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タロット!  作者: 彼岸花
8/8

7、恋人たち

「殺せ!あの女!探し出して今すぐ殺せ!」

「魔女め!優しくしてやったらつけあがりやがって!」

「神の供物を台無しにした‼︎」

「あいつもろとも殺してしまえ!」

いやだ

いやだ。

私はあの人と一緒に生きていきたいだけなの。

あの人は供物じゃない!人間よ!あなたたちの好きにはさせない‼︎

「行こう。逃げよう。ここにいるとあなたはダメになる」

あの人の手を取り、魔女は走った。

こわい。これから、どうなるの?

あの人の気持ちも聞いていない。

これは、私のエゴかもしれない。

「……ハッ」

起きたら汗だくだった。

何か夢を見ていたようだが、すごく怖かった記憶はある。

「あにき、大丈夫……?」

アントンがカップに温めたミルクを注いで持ってきてくれた。

カップに口を近づけ、ふぅふぅと息を吹いて冷ましながら一口ズズ……と音を立てて口に含んだ後熱さで顔をしかめる。

「なんか、あにきって感じじゃないからさ,名前、決めようよ」

「名前?」

「あー、ほら、出会った当初から名前知らなかったからさ、とりあえずあにきって呼んでたけど、なんかちがうじゃんか、その。」

「うん……」

「あにき、名前、思い出せる?」

「ソエル」

「ソエル、ソエルね。わかった。今度からそう呼ぶ」

アントンはキッチンからりんごを持ってきて、包丁で二つに切り二人で分け合って食べた。

甘くて、蜜が滴り落ちる。それをアントンはズズっと吸った。

「ふふ」

なんだかいけないことをしている気持ちになる。

「落ち着いた?」

「じゃあ、また寝ようね。ここにはソエルをいじめる奴は誰もいないよ」

ソエルはミルクをゆっくり味わって飲み、それが終わると体をを猫のように丸め、床につく。

やがて、スゥスゥと寝息を立て始めた。

「全部、わかってたよ」


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