの参加した。

 前衛のガイとシグが横から「魔獣」に立ち向かう。

 ガイは剣で、シグは斧で「魔獣」を斬ろうとする。


 「魔獣」を斬ることはできた。

 しかし正確には切り傷ができた程度だった。

 どうやら「魔獣」の皮膚はかなり硬いらしい。


 「魔獣」も二人に反撃するために体を90度くらい回転させた。

 そして牙で薙ぎ払った。

 ガイとシグは二人同時に吹っ飛ばされた。


「白き轟く雷光よ、愚なるモノたちに不幸を!」


 後ろではキョウカが詠唱(えいしょう)をしていた。

 キョウカの目の前には魔法陣が現れている。


「ライトニング!!」


 キョウカの叫びと共に魔法陣から青白い電撃が発射された。

 電撃の到達点は当然「魔獣」。

 「魔獣」に電撃が直撃した。


 電撃をくらった「魔獣」はその場で動けなくなった。

 どうやら効いたらしい。


 それを見たキョウカがもう一撃放とうとする。

 しかし「魔獣」は動けるようになった瞬間、すぐにキョウカの方へ突進した。

 幸いイェルコインがキョウカを透明な壁で守っていたため、「魔獣」が壁にぶつかっただけで済んだ。

 しかし・・・。


「ぐっ・・・、うぅ・・・。」


 イェルコインは辛そうだった。

 歯を強く食いしばって、杖を持つ手が震えていた。


「こいつ・・・、強い・・・!」


 イェルコインは苦しそうな表情を見せる。

 それを見たキョウカはイェルコインに負担をさせないように別の場所へ移動するために走り出した。

 当然「魔獣」はキョウカを追うために方向を変える。


 すると、それが「(すき)」となった。

 後ろからドウジが飛んできて、「魔獣」に力強いパンチを食らわす。

 「魔獣」は殴られた衝撃で少しだけだが吹っ飛んだ。

 不意をつかれたため、ダメージを軽減できなかったのだろう。



 ドウジは若干疲労を感じていたが、そんなことは気にせず体勢を整える。

 そして先ほど吹っ飛ばされたガイとシグも武器を構えて「魔獣」を警戒する。






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