7.いまさらなんだよね
帰りは変わらずいつも通りに車でたくさん話しながら送ってもらった。アイドルの話と友達の話など。
『俺ら付き合ったって言ったらあいつら驚くかな?』
「正直驚いてほしいけど、そんなに驚かないと思う」
『だよな笑。言わないでおいてみるか!』
「試してみよう!絶対付き合ってるの気づかないと思うけどね」
本当に気づかれないと思う。今、付き合ったことになるけど、変わらない。2人でライブに行ったりしていたから、その頃から私にとっては特別な人ではあった。特別という言葉の意味が変わっただけだ。付き合ったことがないからよくわからないのかな。
何日か後、高校の友達と予定があって出かけることになった。高校の友達と遊ぶのは放課後だった。恋愛系の話の時は私は彼氏はいたことないし、男子ともあまり関わらなという話がほとんどだった。実際に高校では男子とほとんど話していない。中学の友達と夜に集まっていたことは話していない。今回も昼の時間帯だ。
「わーみんな久しぶり!!」
〈久しぶり!もう話したい事ありまくりだよ!
〈そうなの、私もだよ!とりあえずカフェ行って話そうよ!
最初は大体とりあえずカフェに行って話す。みんな久しぶりで話が進む、話疲れてしまうほどだ。少し恋愛的な話になったけど、緊張して彼氏がいることは話せていない。
カフェでの話が完了して、買い物をしていた時。こちらの方に手を振っている男子がいた。このメンバーにはよく男子と話す子がいて、そういう男子はその子の友達であることが多い。そう思い無視するようにしていた。
〈おい!あいり!無視すんなよ!
〈ねぇねぇ、あいり!呼ばれてるよ!あいりの友達なんじゃないの?
友達に言われて気づいた。サッカー部のみんなだ。昼間に会うとは、驚きだ。手を振っていたので、私も手を振った。さすがにこのタイミングで手を振る以上はできない。
〈今の人たちは?
「地元の友達だよ。たまにみんなで集まる時にいる人達」
〈普通に面白い感じでかっこいい人達じゃん!うらやましいな!
「みんないい人たちだよ!」
〈いいなー、エンジョイしてるね!
「いや、いや、みんなと比べたら全然でしょうが!」
みんなのエンジョイな話を聞いていた時、連絡がきた。しょうくんからだ。
|『お前いつごろ帰る?もしだったら車で送るよ』
|「時間わかんないから気にしないで」
|『もしかしたらまだ俺いるかもだし、帰る時連絡して!』
|「分かった」
みんなとは話すと長くなり時間が過ぎるのがはやい。おそらく帰る時間が同じになることはないだろう。私含め友達みんなバスに乗るからバス停が最後になる。それぞれの時間が違うためだんだん人数が減っていく。大体私は、田舎に住んでいるということで、バスが来るのは最後のほうになる。一応帰るという連絡をした。
みんなが帰った後に来てくれた。せっかくだし2人でカフェに行くという話になった。付き合ってから2人で出かけるのは初めてだけど、いつもと変わらず話した。
『ていうかさ、おれ、いまだにバレないんだけど』
「私もだよ。そりゃあ、一緒にいるの見られたりしてないもんね」
「そんなことより!さっき突然呼ばれて驚いたよ!」
『ごめんな。れんがお前見つけてさ、突然叫んだんだよ。』
『きちんとみんなでその後、れんに指導したよ』
「ご指導ありがとうございますね」
『あいつがあんなに叫んで、普通に俺ら側も恥ずかしかったよ』
「周りの人もちょっと見てたもんね、そりゃあ恥ずかしいね」
「でも、一緒にいた高校の友達みんなのことかっこいいって言ってたよ」
『まじか!確かにあいつらかっこいいようには見えるよな。見た目はな』
「あっ!その言い方!確かに性格的なとこはやばいね笑」
ホントに変わらない。2人でいると話が進む。ライブに関する時がある意味2人にとっての特別な時間なのかもしれない。お互いが本性を現しているような。もちろん普通の状態も楽しいけどね。というかあの人たちにはいつバレるのだろう。
来週またみんなで集まる予定で、その時に話そうかと2人でドッキリのようにしようかという話になった。作戦会議。
まったくバレずに日は過ぎていき、明日はみんなと集まる日だ。私は毎日寝る前に小説やマンガを読むのが習慣だ。まだ読んでいる途中の探偵系の小説を読んでいた。すると、横にあったスマホの通知音が鳴り、画面が光った。通知を開くと
|『今、男子で公園にいるんだけどさ、そろそろ帰るから、2人で話さない?俺ら夜行性だし笑』
確かに夜は話が盛り上がる。2人で話せるのはカップルらしいことだと思った。普通に友達の男子とも話すんだろうけど。
|「うん!今から行くね!」
|『いや、いつも通りに俺が迎えに行くよ!』
何度送り迎えをしてもらったことか、今日もお礼はいつものコーヒーにしようか。追加でお菓子も。いつも通りの道を通って、いつも通りの場所に寄ってから行く。
はじめて公園で2人で話す。
2人で話すことは、ライブの時、飲み物を買いに行く時などたくさんあった。けど、なぜかいまさらドキドキしてしまう。話に行くという。話すことが主題になるのは緊張してしまう。