ようやくギルドカード作成
「はい、ギルドカードの作成ですね。初回発行は無料になります」
ギルド登録。ここまで来るのにずいぶん時間がかかった気がする。
「それでは用紙を持ってまいりますので、少々お待ち下さい」
これで僕は冒険者になれる。そう思うとなんだかわくわくしてきた。
ギルドカードはやっぱり薄い金属板なんだろうか。
「はい、こちらの用紙に書かれた情報をもとにギルドカードを作成します。ギルドカードは身分証明なので、書き間違いが無いように注意してくださいね」
職員のお兄さんが紙と羽根ペンとインクを持ってきた。
用紙には、名前や出身など、いわゆる個人情報を書く欄が十数個ほど。
「赤い枠で囲まれた欄は必記事項です。最低でもこれだけ書いてあればギルドカードを発行できます」
赤い枠で囲まれているのは「名前・名字」「年齢」「性別」の三つ。
この世界では名前の後に名字がつく感じらしい。僕は「カイト タカハタ」かな。
羽根ペンにインクをつけ、「カイト」まで書いたところで手が止まる。
カイト タカハタ。なんか言いづらいな。
ここは異世界だ。少しぐらいカッコつけても良いだろう。
僕はもう一度羽根ペンにインクをつけて、「カイト」の後ろに「トールフラッグ」と付け足した。
年齢と性別も記入して、職員のお兄さんに渡す。
「カイト・トールフラッグ様、年齢は17歳、男性。これでよろしいでしょうか?」
カイト・トールフラッグ。直訳して高旗 界人。
自分でもダサいと思うけど、他に良いのも思いつかない。
「はい、お願いします」
「それでは、少々お待ちください」
職員のお兄さんは、用紙を持って奥の部屋に入っていった。
僕はとりあえず壁際に置かれていた椅子にこしかける。
そしてギルドの中を見回すと、壁に掲示板があるのを見つけた。
待っている間特にすることもないので、掲示板を見に行く。
『森のスライム駆除』
『薬草採取』
『迷子の猫探し』
クエストボードだった。多分、ここに貼られている依頼から選んで『クエスト受注』の窓口で申請すれば依頼を受けられるのだろう。
しばらくして、職員のお兄さんがカードを持って出てきた。
「こちらがカイト様のギルドカードになります。失くしてしまうと、再発行の際に手数料として250ゴールドかかりますので、大切にお持ち下さい」
「はい、わかりました」
ギルドカードは厚紙でできており、僕の名前と年齢と性別が手書きで書かれてあった。なんか思ってたのと違うけど、これはこれでいいだろう。
「もしよろしければ、ギルドカードを入れるカードスリーブも販売しておりますが、いかがですか?」
「ぁー、今は遠慮しておきます」
カードスリーブは欲しいが、お金が無いので買えない。残念だ。
「それでは、これで登録は完了です。クエストを受ける場合は、あちらの掲示板から依頼を選んで、隣の窓口で手続きをおこなって下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
職員のお兄さんは親切な人だった。お礼を言っておく。
ギルド登録も終わり、今日から僕は冒険者だ。
これでようやく異世界転生らしくなってきた。頑張っていこう。