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タロット!  作者: 彼岸花
3/8

1魔術師

「ああ、よく寝た」

「死神の兄貴、もう昼ですぜ。どんだけ寝るんだよ〜」

ベッドから起き上がると、死神は背伸びをして大きく口を開けた。

どこからか、陽気な音楽が流れてきた。

「あ、兄貴、おれ、行かなきゃ!秘密道具ショップさんが近くまで来てる!」

「おい、待てよ、起きたばっかりだぞ!メシは?」

「おれにはメシよりこっちのが大事!」

はーっと死神はため息をつき、アントンの後ろに続く。

陽気で軽快な音楽に釣られて、どこからやってきたのか人が集まっている。

薔薇と百合のアーチのある広場の真ん中に、白い服を着てオレンジの上着を着た男が居た。

「さあさあ、今日も不思議な品物を揃えてますよー!お買い得品をたくさん揃えております!お気に召したものはお手に取ってお確かめください!」

男は、白い杖を掲げる。それは、腕くらいの長さで、体を支えるには短すぎるシロモノ。何に使うのだろうか?

「まずは、このワンドにご注目ください!これは、一振りすれば、炎が出ます!ではやってみましょう!それっ!」

男は、ワンドと呼ばれた杖を一振りすると、杖の先から、小指の先っぽ程度の炎が出た。

「すごいでしょう?これさえあれば、真っ暗な夜道を歩く時もピクシーに騙されることなく安全にお家に帰れますよ!魔物は聖なる炎を嫌うので悪魔よけにもうってつけ!いかがですかー?」

「買う〜!」

アントンは真っ先に手を挙げようとするが、死神が止めた。

「お前っ!家ないだろ?意味ないよ!」

「でも何かで使うかもだしー……」

「向こう見ずな行動はよせ!」

「続きまして〜こちらの、ソードです!」

これまた小ぶりな短剣を掲げる。細かな細工が施され、十字架のような形状で中央に青い宝石がはめられている。

「これは、自由に天候が変えられます。まずやってみましょう!えいっ風よー吹けー!」

男が短剣を一振りすると、ゴオオーッと風が辺りを包む。

おーっとオーディエンスが湧く。

「これ、欲しい!天候を操るなんてかっちょいい!!魔法みたいだ!」

「待てよ。お前それ、本当に必要か?」

死神は冷静にアントンに聞く。

「えー?うー。そーだなぁ……いらんな」

男はコインを見せる

「これは、旅人の護符といって、これからの旅を無事に終えられるように、エンプレスの祈りが込められておりまーす!」

「まじか!買い……」

「待てよ。こういうのは、本当に込められているかなんて誰にもわからないんだぜ」

「それもそうだな」

男は最後にカップを高く掲げる。

「ではでは、こちらのカップをご覧ください!これ、無限に水が出るんですよー。砂漠に行く時に重宝します」

男がカップを逆さにすると、勢いよく水が流れていく。

死神は

「あ。これはちょっと欲しいかも。水はいくらでもあったらいいからな」

「それは買うんだ……」

最後にカップを買い、死神とアントンはカバンのテントに戻った。

「うん。いい買い物をしたな」

「なんだかんだ言って楽しんでんじゃんか、死神の兄貴」

「さて、風呂に入ったら出発するぞ」

「まあ、兄貴が行くなら面白そうだからついていくけどね〜HAHAHA」


その頃。

「テンペランスさん、無事終わりました」

秘密道具ショップの男はテンペランスと呼ばれた男の元にいた。

「そうん?オツカレさまん。アタシの商品なかなかいいものを作ったでしょ〜ん?ああ〜ん。仕事楽しいわ〜ん!じゃあ、引き続き、お願いねん」

テンペランスはほおを手に当てクネクネと身を左右に揺らす。

この男、体は男だが、中身はオネェさんである。

「はい。よろしくお願いします」

「もうん。他人行儀なんだからん。もっとフランクにして欲しいわん」

「では、お疲れ様でした。失礼します」

「つれないわね〜ん。今度、デートいきましょうね」

と言って、男に投げキスをする。

「はあ……」

疲れる……!



魔術師:準備は整っている。始まりのカード。物事の始まり。

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