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突破口


「じゅわあああぁぁぁあああ!」


 スライムが水に触れて溶ける音が響く。


 よく考えたら、このスライムは半分ほど溶けても瞬時に再生できる。恐らく今も溶かされた分と同じくらい再生しているだろう。

 持久戦は不可能。この水のドームの中から何らかの方法で攻撃を仕掛けなければ、僕は生き残ることはできない。


 使えそうな武器はただ一つ。ゴブリンから手に入れた短剣。



 ……水の流れを利用して、弾丸みたいに核に向かってこの短剣を飛ばしたり出来ないだろうか。

 頑張れば無理ではないはず。やってみる価値はある!


 まずはベルトに挟んだ短剣を抜き、巻いてある布を外す。


「じゅあああああ……」


 僕の左手は水を出すので忙しいため、右手だけを使って布を外していく。お陰で人差し指をちょっと切った。水の中に血の色が混じる。



 巨大スライムの核は……僕の真上。大きさはだいたいサッカーボールと同じくらいだろう。


 チャンスはこの一回だけ。一撃で決めてやる。


 まずはこのチャンスを無駄にしないため、より確実に核を撃ち抜くために、出す水の量を少し減らし、ドームをギリギリまで小さくしていく。



「ぐぷぐぷじゅわわああああぁぁぁぁ!」



 スライムの身体が溶ける音がすぐ耳元で聞こえた。この辺でやめておく。


 準備は整った。短剣を持ってドームの中心にセットし、水を出している左手をその真下に移動させる。


 そして短剣から手を放すと同時に、全魔力を使うぐらいの勢いで左手から水を放出する!



 左手からは眩い光が溢れる。

 打ちあがる短剣。


 狙いにズレは無い。そのまま短剣が核に命中し、スライムは死ぬだろう。僕は勝利を確信する。


「ぐぷぷぷぷ……!」


 だが、ボス戦では完全に決着がつくまで安心してはいけない、というのはこれまで読んできたラノベでも散々言われてきたことだ。

 この突然変異の巨大スライムも例外ではない。そう簡単には倒されてくれなかった。


 短剣が当たる寸前で、スライムは核の位置を横にずらす。



 そして僕のたった一つの希望は、そのままスライムの身体を貫通し、どこかへ飛んで行ってしまった。




 終わった。


「じゅわあああああああぐぷぐぷぐぷお」


 僕が打てる手がもう無い事に気付いているのか、スライムの声も大きくなっている気がする。


 それに、そろそろ息が苦しくなってきた。


 水を出すのをやめればスライムに捕食されて死ぬ。だからといって水を出し続ければ窒息死。絶体絶命とはまさにこのことだ。



 だが、僕はここで死ぬわけにはいかない。そう自分に誓ったから。

死ぬのは、できる事をやりきった後だ。最後の最後まで足掻いてやる!


 そして死の間際にとっさに思いついた作戦。

それは、



 『この水のドームを丸ごとスライムに打ち上げる』というものだった。


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